REPORT

わたしのバッグのつくりかた。
坂元佳子

布地を細長く裂(さ)いて、それをよこ糸にし、
麻や木綿などの糸をたて糸にして、
一枚の生地をつくる織り物「さき織り」。
福岡をベースに活躍している
さき織り作家の坂元佳子さんに、
さき織りのことを、教えていただきました。


坂元佳子(さかもと・よしこ)
さき織り作家。
さき織り工房「oru」主宰。
不定期で開催する個展や
ウェブサイトで発表・販売をおこなっている。

出産を機に会社を退職、
その後、それまで興味のあったものづくりの道に進む。
子どもが寝た後や家事の合間に
独学でさき織りを学び、
作品を発表しはじめて10年になる。
すべての工程をひとりで行なう。

「なるべく『ほっこり手づくり感』が
出ないデザインになるよう気をつけています。
どんな人にもファッションの一部として、
バッグを使ってもらえたら嬉しいです」(談)

ウェブサイト
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[1]生地選び
先ずは生地選びから始まります。
生地屋さんで織りたいバッグのイメージに合った
生地を探すこともありますが、
大抵は生地に触れるうちに
「この生地であんなバッグを織ったら可愛いかも!」
とアイデアが浮かんできます。
妄想が止まらずつい時間を忘れて
生地屋さんに長居してしまう事もしばしば。
最近は他に無い生地を求め、
海外から取り寄せることもあります。

[2]裂く。
次に裂く作業です。
昔はコットン生地のみを使っていましたが、
今ではベルベットやウール、薄くてふわふわした生地や
張りのあるリネンなど、いろいろな生地を使うため、
裂けるものは裂いて分厚い生地は細くカットします。
織るとまた違う手触りになるから面白いのです。

[3]整経する。
機織り機にたて糸を張ります。
裂き布に馴染む色味にしたり、
糸が目立つようにラメ糸を使ったりなど、
糸合わせも楽しい工程です。
たて糸に使う糸は、
10年変わらず京都の糸屋さんから取り寄せています。

[4]織る。
たて糸を張ったらいよいよ織りの工程です。
裂いた布をよこ糸として通してゆきます。
一段一段、織り目を櫛で詰めるときに、
出来上がりの風合いも考えながら織ります。
薄くてふわふわの生地は目を詰めすぎずフワッと、
張りのあるリネンは力いっぱいギュッと詰めて織ります。

[5]バッグを仕立てる。
織り終えたら、織機から切り外し、
糸処理をしてミシンでバッグに仕立てます。
織り上がりのサイズは測りながら織るものの、
実際に織ってみてから、マチや持ち手のひもの長さを
バランスを見ながら調節します。

2019-04-01-MON