南伸坊さんと糸井重里が
あちこちを小旅行しながら、
めくるめく雑談をくりひろげる、
そこそこ人気のシリーズ、黄昏。
思えばずいぶん久しぶりの新作です。
奈良に居を移したゲージツ家、
「クマ」こと篠原勝之さんと話します。
それぞれが二十代のころから
とっくに雑談し合ってる3人、
はたしてどこまで行くのやら。
どうぞ、のんびりおつき合いください。
必然、「老いと死」についても語ります。

>糸井重里

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糸井重里(いといしげさと)

コピーライター
株式会社ほぼ日会長

雑談オールラウンダー。
ダジャレもシモもどんどん行く。
タコの話なども得意。

>南伸坊

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南伸坊(みなみしんぼう)

イラストレーター
エッセイスト

蓄積した雑学から雑談を展開。
さまざまなモノマネ経験あり。
タコの話なども得意。

>篠原勝之

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篠原勝之(しのはらかつゆき)

ゲージツ家
作家

鉄や土の作品をつくる一方、
文筆家としても活躍し、
泉鏡花文学賞を受賞する。
過去のエピソード豊富。

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第42回 間に合ったら、呼んで?


糸井
そこで聞いてる永田くんとさ、
俺たちの間に年齢差があるじゃないですか。
聞いてて、何を思ってるの?

──
そこを考えないようにしています。
糸井
(笑)
──
ほんとうはつながっているんですけど、
つながっていることを考えてしまうと、
自分もそこに加わらないといけないので、
この場の役割を守る意味でも、
無駄な背伸びしないという意味でも、
一歩目を踏み出さないようにしています。

南
それがいいんじゃないですか。
篠原
それ、大切なことだね。
糸井
うん。
篠原
いままだ若いでしょ?
──
56歳です。
篠原
まだ50歳代。
糸井
残念でしょ、56歳で。
──
はい(笑)。
篠原
そうか、君たちは毎回こういうことやってるの?

南
(笑)
糸井
毎日、旅行して、しゃべって、
おいしいものを食べてるのかってこと?
篠原
そういうことじゃない。
こういうさ、「死」についてとか語り合ってんの?
糸井
今日はとんかつ、今日は焼きそば。
篠原
そうじゃなくて(笑)、
みんなも、そういうのにつき合って、
死ぬ話とかしてんのか?
南
どうだろうね。
糸井
まあ、今回、会うこと自体久しぶりだし。
南
うん。
篠原
だってずっと取り留めのない話しててね、
最後に、こういう死の話。
南
でも、今回は、そういう話を
してもらいたかったんじゃないですか。
──
(笑)
篠原
あ、そういうことか。

糸井
まあ、しかし、
そういう話もできてよかったよ。
この「老いと死」の話っていうのは、
俺がやりたいって言って、
けっこう長く続けてるんだけど、
やりたいって最初に言ったときよりも、
いまのほうが、なんていうんだろう、
距離感が近くなって、遠くなった。
南
ああ、ああ。
糸井
つまり、考えることは少なくなったのに、
「ああ、死ぬんだ」ってことはわかった。
あれをしよう、つぎはこれしよう、
ということがあるって、
それだけでものすごくしあわせなことでさ。
だけど、そのまんまにしとくと、
本当にしないなっていうのがわかって、
最近、そのままにしないようにしようって、
ちょっと自分で思ったの。
南
ああ、なるほどね。
糸井
だから、人に会うとかっていうのも、
会わないで終わっちゃいそうだなっていう。
南
そうだよね。
糸井
いろんなことを、
やるよ、やるよって言ってきたんだけど、
なかなか、らくなことじゃないんだよね。
言うだけっていうのはいちばんらくだから。
だから、やりたいことは、そのままにしない。
おかげで、いろんな人に会ったりとかできてるし、
今回も、こうして、できたじゃない。
だから、たぶんそういうことは、
もっとやるんだよ。おもしろいから。
さいわいなことにさ、
「もう二度と会えないかもしれないからさ」って、
冗談を言っても、本当じゃない(笑)?
南
まあね(笑)。
篠原
だって、俺、最後かもしれないよ?
糸井
そうなんですよ。
それはいい武器だなっていうか、
いい道具もらっちゃったなみたいなところあって。

南
うん、そうだね。
篠原
道具か(笑)。
糸井
これだってさ、2回中止にして、
3回目に実現って、しぶといよね。
南
うん、そうだ(笑)
篠原
1回は俺の肺炎だな。
糸井
で、1回はスケジュールミスした人がいて。
南
あ、俺だね(笑)。

糸井
ふつう、延ばして3回って、なかなかね。
南
そうだね。
やっぱりダメかってことになっちゃうよね。
糸井
またいつかね、なんて言ってるうちに
終わっちゃうけど、
そこはうちの倉持さんが、しぶとく調整して。
南
ありがとうございます。
糸井
でも、やるといいわけ。
南
たのしいもんね。
篠原
そうだな。2回も3回も延びて、冬になって、
元気でこういう話もできてよかった。
糸井
そうだね。
篠原
これ、本当にくたばりそうになってたらよ。
糸井
できない、できない。
南
(笑)
篠原
冗談じゃねえやな。運もよかったってことだな。
糸井
たしかに、元気なうちでないと、
死の話なんてできないよ。
南
そうだねえ。
篠原
そうだよ。

糸井
それぞれみんなベッドにいてさ、
病室をいっしょにしてさ、
じゃあベッド横になったままで、
何かしゃべりましょうっていったってさ。
南
それもちょっとおもしろいけど。
糸井
設定はね(笑)。
篠原
話が終わるまえに、一人、二人って、
しゃべる人がだんだん減っていく。
南
ははははは。
篠原
でも、それもいいな。
死にそうなときに、死とは何かって言ってんの。
そういう場、もし俺が間に合ったら、呼んで?
南
いいねえ(笑)。
糸井
うん、俺も間に合ったら、お願い。
──
へんな大役を任せないでください(笑)

糸井
でも、そのときはさ、
3人ともしゃべれるくらいなんだから、
今日と同じことが薄まるだけじゃないの?
南
横になってるだけだからね(笑)。
篠原
そうかもな(笑)!


旅とおしゃべり:
篠原勝之
南 伸坊
糸井重里

写真・デザイン:
山口靖雄(MountainDonuts)

デザイン補佐:
諏訪まり沙(ほぼ日)
佐藤温 (ほぼ日)

文字起こし:
ちちあきこ

協力:
成瀬純子

進行:
倉持奈々(ほぼ日)

編集:
永田泰大(ほぼ日)

(黄昏、奈良編はこれでおわりです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました)

2026-04-07-TUE

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  • 写真・山口靖雄(MountainDonuts)

    これまでの「黄昏」シリーズ

    黄昏

    黄昏放談

    黄昏 日光・東北編

    黄昏 あちこち編

    黄昏 スカート編

    黄昏 ブータン編