数年前、伊藤まさこさんが購入して以来、
夏は着て、洗濯して、乾燥機にもかけ、
それを何十回、ひょっとして100回繰り返しても
きれいなまま、ヘタらずにいるトップスがあります。
それは、COGTHEBIGSMOKEの
「DANNA TOP(ダナトップ)」。
気になる二の腕も腰回りもすっきり見せ、
シワにならず、なにより涼しい。
その秘密は、素材と、独自のパターンにあるようです。
今回、「weeksdays」のために別注した
4色のDANNA TOPについて、
ロンドン在住のCOGのデザイナー、Noriko. I さんに
伊藤さんがインタビューをおこないました。
ワンサイズでどんな体型のひとにも合うCOGの服、
コーディネートのポイントについても
教えていただきましたよ。
Noriko.Iさんのプロフィール
ブランドのデザイナー、
セレクトショップのバイヤーを経て、
2010年に英国・ロンドンに移住。
英国ブランドのディレクターを経て、
自身のブランド「COGTHEBIGSMOKE」を立ち上げる。
COGはNoriko.Iさんが愛するクマのぬいぐるみの名前、
“THE BIG SMOKE”はロンドンをあらわすスラング。
ロンドンの自宅をはじめ世界各地でおこなったデザインを、
生産チームのいる日本とオンラインでやりとりしながら
制作を続けている。
COGTHEBIGSMOKEのキーワードは、
シーズンレス、エイジレス、サイズレス、トレンドレス、
シーンレス、エフォートレス。
サイズはひとつだけ、素材はジャージーのみ。
01メイドインジャパンの心強さ
- 伊藤
- こんにちは、ノリコさん。
東京は夕方4時、ということは
ロンドンは朝の8時ですよね。
朝早く、大丈夫ですか。
- Noriko.I
- おはようございます。
大丈夫です。私、早起きで、
5時から起きているんですよ、
よろしくお願いします。
- 伊藤
- ちょうど、パリの猛暑のニュースを聞いて。
ロンドンも暑いんでしょうか。
- Noriko.I
- ロンドンはそこまで暑くないですね。
でも先週はパリにいたので大変でした。
パリのショールームは直射日光が入らないし、
泊まっていたところも暑くなかったんですけれど、
日中、外を歩くと暑すぎて危険を感じるほどでした。
夜は全然平気なんですけど。
- 伊藤
- サンマルタン運河で
パリの人たちが水遊びしている映像が
ニュースで流れていましたよ。
飛び込んで泳いでいたり。
- Noriko.I
- きれいじゃないんですけどね、水。
- 伊藤
- それでもいい、というくらいの
暑さだったのかなあと思いました。
- Noriko.I
- フランスの人は暑さに慣れてないですもんね。
それに、カラッカラっていう感じでもなく、
ずっと蒸していた感じなんです。
アーケードの中はビニールハウスみたいになっちゃって。
それでも私たちは無事だったんですけれど、
お客さんが無事じゃなくて、
ショールームに来られない人がけっこういました。
たどりつけない、って。
ショールームの前にいたデリバリーの人が、
バイクを止めて具合が悪そうだったので
「ちょっとあなた大丈夫?」と声を掛けたら
全然大丈夫じゃなくて。
ショールームに入ってもらったら、
座るどころか、床に倒れちゃって。
床が冷たいから、それはよかったんですけど、
救急車を呼んでも、なかなか来なくて。
- 伊藤
- そうだったんですね、パリでは、そんなことが。
でも、じゃあロンドンは、一応大丈夫。
お疲れ様でした。ほんとに。
- Noriko.I
- いえいえ。
- 伊藤
- さて、今回のDANNA TOP(ダナトップ)が
すごいと思うのは、
以前、同じ素材で色ちがいのものを買って、
夏は毎日のように着て、洗濯機に放り込んで、
乾燥機までかけているんですけど、
全然、生地がへたらないんです。
たぶんもう100回くらい洗濯していると思うんですよ。
あまりに具合がよいので、同じ素材で
今回weeksdaysのために、
と4色の別注をお願いしました。
- Noriko.I
- ありがとうございます。
以前「weeksdays」で
扱っていただいたのはコットン100%、
今回のものは伊藤さんがお持ちのものと同じ、
ナイロン87%、ポリウレタン13%の、
シャリっとしたトリコット素材(*)ですね。
これ、28ゲージっていう細い糸で編んだ、
縦横どっちにも伸びるスポーツウェアの素材なんです。
だからお洗濯にも強く、耐久性が高い。
しかも接触冷感といい、
うっすら冷たく感じる加工をしてあって。
(*)トリコット素材は「経編(たてあみ)」の一種。
伸縮性、柔らかさ、型崩れのしにくさを持ち、
シワになりにくく、吸水速乾性や耐久性に優れる。
- 伊藤
- 毛玉も全然できないし。
最近、素材の進歩がすごいなあと思って。
- Noriko.I
- 日本の工業って、小さい点を深く掘るような
性質があるじゃないですか。
だから日本の素材って素晴らしいんだと思います。
海外で見せても素材が日本と言うだけで、
「やっぱりいいね!」みたいに思っていただける。
- 伊藤
- へえー。すごく信頼がある。
- Noriko.I
- そうなんです。
- 伊藤
- どっちが先だったんですか。
素材ありきかデザインありきか。
- Noriko.I
- 素材が先ですね。素材と色。
私はいつも先に素材を選んでから形を寄せるんです。
- 伊藤
- 素材と色。
- Noriko.I
- その素材に合う色というものがあるので、
まず素材と色を選んで、それに最適な形を
アーカイブから引っ張り出したり、
自分でまた一から考えて作る、
そういう感じでやってます。
- 伊藤
- この素材にこの形はよい、ってことなんですね。
ちょうど二の腕が隠れて、いい感じです。
- Noriko.I
- 二の腕問題は重要課題でございますので。
- 伊藤
- ほんとですよね。
- Noriko.I
- むき出しにならない方向で。
- 伊藤
- それで助かってる人が多いですよ。
そして、もうとにかく日本の夏が暑すぎる。
私はこれで乗り切れるんじゃないかと思ってます。
- Noriko.I
- そうですね。接触冷感って、
着比べると全然違って。
着たときにヒヤッて冷たいんですよね。
- 伊藤
- うんうん、気持ちいい。
- Noriko.I
- しかも脱水機から出したら、
半分乾いてます、みたいな。
- 伊藤
- ほんとそうなんですよ。
やはり素材が進化している感じは、
ありますか?
- Noriko.I
- 暑さ系の素材はすごく増えてます。
UV加工も。
- 伊藤
- それは海外ではなく日本で見られる傾向?
- Noriko.I
- 海外にもあるかもしれないんですけど、
私、海外の生地は見ていないんです。
COGはもう絶対にメイドインジャパン。
- 伊藤
- あ、絶対、なんですね。
- Noriko.I
- たまに、日本には無い素材、
たとえばヴィーガンレザー(*)だったりは、
イタリアのものを使うことがありますが、
あとはもう全部日本。
(*)動物の皮革を使わず、
人工的にそれを再現した素材のうち、
植物性廃棄物や繊維を樹脂と混ぜ合わせた
植物由来(バイオベース)のもの。
- 伊藤
- メイドインジャパン。
- Noriko.I
- 海外では、メイドインジャパンじゃないと
「あ、違うのね」と、
スッと通り過ぎて行っちゃうんです。
日本のブランドだと、まず「あ、日本なんだ」と見て、
「これどこで作ってるの?」って言うから
「ジャパンです」と答えるでしょう、そうすると
「オール、メイドインジャパン?」って。
「イエス」と答えてもさらに、
「でもファブリックは?」と訊かれる。
「ファブリックも含めてオールメイドインジャパンですよ」
って言うと「オッケー!」ってなるんです。
- 伊藤
- すごいですね、その信頼感。
私、生地がクタッてなってくると
買い替え時かなって思うんですが、
これ、全然そうならないから、
ずーっとクローゼットに残っていて。
ほんとすごいなあと思いながら見てるんです。
- Noriko.I
- それがシンセティック(人工)素材の
いいところですよね。
- 伊藤
- だから今回、ぜひこの素材でつくっていただきたくて。
すぐ乾くし涼しいし、ヘタッとならないし。
夏、皆さん、へとへとになってるときにも、
いいんじゃないかなぁって。
- Noriko.I
- あと、うちの服って、わりとこう、
形が「パフッ」としてるから、
肌に触れないのも涼しさにつながると思うんですよ。
肩に乗っかってるだけであとは全部もう自由、みたいな。
- 伊藤
- 確かに。そっか、お腹周りもそうですね。
- Noriko.I
- 猛暑のパリにいたとき、
COGのワンピースを着たんですね。
イギリスだと通常が寒いから、
夏でも下にキャミソールを着るんですが、パリでは
「いやもうキャミなんて着てらんないぞ」と思って、
下はブラジャーだけにしたんです。そうしたら、
「あれ? 私、裸で歩いてるのかな」みたいな感覚に。
- 伊藤
- ちょっと不安になるぐらいの。ふふふ。
でもすごくいいですね、それ。
ほんと、暑がりとしては、それを求めてます。
COGの服って、
確かに肩に乗っかってるだけな気がしますよ。
- Noriko.I
- ですよね。
下にゴムを入れてあり、パフッてなるから、
絶対、お腹周りも涼しい。
そしてアームホールが下についてるから、
インナーがそんなに見えちゃうわけでもない。
- 伊藤
- うんうん。その安心感。
この素材があるから、パフッとさせたんですよね。
- Noriko.I
- はい。そこそこ、張る素材じゃないと、
その形のよさが出ないと思います。
この素材はそれに合っていますよね。
(つづきます)
2026-08-03-MON