REPORT

ミモザのリース、
こんなふうにつくられています。

秋あじさい、クリスマスリースにつづく
「weeksdays」のとくべつなリースは、ミモザです。
浜松で育つようすを中心に、
できあがるまでのことをご紹介します。

春を告げると言われるミモザは、
ヨーロッパでとても人気がある花のひとつです。

主要産地であるフランスのニース近郊の町、
マンドリュー = ラ = ナプール
(Mandelieu-la-Napoule)では、
1931年にはじまったといわれるミモザ祭りが
毎年2月に開かれます。
その頃は、町のいたるところにミモザの花が飾られ、
ミモザの女王投票や山車、
パレードで盛り上がるのだそう。

またイタリアでは3月8日の
Festa della Donna(=女性の日.国際女性デー)を
別名「ミモザの日」と呼び、
男性が女性に敬意と感謝を込めて
ミモザの花を贈るのがならわしです。
パートナーだけではなく、
母親や祖母、友人、仕事仲間など、
自分にとって大切な女性に贈るのだそう。

そんな、ロマンティックで愛にあふれる花を
インテリア性の高いリースに仕立てました。
秋あじさい、2度のクリスマスのときと同じように、
「weeksdays」が日比谷花壇と組み、
オリジナルで制作をしました。

リースの材料となるミモザは、
静岡県浜松市の湖北地区と呼ばれる、
水はけがよく、傾斜地が多い、
みかんの生産にも適している土地で生産されました。
ほかの地域と比べ、冬も気温が高めで、
ミモザのような「枝物」(えだもの)の生産も、
古くから行われてきたのだそうです。

生産者は、JAとぴあ浜松、アカシア分科会に所属する
山村敬一さん。
もともとはみかん農家で、現在も続けていますが、
今からおよそ50年前、みかんとともに管理がしやすい
作物として、ミモザに着目したそう。
みかんの収穫は10月下旬から1月下旬ですから、
1月下旬から3月にかけて収穫するミモザは、
作業時期としてもぴったりだったのだといいます。

山村さんの畑が傾斜地であることも、
ミモザの栽培に味方しました。
原産は温帯から熱帯の、感想した場所ですから、
湖北地方のこの場所はぴったりだったのです。

栽培のスタートは、春先に行われる種の採取から。
山村さんは「どの木から種を取るか」を
注意深くえらびます。
ポイントは、葉がきれいに揃っていること、
枝がすらっと、長く、しっかりしていること。
採取した種は、入梅の頃に播種(はしゅ=種まき)、
秋のはじまりに定植を行ないます。
長いあいだかけて丁寧に育てると、
リースに使う切り枝の収穫ができるようになります。

枝の収穫のめやすは、
蕾がうっすら黄色く色づく頃。
花を手で揉むと粉になる、
つまり花粉ができているタイミングを選びます。
すこしでも早いと、その後、きれいに開花しないのだそう。

収穫後は、枝を束ねて作業場へはこび、
下葉を取り、長さを揃え、
葉の状態や花つきのわるいものを省いたら、
枝をそろえて束ね、水にいける作業です。
この作業、とても手がかかるので、
山村さんだけではなく、奥さま、娘さんの3人で
行なっているんですって。
収穫のピーク時は、とても忙しく、
午前中に収穫~選別をしたのち、
午後もういちど収穫、夜に選別、
というふうに、1日2回、
作業をくりかえすほどだそうですよ。

そうしてたっぷり水を吸わせたミモザの枝の束は
「室」(むろ)へ運ばれます。
1月でも、湿度と室温がコントロールされている中で、
花を開かせるんです。
これを「蒸らし」と呼び、ここで失敗すると
きれいなミモザの花が咲きません。
事前にしっかり水を吸わせ、
葉がパリッと水を蓄えた状態にしておくのは、
ここで花を散らせてしまうことがないようにするための
作業だったんですね。

※こちらは今回のリースに使う品種とは異なります。

そうして愛情ぶかく山村さんのもとで育てられたミモザは、
出荷され、リースづくり専門の
チームのもとへと運ばれます。
作業場では、1点ずつ、手作業でリースに。
葉と花のバランスをみながら、
まるいリースに編んでいく作業は、
たいへんですけれど、とてもたのしいものだそう。
「香り豊かな黄色いリースですから、
お届け先で、目を向けるたび、
お部屋に太陽の光が降り注いでいるかのような、
そんなイメージで受け取っていただけたらいいなと
考えながらつくっています」
と、チームのかた。

ちなみに、このリース、生花をつかっていますが、
保水はしていません。
ドライフラワーになりやすいのがミモザの特徴ですから、
自然に乾燥した状態で、
長くおたのしみいただけたらと思います。

飾る場所は、直射日光や、
暖房などの強い風が直接あたらない、
けれども風通しよく湿気の少ないところがおすすめ。
ミモザの特性上、こまかい葉や花、花粉が落ちますので、
日常的によく開閉するドアなど、
衝撃の多い場所はさけてくださいね。

2021-02-13-SAT