
南伸坊さんと糸井重里が
あちこちを小旅行しながら、
めくるめく雑談をくりひろげる、
そこそこ人気のシリーズ、黄昏。
思えばずいぶん久しぶりの新作です。
奈良に居を移したゲージツ家、
「クマ」こと篠原勝之さんと話します。
それぞれが二十代のころから
とっくに雑談し合ってる3人、
はたしてどこまで行くのやら。
どうぞ、のんびりおつき合いください。
必然、「老いと死」についても語ります。
糸井重里(いといしげさと)
コピーライター
株式会社ほぼ日会長
雑談オールラウンダー。
ダジャレもシモもどんどん行く。
タコの話なども得意。
南伸坊(みなみしんぼう)
イラストレーター
エッセイスト
蓄積した雑学から雑談を展開。
さまざまなモノマネ経験あり。
タコの話なども得意。
篠原勝之(しのはらかつゆき)
ゲージツ家
作家
鉄や土の作品をつくる一方、
文筆家としても活躍し、
泉鏡花文学賞を受賞する。
過去のエピソード豊富。
- 糸井
- そこで聞いてる永田くんとさ、
俺たちの間に年齢差があるじゃないですか。
聞いてて、何を思ってるの?
- ──
- そこを考えないようにしています。
- 糸井
- (笑)
- ──
- ほんとうはつながっているんですけど、
つながっていることを考えてしまうと、
自分もそこに加わらないといけないので、
この場の役割を守る意味でも、
無駄な背伸びしないという意味でも、
一歩目を踏み出さないようにしています。
- 南
- それがいいんじゃないですか。
- 篠原
- それ、大切なことだね。
- 糸井
- うん。
- 篠原
- いままだ若いでしょ?
- ──
- 56歳です。
- 篠原
- まだ50歳代。
- 糸井
- 残念でしょ、56歳で。
- ──
- はい(笑)。
- 篠原
- そうか、君たちは毎回こういうことやってるの?
- 南
- (笑)
- 糸井
- 毎日、旅行して、しゃべって、
おいしいものを食べてるのかってこと?
- 篠原
- そういうことじゃない。
こういうさ、「死」についてとか語り合ってんの?
- 糸井
- 今日はとんかつ、今日は焼きそば。
- 篠原
- そうじゃなくて(笑)、
みんなも、そういうのにつき合って、
死ぬ話とかしてんのか?
- 南
- どうだろうね。
- 糸井
- まあ、今回、会うこと自体久しぶりだし。
- 南
- うん。
- 篠原
- だってずっと取り留めのない話しててね、
最後に、こういう死の話。
- 南
- でも、今回は、そういう話を
してもらいたかったんじゃないですか。
- ──
- (笑)
- 篠原
- あ、そういうことか。
- 糸井
- まあ、しかし、
そういう話もできてよかったよ。
この「老いと死」の話っていうのは、
俺がやりたいって言って、
けっこう長く続けてるんだけど、
やりたいって最初に言ったときよりも、
いまのほうが、なんていうんだろう、
距離感が近くなって、遠くなった。
- 南
- ああ、ああ。
- 糸井
- つまり、考えることは少なくなったのに、
「ああ、死ぬんだ」ってことはわかった。
あれをしよう、つぎはこれしよう、
ということがあるって、
それだけでものすごくしあわせなことでさ。
だけど、そのまんまにしとくと、
本当にしないなっていうのがわかって、
最近、そのままにしないようにしようって、
ちょっと自分で思ったの。
- 南
- ああ、なるほどね。
- 糸井
- だから、人に会うとかっていうのも、
会わないで終わっちゃいそうだなっていう。
- 南
- そうだよね。
- 糸井
- いろんなことを、
やるよ、やるよって言ってきたんだけど、
なかなか、らくなことじゃないんだよね。
言うだけっていうのはいちばんらくだから。
だから、やりたいことは、そのままにしない。
おかげで、いろんな人に会ったりとかできてるし、
今回も、こうして、できたじゃない。
だから、たぶんそういうことは、
もっとやるんだよ。おもしろいから。
さいわいなことにさ、
「もう二度と会えないかもしれないからさ」って、
冗談を言っても、本当じゃない(笑)?
- 南
- まあね(笑)。
- 篠原
- だって、俺、最後かもしれないよ?
- 糸井
- そうなんですよ。
それはいい武器だなっていうか、
いい道具もらっちゃったなみたいなところあって。
- 南
- うん、そうだね。
- 篠原
- 道具か(笑)。
- 糸井
- これだってさ、2回中止にして、
3回目に実現って、しぶといよね。
- 南
- うん、そうだ(笑)
- 篠原
- 1回は俺の肺炎だな。
- 糸井
- で、1回はスケジュールミスした人がいて。
- 南
- あ、俺だね(笑)。
- 糸井
- ふつう、延ばして3回って、なかなかね。
- 南
- そうだね。
やっぱりダメかってことになっちゃうよね。
- 糸井
- またいつかね、なんて言ってるうちに
終わっちゃうけど、
そこはうちの倉持さんが、しぶとく調整して。
- 南
- ありがとうございます。
- 糸井
- でも、やるといいわけ。
- 南
- たのしいもんね。
- 篠原
- そうだな。2回も3回も延びて、冬になって、
元気でこういう話もできてよかった。
- 糸井
- そうだね。
- 篠原
- これ、本当にくたばりそうになってたらよ。
- 糸井
- できない、できない。
- 南
- (笑)
- 篠原
- 冗談じゃねえやな。運もよかったってことだな。
- 糸井
- たしかに、元気なうちでないと、
死の話なんてできないよ。
- 南
- そうだねえ。
- 篠原
- そうだよ。
- 糸井
- それぞれみんなベッドにいてさ、
病室をいっしょにしてさ、
じゃあベッド横になったままで、
何かしゃべりましょうっていったってさ。
- 南
- それもちょっとおもしろいけど。
- 糸井
- 設定はね(笑)。
- 篠原
- 話が終わるまえに、一人、二人って、
しゃべる人がだんだん減っていく。
- 南
- ははははは。
- 篠原
- でも、それもいいな。
死にそうなときに、死とは何かって言ってんの。
そういう場、もし俺が間に合ったら、呼んで?
- 南
- いいねえ(笑)。
- 糸井
- うん、俺も間に合ったら、お願い。
- ──
- へんな大役を任せないでください(笑)
- 糸井
- でも、そのときはさ、
3人ともしゃべれるくらいなんだから、
今日と同じことが薄まるだけじゃないの?
- 南
- 横になってるだけだからね(笑)。
- 篠原
- そうかもな(笑)!
旅とおしゃべり:
篠原勝之
南 伸坊
糸井重里
写真・デザイン:
山口靖雄(MountainDonuts)
デザイン補佐:
諏訪まり沙(ほぼ日)
佐藤温 (ほぼ日)
文字起こし:
ちちあきこ
協力:
成瀬純子
進行:
倉持奈々(ほぼ日)
編集:
永田泰大(ほぼ日)
(黄昏、奈良編はこれでおわりです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました)
2026-04-07-TUE
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写真・山口靖雄(MountainDonuts)
これまでの「黄昏」シリーズ
黄昏
黄昏放談
黄昏 日光・東北編
黄昏 あちこち編
黄昏 スカート編
黄昏 ブータン編






