おしゃれな女性ファッション誌『sweet』で
連載中の「シンVOW」では、
毎回、すてきなゲストをお迎えし、
VOWについてあれこれ語りあっております。
このページでは、紙幅の都合で
『sweet』に載せきれなかった部分を含め、
たっぷりロングな別編集バージョンをお届け。
担当は、VOW三代目総本部長を務める
「ほぼ日」奥野です。どうぞ。
春風亭一之輔（しゅんぷうてい・いちのすけ）
いまもっともチケットの取れない落語家の一人として人気・実力ともに、若手真打Ｎｏ１の一之輔師匠。人間国宝・柳家小三治師匠に「本物」と認められ、若手として「いま聞いておくべき落語家50人」にも選ばれています。ハリのある声と抑揚の効いた表現で滑稽噺から人情話まで幅広く古典落語を演じ、また古典落語に現代的なギャグを盛り込むなど、常に進化し続ける落語が一番の魅力。年間約900席もの高座に上がりながらドラマ、バラエティー・ラジオ、書籍、ＣＤなど幅広い分野で活躍中。23年4月からはNTV「笑点」のレギュラーメンバーとしても活躍中。
- ──
- VOWって、写真一発で笑えるネタもあれば、
新聞への投書みたいに、
ある程度ちゃんと読まないとわからない、
みたいな「活字系」もあるじゃないですか。 - 師匠はどっちが好きですか。
どっちかっていうと。
- 一之輔
- そうだなあ、読むほうが好きかなあ。
とはいえ、写真ネタもあなどれないんだけど。 - ほら、スポーツ選手とかが、
たまたま試合中に見せる変顔とかのネタとか。
フィギュアスケートの何回転なのか、
とにかくクルクル回ってる最中って、
どんなに素敵な人でもすごい瞬間あるでしょ。
- ──
- 他になかったのかいと思うほどのショットが
新聞に掲載されちゃって、
それがまたVOWに投稿されちゃって。 - 師匠は、いつくらいまでVOW読んでました？
- 一之輔
- 大学くらいまで、ですかね。
たしか落研の部室にも置いてあった気がする。 - 古本屋にもやたら置いてあるよね。
- ──
- そうなんですよ。売っぱらわれやすいんです。
引っ越しのときとか、新生活の季節とか、
昨日までの自分にサヨナラしたいときとかに。
- 一之輔
- VOWを売って心機一転（笑）。
- 全盛期にはめちゃくちゃ売れてたわけだから、
出回ってる数も多いんだろうけど。
- ──
- ええ、シリーズ累計で
「全98冊、940万部」ものVOWが
世に放たれているそうです。 - 90年代のピーク時に出ていた号なんかは、
１冊で数百万部いってるとか。
- 一之輔
- 超ベストセラー、超ドル箱じゃない。
- ──
- ただ、奢れるものは久からずってことなのか、
先日、VOW担当の藪下さんのところに
社内の若手の方から
「ボウの件で」という内線がかかってきたと。
- 一之輔
- わはは、読み方（笑）。
- ──
- これ、ぼくもけっこう経験しているんです。
主に、若い人と話しているときに。 - そうやって、
すっかり知らない世代も当然いるのですが、
過去の名作をはじめとした
膨大なアーカイブが
死蔵されてはもったいないじゃないですか。
だからこうして、師匠はじめ
発信力のあるみなさんのお力を借りながら、
再普及活動につとめているんです。
- 一之輔
- 若い投稿人もいるのかなあ。
- ──
- そこですよね。いまVOWって
ウェブで毎日ひとつネタを更新していて、
かつ、こうして月に一回、
『sweet』と「ほぼ日」に
スペシャルインタビューを掲載してるんです。 - 競馬とかエロネタ、
飲み屋とかスナックの投稿も相変わらず多いので、
さっきも申し上げたように、
投稿人としては、
ナイスミドルな男性が多いと思うんです。
- 一之輔
- うん。
- ──
- で、そういう方々からも、
時代の流れで、
スマホ経由の投稿がたくさん届くんですが、
他方、いまだに「封書」の人もいて。
- 一之輔
- えっ、ネタを現像して、郵送してくるの？
いまだに？
- ──
- はい。ぼくのところへ、宝島社さんから
数ヶ月に一回、段ボール単位で届くんです。
「封書で届いたぶんです」って。
- 一之輔
- そうなんだ。この時代に。
- ──
- ええ、で、そのなかに、
イニシャルで言うと「Мさん」っていう、
ぼくが尊敬してやまない、
昔からの常連投稿人の方がいるんですね。
- 一之輔
- 尊敬。
- ──
- 尊敬です。というのも、
ぼくが現役の読者だった90年代くらいから
ずっと投稿し続けている方で、
VOWって、ちょっと前まで、
ペンネームとお住まいの都道府県に加えて
「年齢」も書かれていたんですが、
その方、当時「20代」だったんですよ。
- 一之輔
- うん。
- ──
- 昨年、ぼくが総本部長職を引き継いでから
届くようになった
その宝島社からの段ボールには、
Мさんからの投稿がたくさん入ってるんですが、
Мさん、いま「50代」になってます。
- 一之輔
- すごい。若いころのほうが
時間だって貪欲さだってあるだろうし、
アンテナの感度も高いと思うけど。 - 30年も続けてきたなんて、
もう生きがいになってるんでしょうね。
Мさんのためにも、
VOWをなくしちゃったらダメだね。
- ──
- 本当に。
- 一之輔
- でもさ、ぼくが中学とか高校のころって、
VOW以外に
『SPA!』の『バカサイ』とか
『週刊少年ジャンプ』の「ジャンプ放送局」も
読んでたんだけど、
常連の投稿人って「スター」だったんだよね。 - だって、おもしろいじゃないですか。投稿が。
- ──
- わかります。
ぼくはVOWに投稿した経験はないんですけど、
『ファミ通』の投稿コーナーには、
「ガバス」がほしさに
人知れずハガキを送っていた過去があるんです。
一回も採用されませんでしたが。 - あれは、才能ですよね。自分でもわかるんです。
オレのはおもしろくねぇなあってのが。
そして、常連さんの投稿はおもしろいってのが。
でも、師匠なら投稿も上手そうですけど。
- 一之輔
- ダメだと思うよ。つまりあれって大喜利でしょ。
スベったときの恐怖に耐えられないと思う。
- ──
- 毎週やってるじゃないですか（笑）。
- 一之輔
- でもさ、写真を撮らないまでも、
「あそこにヘンな看板があるなあ」とかって
学校帰りに友だちと見に行ったり、
おかしな新聞の折り込みチラシを見つけたら、
みんなで笑ったりとかしてたでしょ。 - そういうのを「投稿していい場所」があって、
おもしろかったら載せてもらって本になるとか、
河川敷で練習やってた野球部にとっての
「甲子園」みたいな場なわけじゃない。
みんな、腕まくりして投稿してたんだろうねえ。
- ――
- なるほど。たしかに。
そして、甲子園って言われるのはうれしいです。 - 今日は師匠がVOWを読んでいたことを知って、
そのことも、うれしかったです。
- 一之輔
- オファーを見た瞬間、
「VOW、まだやってたんだ」とは思ったけど。
- ──
- わはは、よく言われます！
- それくらいでちょうどいいのかとも思いながら、
でも、師匠をはじめ、
多くの才能ある人が読んでくれていたVOWを
「ボウ」のまま葬り去るわけには。
- 一之輔
- そうだよなあ（笑）。もったいないよね。
でもさ、
いつの日か『sweet』にいづらくなったら‥‥。
- ──
- 師匠！
- 一之輔
- ほぼ日で引き受ければいいんじゃないの？
- ──
- いやいやいやいや、さすがに荷が重いですよ。
VOWの看板は、おいそれとは。 - 第一、ほぼ日読者のお役に立てるかどうかが。
- 一之輔
- ワガママな超大型助っ人外国人が来た感じで、
扱いにくいのかな。
- ──
- いかがわしい古老って感じじゃないですかね。
下ネタ好きの。
どっちにしても
扱いにくいのはたしかだと思いますが（笑）。
- 一之輔
- まあ、昔からの読者としては
これからも変わらず続いてほしいですけどね。
- ──
- 時代はめまぐるしく変わっていくけど、
VOWはVOWのままで‥‥いいのでしょうか。
- 一之輔
- いいと思います。
- 今年から「甲子園」やりませんって言ったら、
楽しみがなくなっちゃうよって人、
たくさんいるでしょ。それといっしょですよ。
◎本日のMJ割 👉️勇気をふりしぼって「ポゥッ⤴」とやったら、場がシラーッとなるのを想像するだけで恐ろしいです（←チキン）。（東京都／w-w） ♨️しかも、ご新規様限定企画。見ず知らずの店にゼロ・グラビティ45度の角度で「ごめんください」と？
（ 終わります）
2025-10-12-SUN
