第2回 ふたりの出会い
糸井 世間ではぼくと仲畑くんを
同期のコピーライターみたいに
思ってる人も多いけど、
仲畑くんのほうがずっと先輩なんだよね。

仲畑 そうだったかな。
糸井 だって、二十歳ぐらいでデビューしたでしょ。
仲畑 それは単純に、オレが勉強嫌いで
大学行かなかったから早かったのよ。
高卒だったから、デビューが早かっただけ。
糸井 でも、実際、二十歳ぐらいのときに
英会話教室かなにかのコピーで
仲畑くんは賞をもらうんですよ。
いまはもう、そういう賞って
あんまり意味がないけど、当時は、
オトナとして通用する資格みたいなもんでさ。
だから、仲畑くんがそういう
広告のちゃんとした選手になったとき、
ぼくはまだなにもできてなかったから。
ぼくと仲畑くんが会ったのも、
その手の授賞式の席で、
仲畑くんが一番いい賞をとったんだ。
そのとき、おれは、なんか、
その年の新人として会場にいたんだよ。
たしか、そんな感じで会うんだ。
仲畑 で、その後、事務所に
ふらっと遊びに行ったりしてね。
ふたりでバンドをやったりして。

糸井 (苦笑)
仲畑 糸井くんがリズムギターとボーカルでね、
オレ、太鼓。
練習したんだけどね、
1回もステージはなかったね。
糸井 ステージに立ったことないのに、
服とかはつくったりしてね。
仲畑 大笑いだね、今から思えば。
スタジャンつくったんだよね。
でも、湯村(輝彦)さんの
イラストを刺繍したんだから、
そうとう、いいものではあるよね。
糸井 そうだね(笑)。
それを、VANに勤めているやつに
つくってもらったんだから。
仲畑 オレ、持ってるよ、まだ。
糸井 あ、すごい(笑)。
オレは、ものが残らない人だから、
どこにいったかわからないなぁ。
仲畑 ま、そんな出会いだったね、ぼくらは。
糸井事務所の社員たちも
知らなかったでしょう、きっと。
糸井 というか、いまの話は、ウソなんだけどね。
仲畑くん特有のウソ。
仲畑 え(笑)?
糸井 バンドをつくるなんてずっとあとだよ。
バンドを急につくるわけないじゃないか!

一同 (笑)
糸井 とにかく、この人はね、
話をおもしろくしようとして
どんどん急カーブを切るんだよ。
仲畑 サービスするんだよな(笑)。
糸井 昔から、そういう人なんだよ。
たとえばオートバイで転んだときにさ、
ほんとは誰もいないところで転んだのに、
みんなに話すときは、
「オレがオートバイで転んだのを、
 子どもがでっかいアメしゃぶりながら見てた」
っていう話にするんだよ。
でも、そんな子どもは、いないんだよ(笑)。
仲畑 うん(笑)。


糸井 で、オレが気づいて
「その、アメ持った子どもは、ウソだろ?」
って言うと、うれしそぉーな顔してさ、
「‥‥わかる?」って言うんだ。
一同 (笑)
糸井 だって、コピーライターどうしが
会ったとたんにバンドをつくるはずがないだろう。
人間、バンドをつくるために
生きてるわけじゃないんだから(笑)。
仲畑 そやね。そんな調子だと、
世の中、バンドだらけになっちゃうよ。
  (続きます)
2008-08-25-MON