
今年の初夏、「ほぼ日の學校」で
「和紅茶」についての授業が行われました。
もともと紅茶が好きで、このごろいろいろ
興味が湧いているほぼ日乗組員の玉木が、
巷でよく聞く和紅茶について
「知りたい!」と思ったことがきっかけです。
当日、講師として来てくださったのは、
和紅茶専門店レインブラントティー代表の
森本禎志さんです。
3種類の和紅茶と、それぞれに合う食材との
ペアリングを楽しみながら、
たっぷりとお話をうかがいました。
進行は玉木、試飲役はほぼ日の若田と田中です。
文:藤田亜紗美
森本禎志(もりもと・ただし)
和紅茶専門店レインブラントティー代表。
大阪府八尾市出身。
和紅茶カフェのポップアップ出店や
講演活動などを通して、
和紅茶のさまざまな魅力や楽しみ方を提案。
- 玉木
- 本日は、和紅茶専門店レインブラントティーの
森本禎志さんにお越しいただきました。
- 森本
- よろしくお願いします。
- 玉木
- 最近聞く機会が増えてきた「和紅茶」について、
いろいろとうかがってみたいと思います。
そして、ほぼ日からは、一緒に試飲してもらう
メンバーに同席してもらっています。
「紅茶が好きでよく飲んでいる」という、
若田さんと田中さんです。
- 二人
- よろしくお願いしまーす。
- 玉木
- さきほど別のスタッフが、
「今日、若田さんのつけているアクセサリーが‥‥」って。
- 若田
- はい(笑)。
今日はおいしい和紅茶が
飲めるということだったので。
▲ティーポットのかたち!
- 田中
- すごーい。
- 森本
- さすがです。
- 玉木
- さっそくですが、和紅茶って、
一言で言うと、どういうものなんでしょう。
- 森本
- 細かい意味の違いはあるんですが、
基本的には「日本で作られた紅茶」を
「和紅茶」と呼んでいます。
ほかにも、「国産紅茶」「地紅茶」
「クラフトティー」などの呼び方がありますね。
- 玉木
- 日本で作られた紅茶。
- 森本
- はい。今日、特にみなさんにお話したいのは、
和紅茶の「自由度の高さ」です。
楽しみ方も自由ですし、
生産者の方々もすごく自由に作られています。
さらに、これは紅茶全般にも言えることですが、
和紅茶は、私たちの会話を弾ませてくれたり、
食材をよりおいしくしてくれたり、
生活を豊かにする名脇役だという
お話ができればと思っています。
- 玉木
- 楽しみです。
今日は、3種類の和紅茶と、
それぞれのペアリングを
考えてくださっているんですよね。
- 森本
- そうなんです。バラエティーに富んだ
3つの和紅茶をご紹介したいと思っています。 - 1つ目は「べにふうき」で、
和紅茶の人気を牽引してきた品種で、
香り高く、海外の紅茶にも負けないような
ボディ感が特長です。
2つ目は「さやまかおり」です。
普段は緑茶に使われている品種で、
紅茶にしたときの味と香りの違いを
感じていただけるかと思います。 - そして3つ目が「やぶきた」です。
「やぶきた」も緑茶用の品種で、
日本で最も多く栽培されています。
その「やぶきた」を使うと、どんな紅茶になるか、
ぜひ楽しんでください。
- 玉木
- それぞれの和紅茶と、どんな食材を
ペアリングされるんでしょう。
- 森本
- 「べにふうき」にはチーズケーキを合わせます。
もう、あきらかにおいしそうな組み合わせです(笑)。
「さやまかおり」には、
ビーントゥーバー(Bean to Bar)チョコレート
と呼ばれる、香り高いチョコレートを合わせます。
最後の「やぶきた」には、ごはんを合わせ、
和紅茶のお茶漬けを作りたいと思います。
- 玉木
- お茶漬け!
それは、日本茶で作るものとは
やっぱり全然違いますか?
- 森本
- そうですね。いわゆる紅茶は、
茶葉を発酵させたものですので、
飲んだときの感覚としては、緑茶とは
違った味と香りを感じるかなと思います。
- 田中
- 紅茶のお茶漬けを食べるわけですね。
- 森本
- はい。どんな感じになるか、ぜひ楽しんでみてください。
- 玉木
- では、準備していただく間に、
先にちょっとうかがいたいのですが、森本さんは
日本中の茶園を回られているんですよね。
- 森本
- そうですね。当店は2019年に創業したのですが、
その年に、いろんな茶園さんを
回らせていただきました。
その際にお取引していただいた茶園さんとは、
今も長くお付き合いしています。
ほかにもイベントなどで、さまざまな茶園さんと
交流していますが、実は今、日本で紅茶を作っている
茶園は、1000カ所以上もあるんですよ。
- 玉木
- そんなにあるんですか。
- 森本
- 北海道を含む47都道府県に、
紅茶の生産者さんがいるという、
非常におもしろい状況になってきています。
ですので、当店と取引させていただいている茶園さんも、
全体から見ると、ごくわずかな数なんです。
- 若田
- その全国の茶園の方々は、もともとは日本茶を
作っていらっしゃったんですか。
それとも専門的に紅茶作りを始められたんですか。
- 森本
- 今、非常に重要な質問をいただきました。
- 一同
- おお。
- 森本
- ここが和紅茶のおもしろいところで、
もともとお茶の木というのは、
紅茶用でも緑茶用でも、全て同じツバキ科の木で、
茶葉を収穫した後の製造方法によって、
紅茶になったり、緑茶になったり、
烏龍茶になったりするんです。
さきほど、今日お出しする「さやまかおり」と
「やぶきた」は緑茶用の品種だとお伝えしましたが、
日本だと、ほとんどの茶園さんが
緑茶をメインに生産しながら、その傍らで、
紅茶を作ってくださっている、という状況なんです。
- 玉木
- 海外だと違うんでしょうか。
- 森本
- 海外の紅茶は大量生産をして、
輸出で外貨を稼ぐという目的があります。
もちろん自国でも消費はされていますが、
産地によってブランディングされているんですね。
ダージリンで紅茶を購入すると、
ダージリン味の紅茶が飲めますし、
アッサムの紅茶を買えばアッサム味がします。
それぞれの工程に専門の技師やスタッフがいて、
たくさんの方が紅茶作りに関わっています。
日本の茶園の場合は、主には家族経営の茶園さんが
お茶の木の栽培をして、収穫後の
製造までを一貫して行う形が一般的です。
これが和紅茶のオリジナリティを
生んでいる要因なんです。
- 玉木
- 多様性があるということですか。
- 森本
- そうなんです。その多様性があるがゆえに、
ちょっとわかりにくいという側面もあるんですよ。
「和紅茶っておいしいよね」という話をしたときに、
Aさんは「べにふうき」を飲んでいて、
Bさんは「やぶきた」を飲んでいて、
Cさんは「さやまかおり」を飲んでいるとなると、
当然、味や香りの感じ方が違ってくるので、
和紅茶ってこんな味、と言いにくいですし、
そこがわかりづらい部分かなと思います。
でも、それがあったからこそ、茶園さんがそれぞれ
創意工夫をされて、短期間で高品質の
和紅茶が作られてきた、ということも言えます。
そのあたりを寛容に見ていただきつつ、
楽しんでいただければと思っています。
- 玉木
- むしろ多様性を楽しむ。
- 森本
- そうですね。
多様性を楽しんでいただければ、うれしいですね。
味、香りの感じ方は、本当に人それぞれですので、
自由な感想を持っていただければと思います。
- 玉木
- わかりました。
では、さっそく1つ目の和紅茶を
淹れていただきましょう。
(つづきます。まずは「べにふうき」とチーズケーキのペアリングから!)
2026-10-22-THU
