
おしゃれな女性ファッション誌『sweet』で
連載中の「シンVOW」では、
毎回、すてきなゲストをお迎えし、
VOWについてあれこれ語りあっております。
このページでは、紙幅の都合で
『sweet』に載せきれなかった部分を含め、
たっぷりロングな別編集バージョンをお届け。
担当は、VOW三代目総本部長を務める
「ほぼ日」奥野です。どうぞ。
ROLLY(ローリー)
音楽活動にとどまらず、ミュージカルや舞台などさまざまな分野で才能を披露する永遠のロックスター。総本部長のマイギターヒーロー。ロックにとどまらず、日本の歌謡曲やシャンソンにも造詣が深い。とにかく、いろいろ天才的なお方!
- ROLLY
- もちろんね、『宝島』にも出たことはあります。
- ──
- ですよね。誌面でお見かけしたことがあります。
- ROLLY
- すかんちがデビューしたときに、
たしか『宝島』の企画で金閣寺に行ったんです。
- ──
- 金閣寺?
- ROLLY
- 当時、KISSとか外国のロックバンドが
日本へ来たときに、
こんなロンドンブーツ履いた人たちを
わざわざ
京都の金閣寺とか清水寺に案内して、
クワーッみたいなポーズで写真を撮ったり、
そうことをよくしてたんです。
- ──
- はい、見たことあります。
- 芸者さんに囲まれたQueenのメンバーたちが、
日本庭園みたいなところで
お茶会体験みたいなのをしてたりとか。
- ROLLY
- 当時ね、みうらさんが
デビューしたてのすかんちに声を掛けてくれて、
「キミたち、おもしろいから金閣寺へ行こう!」
と誘ってくれたんです。 - で、みんなで一緒に行って、KISSと同じように
クワーッというポーズを取って、
カメラに写されたりとかしていたわけですよね。
- ──
- へええ、すかんちのみなさんが。
- ROLLY
- その姿をね、みうらさんは
「アホやなあ、こいつら」って大笑いしながら
見ていたらしいんですけど、
そこへ、やじ馬さんがいっぱい寄ってきた。 - 何だ何だと言ってね。
観光客の外国の人も写真パシャパシャ撮って。
- ──
- そりゃ撮りたくなりますよね。
- ROLLY
- そしたらね、どこからともなく
「じゅんやないか」
「じゅんやないか」と言う声が聞こえてきた。 - 「まさか、その声は」と思って振り返ると、
やじ馬の中に
みうらさんのお母さんがいたらしいんですよ。
- ──
- わはは、母子で見てたってことですね。
金閣寺の前の、すかんちのみなさんの勇姿を。
- ROLLY
- お母さんもね、何やろう何やろうと見てたら、
自分の息子がいて「じゅんやないか」。 - ぼくね、この話、好きなんですよ。
- ──
- すばらしいエピソードです。
- ちなみに、中島らもさんも関西方面ですけど、
ご交流とかって‥‥。
- ROLLY
- ないんですよ。残念ながら。
- ──
- らもさんって、『宝島』で
関西のほうの会社さんの
カネテツデリカフーズの連載広告をやってましたし、
バンド活動もしてましたから、
ROLLYさんとも接点あったのかなと思って。
- ROLLY
- ただ、中島らもさん原作の
『こどもの一生』という舞台には出ました。 - 山田のおじさんというね、
チェンソーを振り回す気の狂った人の役で。
長年、古田新太さんがやってたんですが、
コロナ禍に再演することになって、
こともあろうに、ぼくが、抜擢されまして。
- ──
- おおー、時を超えためぐり逢い。
山田のおじさん 写真提供:ROLLYさん
- ROLLY
- カレーをガガガガッと食べながら、
人の話をいっさい聞かずに、
とんでもない早口で、
えんえん一方的に話し続けないといけない、
そういう役でした。 - 中島らもさんって、
学問に精通された方でしたよね、とっても。
- ──
- たしか灘校から大阪芸術大学ですよね。
- ROLLY
- そうそう、その大阪の芸術大学へ、
友だちと一緒に受験に行ったそうなんです。 - ふたりともみごと合格したんだけど、
大学の構内に
「マムシ出没注意」という立て看板があり、
その友だち、入学を辞めたそうなんです。
- ──
- なんと。マムシ怖さに?
- ROLLY
- で、その人はその後どうなったかというと、
ニューヨークへ渡って、
プラズマティックスというバンドね、
ステージ上でキャデラックを爆発させたり、
チェーンソーでギター切断したりする、
とんでもなく過激なライブをするバンドの
ベーシストになったんですよ。
- ──
- マムシが怖かったせいで。
- ROLLY
- 船原長生(ちょうせい)さんという人です。
- ぼくは、
プラズマティックスが好きだったんですが、
あるときに
日本人ベーシストの「船原長生」のことを
調べていたら、
その事実にたどりつきました。
しかもさらにその後は、ブロードウェイの
ミュージカルの作曲家として
世界的にも有名な音楽家になったそうです。
- ──
- マムシが怖かったおかげで!
- ROLLY
- プラズマティックスのボーカルは、
ウェンディ・オーリン・ウィリアムズって、
ロックのセックスシンボルとして一時期ね。 - (YouTubeを検索しながら)
ああ、これこれ、
このスキンヘッドの人が船原長生さんやね。
いやもうほんとに、
取材が先に進まなくてごめんなさいね。
- ──
- いえ大丈夫です。先も後もない取材なので。
- ROLLY
- じゃあ、まとめますとね。
- ──
- まとめるんですか! ここまでの話を。
- ROLLY
- おもしろいことっていうのは、
何気ないところに転がってるでしょ。 - VOWだってそうじゃないですか。
- ──
- ええ。VOWは完全に日常の一場面ですよね。
いってみれば「暮らし系」です。
- ROLLY
- 『すべらない話』というテレビがあったよね。
ああいうのを見てて
「おもろいなあ。なんでこの人らは
こんなおもしろい話ばっかりできるんやろか」
なんて思ったとするじゃないですか。
「芸人さんやからな、
おかしなことばっかり起こるんやろな」って。 - でもぼくは、それはちがうと思う。
- ──
- どうちがいますか。
- ROLLY
- おもしろいネタというものは、
そこらへんに、日常的に転がってるんですよ。
みんな見逃しちゃってるだけ。 - さっきの「中華飯」だって、そうでしょう。
- ──
- はい。ROLLYさんの「汚飯」もですね。
- これはおもしろいなと思って写真に撮って、
10年くらい
スマホに保存し続けている人もいれば‥‥
それはつまり
ROLLYさんのことですが‥‥
それに、まったく気づかない人もいますね。
- ROLLY
- そこなんですよ。目を凝らして見てみれば、
おもしろいことって、
そこらじゅうにいっぱいあると思うんです。
- ──
- つまり世の中をおもしろくするもしないも
自分しだいだ‥‥と。
- ROLLY
- そのことの大切さを教えてくれたのが、
たぶん、VOWだったような気がするんです。
◎お願いがあります 👉️出来ることなら赤いピンヒールがいいです。(東京都/てゃん亭きしょう迷) ♨️へえ、色とかも重要なんだ〜。‥‥って投稿人は自分の癖(ヘキ)を公表しなくてよし。
(終わります)
2025-11-14-FRI
