南伸坊さんと糸井重里が
あちこちを小旅行しながら、
めくるめく雑談をくりひろげる、
そこそこ人気のシリーズ、黄昏。
思えばずいぶん久しぶりの新作です。
奈良に居を移したゲージツ家、
「クマ」こと篠原勝之さんと話します。
それぞれが二十代のころから
とっくに雑談し合ってる3人、
はたしてどこまで行くのやら。
どうぞ、のんびりおつき合いください。
必然、「老いと死」についても語ります。

>糸井重里

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糸井重里(いといしげさと)

コピーライター
株式会社ほぼ日会長

雑談オールラウンダー。
ダジャレもシモもどんどん行く。
タコの話なども得意。

>南伸坊

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南伸坊(みなみしんぼう)

イラストレーター
エッセイスト

蓄積した雑学から雑談を展開。
さまざまなモノマネ経験あり。
タコの話なども得意。

>篠原勝之

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篠原勝之(しのはらかつゆき)

ゲージツ家
作家

鉄や土の作品をつくる一方、
文筆家としても活躍し、
泉鏡花文学賞を受賞する。
過去のエピソード豊富。

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第38回 死とやりたいこと


糸井
ここ1年くらい、ほぼ日で
「老いと死」をうっすらとテーマにしててね。
この「黄昏」もいちおう
そのなかに入っているんだけど、
まあ、自然と、ここまでにそういう話を。
南
してるね(笑)。
わりとしっかり、老いも、死も。

篠原
死ぬってことか。
まあ、もう、俺は近いね。
糸井
はやいね、語りだすのが。
一同
(笑)
篠原
いや、でもね、リアルに近いよ、もう。
いや、いつとかそういうのはないよ。
ないけども、想像つくな、とか思うもん。
南
ああ。
篠原
けっこうね、俺は肺が弱いからね、
きっと肺から来る。
肺から来てね、呼吸困難でね、死ぬと思う。
夜、こうやって寝ててね、
死ぬところを想像するときがあるよ。
たぶん、のどに痰が詰まって、
「ん」っとなって、
逝くんだろうなと思うときがある。
糸井
具体的だね。
篠原
具体的にそう思うんだ。
それはね、すごく怖いことじゃないんだよ。
こうやって逝くんだろうなって。
あ、練習してるわけじゃねえよ?
一同
(笑)

篠原
こういうふうに逝くのかもしれない、俺は、
と、そう思うんだよ。
だからと言って、慌てるでもない。
糸井
怖くはないんだね。
篠原
そんなにめちゃめちゃ、
「ああ怖い!」とかね、
「どうしよう!」とかね、そういうのはない。
やり残したことも‥‥たとえば、
糸井としゃべっててよ、
つぎはこういう茶碗をつくろうかなと
思ったのがあるんだよ。
たぶん、このあと、それをつくる。
でも、それが途中で終わっても、
俺、ぜんぜん惜しくないなと思う。
だから、そういう意味でも、怖いなとか、
そういうのはぜんぜん思わないんだ。
かといって、急ごうとも思わない。
行けるとこまで行ってね、
うまく行けたらこっちのもんだな。
糸井
うん。
篠原
その茶碗ができたら糸井に知らせるよ。
ちょっと見てよ、って。
で、「忙しいから、今度にして」とか言われて、
そういうときに、ポロッと逝っちゃったりね。
糸井
(笑)

南
でもまあ、何か
やりたいことがあるっていうのはいいよね。
篠原
そうかもな。
糸井
「やりたいことがあるっていいよね」
って言ってる伸坊に、聞いてみたい。
何か、元気なうちにやりたいことがある?
南
やりたいこと、うーん‥‥。
もともとそんなに(笑)。
糸井
若いころから(笑)。
南
そうそう(笑)。
篠原
年賀状で、大谷翔平のマネしてたり、
大谷翔平の犬になったりしてるじゃん。
ああいうのは?
糸井
あれね(笑)。
南
うーん、あれも、なんていうか、
やりたくてやってるわけじゃないんだよ。
篠原
やりたくてやってるわけじゃないの?!

糸井
はははははは。
南
まあ、お正月には
年賀状出さなきゃいけないな、と。
今年はどうしようかね、ということだから。
糸井
えー、そうか、そうか。
南
そうなんだよ。
糸井
伸坊が、何かがすごくやりたくて
やってるわけじゃないのは知ってるけど、
それって編集者的ということなのかもね。
作家みたいに何かを出したいわけじゃなくて、
自分がやりたかろうがやりたくなかろうが、
そろそろこうかな、とか、
誰々と何かするべきじゃないかな、とか、
あるいは、誰かが生み出した仕事に
いいですねって言ったりっていうので、
絶えず未来と約束をしてたわけですよ。
南
ああ、はいはい。
糸井
編集者って、そうじゃない?
印刷所に入れて直してとか。
そういう面倒くさいことも、
うれしそうにやってるから。

南
やるのがたのしいならできるよね。
だから、冗談でやるなら、
いくらでも真剣にできちゃう。
糸井
冗談が商売だからってわけじゃないよね。
南
商売じゃないから、冗談はいいですよ。
糸井
だから、ふざけた人なんですよね。
南
あははははは。
篠原
そうだな。
しかも、ふざけてるのにうまいんだよなあ。
南の、人のマネした文章。
顔のマネだけじゃなく、
その人の文章を書くのがおもしろくて、
腹が立つほど上手なんだよ。
糸井
そうそうそう!
南
(笑)

(そう、伸坊さんの本人シリーズは文章もいい)

2026-04-03-FRI

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  • 写真・山口靖雄(MountainDonuts)

    これまでの「黄昏」シリーズ

    黄昏

    黄昏放談

    黄昏 日光・東北編

    黄昏 あちこち編

    黄昏 スカート編

    黄昏 ブータン編