うれしい気持ち

10年以上前のことだったでしょうか。

さる演出家の方に、
どうしてそんなにワクワクするお芝居が作れるんですか? 
と尋ねたら、
少し考えたあと、その人はこんな風にこたえてくれました。

「たとえばまさこさんが、
お客さんのために料理を作るとするでしょう?」

はい。

「その時、最初は冷たいスープにしようか、
それともあったかいのにしようか。
そんなことを考えると思う」

そうですねぇ。

「メインはどう驚かせようか。
そこにいきつくために、
いろどりや食感、
器はどうしようかと考えるはず。
それと同じだよ」

それと同じかどうかは、よくわからないけれど、
手を動かし頭を働かせながら、
その日の食卓のバランスを考える。

たのしかった、とか、
おいしかった、なんて言われると、
私もうれしくて、
ああ、作ってよかったな。
なんて思うのです。

t.yamai parisの服は、
あまい、からいのバランスや、
素材のえらび方、色づかいが絶妙。
一度着るとわかると思うけれど、
身につけた人がうれしい気持ちになる。

山井さんは口に出さないけれど、
着ている人を見てきっと、
「ああ、作ってよかったな」
そんな風に思っていると思うんです。

今週のweeksdaysは、
t.yamai parisのブラウス。
大切に作られた一枚をぜひ。

伊藤まさこ

2023-09-15-FRI