REPORT

ニューヨーカーとSAYAKA DAVIS
(2)Raia Wasさん

日本人デザイナーのサヤカさんが、
NYを拠点に展開するSAYAKA DAVIS。
NYの街に暮らす3人の女性に、
オールインワンやワンピースを身にまとってもらい、
着心地からファッションへの向き合い方までを
聞きました。
ふたりめは、ミュージシャンの
Raia Was(ライア・ワズ)さんです。

取材・文 仁平綾
写真 Keiichiro Nakajima

Raia Wasさんのプロフィール

ライア・ワズ
ブルックリンを拠点に制作活動を行うミュージシャン。
ジャンルは、インディーR&B。
9月にデビューアルバム
「Angel I’m Frightened」を発表。
身長157センチ、着用サイズF。

Raia Wasさんのウェブサイト
Spotify

自宅アパート内にあるスタジオで音楽制作を行う、
ミュージシャンのライアさん。

「私は会社勤めのような働き方ではないけれど、
自宅で仕事に取りかかるときは、
いつもちょっとだけドレスアップをするようにしています。
自分自身のためにね。
私をインスパイアしてくれるものに、身を包みたい。
だからラクな部屋着は着ません」。

スタジオで作業をし、たまにキッチンでお茶をいれ、
またスタジオにこもる。
そんなライアさんの長い一日に不可欠なのは、
一日中気分よく着ていられる服。
SAYAKA DAVISのワンピースは、
まさにそんな一着だといいます。

「グラヴィティ(重力)を感じる」

ワンピースをそう表現するライアさん。
心地よいウェイトを体感するのは、
密に織られた生地のため。

「心地よいだけじゃなくて、
自分自身を大地にしっかりつなぎとめてくれるような、
そんな重みです」

もうひとつ気に入っているのは、
手首に届かない短めの袖。
折り返しても楽しめる長めのカフスがアクセントです。

「背が低いので、服の袖が長すぎることがあるんです。
でもこの袖ならパーフェクト。
ワンピースの裾から足首が覗くところも気に入ってます」

ちなみにこれはサヤカさんの、緻密な計算によるもの。
ボリュームのあるロングワンピースのため、
足もとや手もとの肌が見えるデザインにし、
軽さを意識したといいます。

ライアさんが選んだワンピースの色は、
「もちろん黒! だってニューヨーカーだから」。
シックで上質な黒。
それがニューヨークの色なのだそう。

街の景色は、人が作る。
そういう意識で色やデザインを吟味し、服を選ぶ。
ファッションにはそんな楽しさもあるということ。

ちなみに、日本を訪れたことがあるライアさん。
東京の街はどんな色に見えましたか?

「原色──。
赤と赤、黄色と黄色、ブルーとブルーが、
カラーブロックみたいに配色されてる街。
それからたくさんのグレーも。
東京の色は、刺激的だと思います」

普段ライアさんが好んで着る服は、
ヴィンテージが多いそう。

「時間を経ているものが好き。
誰かから誰かの手に渡り、経年したものには、
味わいがあります。
ただの“物”ではなく、佇まいのあるものを身につけたり、
自分のそばに置いたりしたい」

だからこの日、ワンピースに合わせて身につけたのは、
祖母と母から譲り受けたピアス。

「世代を経て、積み重ねられた女性の英知を感じるんです。
もちろん母のことも近くに感じられる」

ゴールドの輝きは、漆黒のワンピースに気品を添え、
そのエネルギーは、ライアさんのクリエイティビティに
ひらめきを与えています。

2019-09-17-TUE