Hello , Hello , Hello ,『ギフトピア』!!

 
過去、多くの才能あるクリエイターたちと
コラボレートしてきた任天堂ですが、
このたびまたすばらしい才能と新たなタッグを組みました。
それが4月25日に発売される『ギフトピア』です。



開発を手がけたのは、過去、『moon』や
『とんでもクライシス!』、『L.O.L』といった
個性あふれる名作を生みだしたスキップの西健一さん。
スキップの社長である鈴木浩司さんにもご同席いただき、
『ギフトピア』へ込めた思いや、
クリエイターとしてのスタンスなど、
魂のこもったお話をたっぷりうかがってきました。



第1回目の今回は、西さんが任天堂と
仕事をすることになった経緯について。
当事者が生々しく語る、虚飾のないドキュメントです。
いきなりこんなこというのもなんですけど、
これ、おもしろいですよ。
こういうことを書くと西さんに怒られるのかもしれませんが、
取材した僕には「泥臭いサクセスストーリー」に思えました。
お話は、西さんの仕事がうまく進まなくなった時期
(ご本人いわく「ほされていた」時期)
から、やや暗い調子で始まります。
少し長いですが、最後まで、ぜひ!

西 健一
(にし・けんいち)
有限会社スキップ
ディレクター
鈴木 浩司
(すずき・ひろし)
有限会社スキップ
代表取締役
プロジェクトプロデューサー

── まず、任天堂といっしょに仕事をすることになった
経緯を教えていただけますか。
西 僕、この『ギフトピア』の前って、
坂本龍一さんと協力して
『L.O.L』ってゲームを作ったんですけど、
それが、もう、ぜんっぜん、売れなくて。
ただ、ぜんぜん悔いはないし、
やりきったつもりでいるし、
すごい狭い人たちにかもしれないけど、
届いた人にはしっかり届いたと思ってるし、
あちこちで高い評価もしていただいたんで、
それは本当にいいと思ってるんです。
ただ、いざそういう仕事をしてみると、
やっぱり「売れなかった」という結果が響いて
1年ぐらい仕事を干されたりするんですよ。
やっぱりビジネスですから、
「あいつに作らすと狭い作品になるぞ」
っていうふうに判断されてしまうと、
僕の場合、毎回、毎回、企画立てて、
どこかに持ち込んでスポンサー探して、
っていうかたちでやってるんで、
ほんとにもう、すぐ作れなくなるんですよね。
とくに『L.O.L』はプラットホームが
ドリームキャストという
なくなってしまったハードでしたから、
つぎにどうするかという道が
なくなってしまったんですね。
で、選択肢としてそのときあったのは、
プレイステーション2か、ゲームキューブか、
あるいはゲームボーイアドバンスか
ということだったんです。
企画を動かし始めたころって
Xboxはなかったですから。
まあ、いろいろと思惑はあったんですけど、
ちょうどキューブが発売したばかりだったんで
行ってみるかという感じで。
── 『moon』をはじめとして、
西さんの過去の仕事は
きちんと評価されているという印象があります。
それでも、1年仕事がないなんてことが。
西 いや、ほんとすごい状態になるんですよ。
とくに『L.O.L』終わったあとは、
お金がなくなっちゃって、
スタッフに給料も払えなくなっちゃって。
僕自身も、貯金崩したりとか、
社長の鈴木からも
「来月、仕事決まらなかったらおまえ車売れ」
とか脅されたりして。
鈴木 脅したわけじゃないよ(笑)。
西 こんな小さい事務所ですから、
すぐそういうことになるんです。
で、ほんとひとり辞め、ふたり辞めしていって、
だから『ギフトピア』が決まる間際は、
僕と、あと他に2人しか残ってなくて、
要するに3人だけになってましたからね。
で、もう、ここが最後の勝負だろうから、
これで決まんなかったら解散しようと。
もうこれ以上やってても、もう無理だからって。
1年以上仕事決まんないあいだに、
ほんとプレゼンだけは何十回も
いろいろな会社にさんざんやってて。
もう、どんどん心がすさんでいくんですよ。
すごく言い方は悪いですけど、
プレゼンの対象もどんどん下がっていくんですよ。
要するに、あんまり聞いたこともないような
メーカーにプレゼンすることになるわけです。
『ギフトピア』の直前にプレゼンしてたのなんて、
マンションの一室で3人ぐらいでやってる会社で、
提案した企画も、3ヶ月ぐらいで作れるような
ちいさーいものなんですよ。
ところが、もう、それも通らないわけですよ。
で、もう最後に、一発バクチじゃないですけど、
まあ一発賭けるんだったら、
任天堂っていちばんデカいところにいってみよう、
っていうことでキューブになったんですけどね。
── いきなり任天堂に?
西 知り合いに、任天堂に面識がある人がいて、
外からの企画持ち込みに対応する部署を
紹介してもらったんです。
で、まあ、どうなるかさっぱりわかんないけど、
まずは一回そこの門を叩いてみようかと。
で、鈴木が企画持って京都に行ったんですけど、
その部署を通すよりも、宮本(茂)さんに
直接話を通すほうが早いんじゃないか
っていうことになったんです。というのは、
僕、宮本さんの連絡先だけは知っていたんですよ。
で、そんなふうに言われたもんですから、
すぐに宮本さんに連絡を入れて、そしたら、
「今度東京行くから事務所に行きますよ」と。
まあ、知ってるといっても知り合いというほど
深い関係ではなかったんですね。だからもう、
「ヤベェ、宮本茂が訪れる!」とか思って、
お尻の座りが悪くなってきたりとかしてて。
事務所片づけるぞ、とか始まって。
そしたら、夏のすーごい暑い日に、
あの人、タクシーとか乗らない人ですから、
すーごい歩いて、大汗かいて、
この事務所まで来てくれたんですよね。
で、「なに?」みたいなこと言われて。
いや、実はこういう企画があって、って、
ぜんぶ説明して。窓口に行ったんだけど、
宮本さんせっかく知ってるんだったら、
宮本さんに直接話せって言われたから、
こうなったんですけど、って言ったら、
そっから2時間ぐらい、宮本さんのゲーム哲学が、
ブワーッと始まって。
── へええ〜(笑)。
西 そのなかですごく憶えてるのは、任天堂って
レースゲームを何本も出してるじゃないですか。
『マリオカート』とか、『F-ZERO』とか。
そのときの話なんですが、手を変え品を変え、
レースゲームを出していくときに、いつも、
「順位をなくしたい」と思うそうなんです。
で、それでがんばって作るんだけども、
やっぱりレースゲームは順位をつけないと、
レースゲームにならないっていう結論に
毎回行き着いて、順位がつくんだと。
で、順位がついちゃってるっていうことに、
宮本さんは納得できてないんだと。
いつか、順位のないレースゲームを作りたくって、
そうなったときに初めて、レースゲームってのは、
ひとつ進歩するんだって言ってたんですよね。
要するに、『マリオカート』も『F-ZERO』も
『ウェーブレース』も、大枠では同じなんだと。
でもそこで話は終わりじゃなくて、
「でもね」って違う話を始めるんですよ。
そういうフォーマットがきっちりできてるものは、
やっぱり力強いしすばらしいんだから、
そこはあんまり崩すべきではないんだと。
でも崩すことが冒険であり
トライアルなことなんだ、って言ってて。
で、よく若い人とか経験のない人は、
ただ単に崩したいと思って、崩れすぎて、
わけわかんないものになることが多いんだと。
だから、崩すために挑戦することは大事だけども、
崩しすぎてわけわかんなくなるくらいだったら、
商品としてちゃんとまとめるっていうことの
ジャッジができないと、ゲームは作れないって。
もう、そのとおりですよね。
── そのとおりなんでしょうね。
西 で、そういう話をひととおりしたあとに、
「西くん、任天堂と仕事をしようじゃないか」
って言われて、「僕とやろう」って言われて。
── おお。それでめでたく……。
西 というわけでもなくて、
それにはまず、君がどこまでできるか、
どういうものを作るかを、ちゃんと見たいと。
まあ、それも当然かなって思ってたら、
3日後ぐらいにはもうほんとに
ゲームキューブの開発機材が、
ドカドカドカッて送られてきちゃって。
ちょっと作ってみてください、
3ヵ月時間をあげるから、って言われて。
わけわかんないじゃないじゃないですか。
だから、たとえば、その、
絵とか音が入ってないといけないんですかって
訊いたら、音はあってもなくてもいいと。
じゃ絵は? って訊いたら、
絵がないと伝わらないゲームなら絵を出せと。
でも、やっぱり、なにをどう作って、
どうアピールすればいいのかわからないから、
そのへんを最後に訊いたら、「任せる」と。
どういう場に提出するのかもよくわからないと。
もう、なんのこっちゃ、と思って。
まあ、任天堂さんって、そういうかたちで
ずっとみんなとやってきたのかなと思ったら、
ぜんぜんそうじゃなかったんですよね。
それは後になってわかったんことなんですけど、
今回はそういうベンチャーな開発会社を支援する
プロジェクトの第1回目だったんですよ。
── なんか、ひっそりと発表されましたよね。
日経新聞とかに記事が載って。
西 そうそう。その第1弾だから、って言われて。
それはまあ、光栄ですけど、
どうすればいいんですかって訊いても、
第1弾だから決まりはとくにない、とか言って。
ほんと、あの、わけわかんないんですよ。
── (笑)

鈴木 わけわかんなかったよね(笑)。
それまではだいたい企画書作ってプレゼンすると、
「じゃあやりましょう」ってことになって
契約書してって話じゃないですか。
でもそういう段階じゃなかったもんね。
やることになったのかどうかもわからないまんま。
西 つまり、3ヵ月分の実費だけあげるから、
それでやれるだけやってみろ、ってことなんです。
で、そのころの僕らって、さっき言ったように
僕とアシスタントとプログラマーの
3人しかいなくなってたんですよ。
だから、なにしろ絵が描ける人がいない。
それで、『L.O.L』のときに絵を
描いてもらってたふたりに電話して、
決まるかどうかわからない話で悪いんだけど、
ちょっと手伝ってくれって頼んだら、
ふたりともすぐに戻ってきてくれて。
で、バーッと作っていったんですよ。
そしたら1ヵ月半、つまり半分過ぎたところで
任天堂からひとり、見に来た人がいて。
その人に途中のものを見せたら、
僕個人の意見としてはいいと思います、と。
でも、僕の意見は、任天堂の意見ではないので、
そういうふうに受け取ってくれって言われて。
わけわかんないじゃないですか。
── (笑)
西 で、そのまま残りの半分も過ぎて、
約束の3ヵ月後がくるんですけど、
とくに連絡がこないんですよ。
しょうがないから、
そろそろ終わるんですけどって連絡して。
こっちから質問していくしかなくて。
これは、見に来てくれるんですか?
ビデオに撮ればいいんですか?
何かに焼いて納品するんですか?
って訊いたら、ビデオに撮ったテープと
データを送ってくれ、って言われて。
それで、言われたとおりに送ったんですけど、
それを、誰がどう審査するとか、
いつ答えがもらえるのかもぜんぜんわかんない。
もうそのころとかって、3ヵ月がんばった僕らは
かなりテンション高くなってますから
1週間くらい返事がこないと
もう、いらいらしてくるんですよ。
そうすると僕なんかもう、
鈴木に噛みつくしかないんですよ。
「どうなってるんだ、早く確認してくれよ!」
とかってさんざん鈴木に催促して、鈴木は鈴木で、
せっかくのチャンスを逃したくないから、
「向こうも都合があるんだし」って僕をなだめて。
で、10日くらいたってから、急に、
明日時間があれば京都に来て下さいって言われて、
大慌てで京都行くことにして。
── おお、いよいよ!
西 ところがそこでもいろいろあって。
というのは、僕、ほんとに電車とか乗らないんで、
新幹線も3回くらいしか乗ったことないんですよ。
で、乗り継ぎとかぜんぜんわかんなくて。
知り合いに東京駅まで何分かかるか訊いたら、
「15分くらいかな?」って言うから、
それを信じてたんですけど、
15分じゃ無理だったんですよ。
── お住まいはどちらなんですか?
西 表参道なんですけど。
── そりゃ無理だ(笑)。
西 だから、ぜんぜん寝坊とかはしてなくて、
むしろ2時間ぐらい前にちゃんと起きて、
シャワーちゃんと浴びて、
「オスッ!」みたいな感じで、
もう犬の散歩とかも余裕で終わらせて、
そろそろ時間だなと思って早めに出たら、
東京駅に向かう電車の途中で
もう鈴木から電話がかかってきて、
「お前いまどこにいるんだっ!」とか言われて、
いや、お茶の水あたりかな、とか言ったら、
「なにやってるんだっ!」とか言われて。
ぼくもカチンときて、
あの、僕、よく鈴木にキレるんですよ。
── あははははは。
西 そのときはとくに、鈴木も余裕がないから、
すごくイヤな感じの言い方するんですよ。
「もう、知らないよ!」とかって言ってて。
鈴木 そしたら「行かない!」とか言い始めて(笑)。
西 というか、おれはなにしろ電車に乗って
そっちに向かってるんだから、待ってろと。
着くんだからと。よくわかってないんですけどね。
で、しばらくしたら、また電話がかかってきて。
あと5分でね、新幹線が出ちゃうと。
いったいいまどこにいるんだと。
そのときはなんとか東京駅に着いてたんで、
もう東京駅の中だよ、って余裕で答えて。
ところが、東京駅って、じつは、
新幹線の乗り場まですごく遠いんですよね。
── 遠いですよ(笑)!
西 また、そこですごく怒られて。
もうね、絶対に間に合わない、って言うんですよ。
僕はそれがわかってないから、
もう東京駅に着いてるんだから間に合うよ、
って言ってんだけど、
鈴木は「間に合わない!」って言い張ってて。
── 言い争ってる場合じゃない(笑)。
西 で、バーッて階段上がって行ったら、
ほんとにダーッて新幹線が行っちゃったんですよ。
── ありゃあ。
西 そしたら鈴木からまた電話がかかってきて、
任天堂のほうには、とにかく詫びておくから、
とにかくつぎの新幹線で来いと。
そこで僕はまた頭にきちゃって、
「うるせぇよ!」って始まって。
鈴木 (苦笑)
西 俺は3ヵ月がんばって努力をしたんだと。
サンプルをいっしょうけんめい作ったんだと。
それで、仕事を決めるところは
鈴木さん、あんたの仕事の範疇なんだから、
あんたが決めてきてくれ、って言って。
もう逆ギレが始まったんですよね。
で、僕はそこに入っちゃうと、
もうどうにもなんないんですよ。
そしたら、鈴木が頭を下げ始めて、
「一生に一度のお願いだから、
 つぎの電車でなにしろ来てくれ」って言われて。
そこまで言われちゃしょうがないな、って。
鈴木 そんなこと言ったっけ?
西 言ったよ。
鈴木 ……言ったかも知れないなあ。あのときなら。
だって、来ないなんて、あり得ないもん。
でも実際あれ、来なかったら厳しかったよ?
── それは、鈴木さん個人というよりも、
経営者としての判断、発言なんじゃないですか?
鈴木 う〜ん……っていうか、
失礼じゃないですか、とにかく(笑)。
開発者が来ないっていうことは。
西 で、まあ、つぎの電車で1本遅れて行って。
そしたら、たまたま会議が押しててくれたんで、
そんなに待たせることはなかったんですけど、
部屋に入ったら、もう、
岩田社長、宮本さんをはじめとして、
そうそうたるメンバーがずらーっといるんですよ。
── いよいよクライマックス!
西 ところがですね、
京都の方って、なんか、
ハッキリものを言ってくれないんですよ。
── (笑)
西 なんかね、「はんなり」っていうか、
遠回しに話してる感じなんですよ。
僕のいままでの経験からいうと、
どこのメーカーでも、やるって決まるときは、
「いいねーっ! いこうっ!」みたいな、
ブワーッとしたノリでやってたんですよ。
ところがそういう雰囲気がまったくなくて、
みんなで見て、どうなの? どうなの? って、
たらい回しになってる感じがあって。
鈴木 ダメだと思ったもんね。あ、これダメだって。
西 ほんとにもう、
「ダメなんだな」って感じがすごいあって。
でも言うことは言っとかないとダメだから、
はっきり言ったんですよ。
こうこうこういうつもりで作ってるんだと。
でも、なに作っていいんだか、
さっぱり指示がもらえてなかったから、
3ヶ月でどれぐらいやれるのかっていう
実力を見せようと思ったのと、
こういうもの作りたいんだっていう
方向性を見せようと思って
サンプルを作りましたと。
で、あとこれだけ時間をもらえたら、
ここを直してこういうふうにして
こういうものを作るつもりだと。
で、もしも作るということになったら、
ほんとに食えなくなっちゃって
辞めていったすごく優秀なスタッフたちが
また戻ってきてくれてるから、
そのへんは自信を持っていると。だから、
やらせてもらえるならやらせてくださいと。
── ……いいですねえ。
西 そしたら──。
── そしたら!
西 また、どうなの? どうなの? みたいな
感じで同じような雰囲気になって。
── あー、もう(笑)!
西 で、宮本さんだけはなんにも言わないんですよ。
たぶん、あの、宮本さんが言うと、
決まってしまうっていうのを宮本さんも思って、
意見を言わないでくれたと思うんですけど、
宮本さんとしては自分がこう思うからそうしよう、
じゃなくて、みんなどう思うの?
ってことを聞き取ろうっていう、
進行役みたいな役目をやってくれていて。
だから、最終的に僕、宮本さんに
良いも悪いも言われた記憶が無いんですよ。
── え? 最終的に?
会議はどうなったんですか?
西 いや、もう、終わる直前になって、
僕が最後に訊いたんですよ。
その、東京では、僕のスタッフが、
がんばってくれたスタッフたちが待ってると。
で、京都に行くっていうことで、
今日は休みにして、東京でみんな待ってて、
任天堂さんのプレゼンが終わったらね、
すぐに連絡を入れるっていう約束をしてるから、
白か黒かっていうことを、ハッキリ伝えたいから、
そこを聞かして下さい、ってことを言ったんです。
そしたら、岩田さんが、
「西さん、これだけのメンバーがそろって、
 誰からも文句出てないっていうのは
 決まったってことですよ」って言われて。
── おおっ! で、西さんは……。
西 「そんなもんかいっ!」みたいな。
── なんで(笑)!?
西 いや、もっと「いいねー、キミ!」ぐらい
言ってほしかった。
鈴木 決まった気しなかったよね(笑)。
── そういうもんスか(笑)。
西 で、段取りはあとでやるから、
そのままもうどんどんどんどん作りなさい、
って言われて、「ありがとうございます!」
って言って任天堂出たんですよね。
で、まあメシでも食って1泊してから
ゆっくり帰ろうっていうことになって、
京都のどっか繁華街に向かうタクシーの中で、
スタッフ全員に電話して。
そしたら、「マジ!?」って喜んでたりとか。
あと、ほんと仕事なくなっちゃうときまで
いっしょにやってたヨコテって女の子がいて、
「決まったんですかぁ〜(泣き声)!」
って涙ぐんだりしてて。
それ聞いたら、なんかジンときたりとかしてて。
ここからがたいへんだと思うから
しっかり頼むよ、って言ったらもう、
「がんばります!」って言ってくれて。
で、鈴木が、
「西、おまえ、今日はね、
 何でも好きなもん食っていいよ」って。
「いくら使ってもいい。
 ひと晩で使える額なんて限度があるから、
 おまえ今日、好きにしろ」って言われて。
よーし、じゃあ、美味いもん食おう、って言って、
ふたりで、ひとり1万5千円ぐらいするような
しゃぶしゃぶを食ったんですよ。
すごい高級そうなところに入って。
そしたら、すごい高級なお店だから、
座敷に通されちゃって、
だーれもいないとこで鈴木とふたりきりで。
まぁ、決まってもこんなもんだよなーとか思って。
意外にわびしかったりして(笑)。
── でも、いいじゃないですか(笑)。
西 でも、もうちょっと、夢があったんですよ。
任天堂って、やっぱりこう、
ものすごいというイメージがあるから、
もしも企画がよかったら、
「場所取ってあるから、食事でも行きましょう」
とかって宮本さんと岩田さんなんかに呼ばれて、
なんかこう、豪勢な食事が出てきて、
女の子が付いてお酌とかしてくれて、
じゃ、まあ、僕らは帰るからって僕だけ残されて。
で、こう、襖とか開けると布団が敷いてあったり。
── べたべたな夢を見ていたわけですね(笑)。
鈴木 そんなわけないよ(笑)。
西 もちろん、あの、うれしかったし、
ほんとこっからがたいへんだなって
思いましたけどね。


(次回へ続きます!)
2003-04-24-THU