「聞く人」が、世界を優しく支えてる。 「聞く人」が、世界を優しく支えてる。
相手の話を聞くだけで、
その場の空気を明るくしてしまう人がいます。
『安住紳一郎の日曜天国』名アシスタントの
中澤有美子アナウンサーです。

「聞く」は「話す」の影に隠れがちですが、
「聞く人」が生み出している価値や効果は計り知れません。
もしかしたら、経済や誰かの人生まで支えているかも? 
そんな「聞く」の力を信じて突き進む中澤さんが、
「上手に聞きたい!」という人へ、
ご著書『口下手で、大丈夫  
~2.4秒に1回頷く、最強傾聴力~』
をもとに
傾聴のヒントをたくさんくださいました。

聞き手としての悩みを中澤さんに相談したのは、
ほぼ日の玉木、安木、松本です。
第1回 「聞く」には価値がある
玉木
本日は、アナウンサーの
中澤有美子さんをお招きしました。
普段のコミュニケーション、
あるいは「聞き手」の仕事をするときに
気をつけてらっしゃることを
うかがいたいと思います。
よろしくお願いします。
中澤
よろしくお願いします。
写真
玉木
通常は、私ひとりで
お話をうかがうことが多いのですが、
「聞き手」のプロの中澤さんに
ひとりで聞くのは
勇気がいるなと思いまして(笑)、
3人でお聞きしたいと思います。
安木・
松本
お願いします。
中澤
はい、ありがとうございます(笑)。
玉木
中澤さんは今年、初めての単著として
『口下手で、大丈夫』を出版されました。
いままでも「中澤さんに、
聞き方について本を書いてほしい」という
依頼はあったけれども、実現するのには
時間がかかったとうかがっています。
書くには葛藤のようなものが
あったのでしょうか。
中澤
自分の「聞き手」という立場は、
黒子みたいなところがあって。
その黒子の仕事を、私が
つまびらかに発表するということは、
なんだかおこがましい気がしていたんです。
自分のなかで、聞き手の仕事について
深く分析できていないという
心配もありました。
なので、実現は難しいんじゃないかなと
思っていたのが正直なところでした。



ただ、どんな場面でも「話す人」に
どうしても脚光が当たりがちで、
いつも聞き役に回る人が
「私、いる意味あったのかな」と思ったり、
「もっと違う振る舞い方をしたほうが
よかったのかな」と
自信を失ってしまったりする現状を
見聞きすることがあって。
私も以前、
同じように感じることがあったので、
「聞くことには価値があるし、
掘り下げれば可能性もいっぱいあるし、
力を入れる意味もあるんだよ」
ということを伝えて勇気づけたいな
という思いが芽生えて、
取り組むことにしました。
玉木
ご著書のなかでも、「聞き手」は達成感を
感じにくいと書かれていました。
でも、中澤さんといえば
人気のラジオ番組
『安住紳一郎の日曜天国』の
名アシスタントです。
安住さんやゲストの方を目当てに
聴いているリスナーの方が、
いつのまにか、なぜか安住さんの隣で
笑ってらっしゃる中澤さんが
気になってくるという。
中澤
ふふふ。
玉木
「この、相槌を打っている方は
何者なんだ?!」と。
私も『安住紳一郎の日曜天国』が好きで
ずっと聴いているのですが、
最近、妻が聴き始めまして。
「この中澤さんっていう方は
どういう人なの?」と、
すごく熱心に訊いてくるんです。
中澤
えーーっ。
写真
玉木
「中澤さんのように人の話を聞けたら、
もうちょっと私の人生、
変わったかもしれない」と言っていました。
中澤
うわぁ、うれしいです。
玉木
多くのリスナーが、中澤さんの「聞き方」を
含めて素晴らしい番組だと感じていて。
その秘訣をみんな、
中澤さんの本で知りたかったんだと
思います。
中澤
なんと、ありがとうございます。
そんなふうに言っていただけたこと、
宝物にしたいと思います。
玉木
中澤さんが、アナウンサーのお仕事が
向いているかもしれないと思われた
きっかけはなんだったのですか。
中澤
「なにかを読み上げる」ということを、
自分は得意だと思い込んでいたんです。
母親が小学校の教員をしていたので、
家に教員向けの指導要領を書いた本が
ありました。
それを読むのが、私は大好きだったんです。
「先生もこういうのを読んで
授業やってるんだー、わかっちゃったぞ、
ヒヒヒヒッ♪」と思って(笑)。
そこに、教科書の読み方について
「本当に心を込めて読む」や
「教室全体を巻き込むように伝える」、
あるいは「声を潜めて注目させる」などの
コツが書き添えてありました。
実際に、小学校の授業で
みんなで教科書を読み上げたときに、
そのコツを思い出して読んでみたところ、
とんでもなくうまくいったんです。
先生に向けて書いてあるコツを
真似したわけですから、
当然なんですけれど、
「読むの上手だね」と褒められて
「そうなんだ。私、うまいんだ」と
思いました。
それから、自分はものを読み上げるのが
好きで得意だと考えるようになりました。



人の話を聞くのも好きでした。
たとえば小さな商店で、
店主の方とお客さんがしていた会話や、
スポーツクラブでなんとなく話されていた
世間話、テレビで見るインタビューや
読みもの‥‥みなさんがどんなことを考えて
どんなふうに生きてるんだろう
ということに、
昔からとても興味がありました。



ただ、そういった趣味は
「アナウンサー」という職業には
なかなか結びつかなかったんです。
というのも、当時のアナウンサー業界は、
華やかで競争倍率も高かったので、
どんどん前に行く性格の人がなるもの
というイメージだったからです。
私はどちらかというと、
隠れて人の話を聞いていたい、
みたいなところがあったので、
自分とは別の世界の話だと考えていました。
でも、就職活動中に、
なにか自分の特技が生かせる
仕事はないかなと真剣に考えたら、
「アナウンサー、
もしかしたらいけるかもしれない。
ダメでも一度挑戦すれば諦めがつく」
と思ったんです。
そこで、チャレンジするに至りました。
(明日に続きます)
2026-09-22-TUE