梶「おっ、今日はスンドゥブですか！」広報の赤塚さん「たまたまですが、ぼくのリクエストです」梶「グッジョブです！（キッチンスタッフの方へ向かって）こんにちは、スタイリストの梶です。以前、撮影のときに食べて美味しかったんで、取材にかこつけてまた来ました！」スタッフの方「ありがとうございます（笑）」担当編集「おっきなお釜だなあ。いつも何合くらい炊いてるんですか」スタッフの方「５キロくらいだから‥‥33合？」赤塚「今日はコンロが足らなくてアウトドア用の備品を動員してます」梶「CHUMSの会社っぽい」担当編集「社員食堂ということは、通常ぼくらみたいな外部の人間は入れない‥‥んですよね？」赤塚さん「はい、そのとき一緒にお仕事させていただいている方をお誘いすることはあるんですけど」担当編集「通りがかりの井之頭五郎さんがフラッと、とかは」赤塚さん「ないです」梶「さすがにそれはぼくもやったことない」赤塚さん「今週の金曜日には社内大食い選手権を開催する予定です。はじめての試みなんですが」梶「おもしろそう！」赤塚さん「弊社代表の土屋芳隆がずっとやりたいって言ってて」担当編集「素敵な社長だ！」梶「何を大食いするの？」赤塚さん「ギョーザです！」

梶「どうです？（ハフハフしながら）」担当編集「むぅ‥‥これは‥‥」梶「最高でしょ？（ハフハフしながら）」担当編集「社食という概念を超えているのでは」梶「そうです。そうなの。そのことを伝えたかったんですよ。これが毎日、食べられるんですよ？　入社したくなっちゃうよね」赤塚さん「ありがとうございます（笑）」梶「おうちごはんと外食のハイブリッドだと思う。単に味のレベルが高いだけじゃなく、実家で食べるごはんみたいなあったかみがある。だから『お店以上』だと思ってます」担当編集「たしかに。今日のスンドゥブにも、どこかやさしさを感じますもんね。辛いけど。この取り組みは、いつから？」赤塚「コロナの少し前くらいです」梶「社員さんからの評判もいいでしょ、きっと」赤塚さん「はい、みんな大好きですね」梶「おいしいってこともあるし、このへん（港区青山）でお昼ごはん食べようと思ったら1500円くらいしちゃう、もんね」赤塚さん「在宅もＯＫなんですけど、けっこうみんな出社してきます」梶「来ちゃうよね、会社。こんなお昼ごはんが待ってると思ったら」担当編集「梶さんなら皆勤賞でしょうね」梶「自信ある」

担当編集「ランドウェルさんとのおつきあいは長いんですか？　こんなおいしい社食にありつけちゃうほど」梶「以前も何度かお世話になってたんだけど、密な関係になったのは、ここ数ヶ月。ランドウェルさんが新しいブランドを立ち上げたんですよ。chamberfellowsっていうんだけど」赤塚さん「はい。デビューシーズンのルックブックを梶さんにお願いしたんです」担当編集「なるほど。それは、どんなブランドなんですか」梶「粋な感じだよね」赤塚さん「テイストとしてはアメカジとヨーロッパのカジュアルの中間で、CHUMSに比べると高級感のあるラインナップです。社長兼ブランドディレクターの土屋が63歳なんですけど、同世代をもっと元気にしたいという思いから立ち上げたブランドなんです」梶「ルックブックのモデルは、大人の男性が４人。ジョン・カサヴェテス監督の『ハズバンズ』をイメージしたんだけど、その中のひとりを木村東吉さんにお願いしたんです」担当編集「木村東吉さん？」梶「そう、『POPEYE』の初代モデルだった人。いまは河口湖で暮らしてるんだけど、ピッタリだなって。今回はスタイリングだけじゃなく、世界観から相談があったんです。だから、いつかモデルをお願いしたいと思ってた木村さんにオファーしました」

赤塚さん「はい。ダブルブレストのチェスターコート。スタイリング、めちゃくちゃカッコよくないですか？　梶さんらしい、絶妙な着崩し感で」担当編集「見た目も上品だし仕立てもよさそうなので、お高いんでしょう？」赤塚さん「ええと（笑）、はい。カシミア混のヘリンボーン、生地からつくって一着税込35万2千円するのですが、あえてスウェットの上下に合わせていただきました」担当編集「えらいカッコいいっす」赤塚さん「スーツとネクタイに合わせても当然いいんですが、これくらいカジュアルな着こなしを提案したいと思っていたので、さすがって感じです」担当編集「ほめられてますよ。ものすごく」梶「ハフハフ、ありがとうございます」担当編集「すっかり夢中か。スンドゥブチゲに」梶「あ、今回は写真も撮ったんです」担当編集「マジすか。この取材をやってると、つい『昼めしの人』だと思っちゃうんだけど、東京でいちばんカッコいいファッションの人のひとりだということを、こうして、たまに突きつけられるんですよね」梶「よかったです（笑）」

梶「フルーツオブザルームのスウェットにリーバイスのデニム。ま、いつもと同じです。足元はパラブーツ。磨いてません、あえて。パラブーツなんで」担当編集「そのココロは」梶「もともと上品なフランスの靴でしょ。実際このブーツも、ラストがシャンボードと同じなんですよ」担当編集「つまり、パラブーツの中でも銘品として名高いＵチップと同一の木型」梶「だからこそ、少し汚れてるくらいなほうが絵になるというか、カッコいいかなと。スカーフは、オールドフォークハウスってブランドのもの」担当編集「梶さんって、よく何か首元に巻いてる印象があるけど、スカーフははじめて見たかも」梶「シルクで上品なんですが、グラフィックが今っぽいんです。20代とかの若者がやってるブランドなんで。だからオヤジくさくならずに、でも、ちゃんとオヤジになれる」担当編集「そこへ必殺のチェスターコート、ですか」梶「そう。これ一着で風格の出るコートだから、何に合わせてもサマになる。ジーパンだろうがスウェットだろうがスニーカーだろうが成立させちゃう力があるんですよ」担当編集「役者みたいなコートだなあ」梶「そうそう。いまって『シンプルで機能的』みたいな服が多いでしょ。たまには、これくらいのコートを着たいよね。ちゃんとオヤジになれるし、オヤジの特権だとも思うしね」担当編集「いいなあ、オヤジ全肯定」梶「こんな感じが、ぼくの2025年暮れのスタイルです」