日々のできごとを記してみたり、
これからのことに思いをめぐらせてみたり。
手帳をひらくだけで、
じぶんとじっくり向き合う時間がうまれます。
そこに、おいしいお菓子と心地いい空間があれば、
さらに「いうことなし」だと思いませんか?
気まぐれに更新する「東京甘味手帳」は、
手帳タイムを過ごすのにぴったりな
東京のおいしいもの&お店案内です。

写真:川原崎 宣喜

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page_19 暑さを忘れる桃まるごとのスイーツ LOTUS

 
雲ひとつない青空、
アスファルトの照り返し。
立っているだけで汗がふきだす気候のなか、
夏の強い日差しに負けじと歩く。
きょう私がここにきたのは桃のため。
いまだけの桃のため。

 
上京したころ、
ドキドキしながら行ったカフェは、
変わらずわたしを迎えてくれた。

 
お店に一歩足を踏み入れると、
ショーケースにずらりと並ぶスイーツ。
おおきなシュークリームや
くまのかたちのくまショコラ。
どれも魅力的だなあ。
でも今日はそう、桃!

 
オープンキッチンを通り抜け、
席につく途中で
見えてしまった。
桃!
あれを食べるんだ。

 
地下にも客席があるんだよね。
初めてきたとき、
これが東京か! って驚いた。

 
今日の座席は1階の、
落ち着いたランプが置かれたテーブル。
座ってひと息ついて、
注文して、少し待つ。
汗が少しずつひいていく。

 
手帳を書きながら待っていると、
やってきた!
この時期だけの
「まるごとピーチ」。
きれいにむかれた桃が
そのままの姿で
お皿にのっている。

 
おそるおそるナイフを入れる。
これがほんものの桃なら
種に当たるところだけれど、
すっと刃が入っていく。

 
ナイフは難なくお皿まで到達。

 
断面をちょっとのぞいてみる。

 
ん? なんか赤いのが。

 
あ! いちご!

 
くしがたに切って、口に運ぶ。
フレッシュな桃の果汁が
口いっぱいに広がる。
なんてやわらかくてジューシーな桃!
真ん中にたっぷり詰められた
カスタードクリームの
やさしい甘みが、桃とよく合う。
いちごの歯ごたえと酸味も、
すごくいい感じ。

 
桃そのもののおいしさが
そのまま味わえる部分もありつつ、
スイーツとしての組み合わせの妙もあって。
ああ、これはどんどん食べちゃうな。

 
このとくべつな桃は、
夏の間だけのたのしみ。
来年もまた、
来られたらいいな。

 

LOTUS(ロータス)

2000年に開店して
カフェブームの火付け役となり、
いまもなお表参道を代表するカフェであるLOTUS。

栗とゴルゴンゾーラのペンネや
塩こんぶチャーハン、グリルチキンなど、
長く愛される定番の食事メニューだけでなく、
カスタードクリームたっぷりのシュークリーム、
キュートな見た目のくまショコラなど、
目移りしてしまうようなスイーツもずらり。

「東京の食堂」を標榜するLOTUSは、
しっかり食事をしたいときも、
甘いものを食べながら
ちょっと一息つきたいときにも、
同じように迎えてくれる場所です。

◎まるごとピーチ 1000円+税

甘みの強い山梨県産の桃をまるごと1個使った
インパクト抜群のスイーツ。

その甘さ自体を楽しんでもらうため、
桃は軽く色止めをするにとどめて、
コンポート(砂糖で煮る)などの加工をしない
フレッシュな状態で使います。
中央にはたっぷりのカスタードクリーム、
その中にいちごをイン。
桃とカスタードクリームがとけあって
絶妙な舌ざわりと甘みが口に広がります。
そのなかで、いちごの酸味がアクセントに。

長い間夏のメニューとして提供していましたが、
6年ほど前から人気に火がつき、
いまは平日でも1日100個、土日は150個ほど
注文されるのだとか。
「まるごとピーチ」に適した大きさと甘みの桃を
仕入れられる、
6月下旬から9月第1週くらいまでの
期間限定のスイーツです。
(まるごとピーチの注文は15時から。
お食事をされた方は11時から注文可能です)

◎スプリンクルケーキ  700円+税

2020年のクリスマスから登場し、
新しく人気メニューの仲間入りをしたケーキ。
懐かしさも感じさせる
色とりどりのチョコスプレーの中身は、
薄いスポンジの上に乗った
バニラのムースとフロマージュクリームの層。
ふわふわとやわらかく、
フォークがすっと入ります。
口に運ぶとムースとクリームが
さっととろけていきます。
ポップでかわいらしい外見に反して、
味わいはさっぱり。
じつは大人こそ楽しめるケーキです。

LOTUS

東京都渋谷区神宮前4-6-8
営業:10:00〜24:00(月〜日)
※状況によって変更の可能性あり
休み:なし
電話:03-5772-6077

 

目の前にツヤツヤ光る桃が置かれたときの高揚感。ナイフを入れるのをためらう気持ちと、早く食べたい気持ち。大きめに切って頬張って、口の中が桃やカスタードクリームの味でいっぱいになったときのあのうれしさ‥‥ああ、思い出していたら、もういちど食べたくなってしまいました。それにしても、「まるごと」っていい言葉だなあ。

(次回は常夏の島の甘味です。どうぞお楽しみに。)

2021-07-31-SAT

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