
南伸坊さんと糸井重里が
あちこちを小旅行しながら、
めくるめく雑談をくりひろげる、
そこそこ人気のシリーズ、黄昏。
思えばずいぶん久しぶりの新作です。
奈良に居を移したゲージツ家、
「クマ」こと篠原勝之さんと話します。
それぞれが二十代のころから
とっくに雑談し合ってる3人、
はたしてどこまで行くのやら。
どうぞ、のんびりおつき合いください。
必然、「老いと死」についても語ります。
糸井重里(いといしげさと)
コピーライター
株式会社ほぼ日会長
雑談オールラウンダー。
ダジャレもシモもどんどん行く。
タコの話なども得意。
南伸坊(みなみしんぼう)
イラストレーター
エッセイスト
蓄積した雑学から雑談を展開。
さまざまなモノマネ経験あり。
タコの話なども得意。
篠原勝之(しのはらかつゆき)
ゲージツ家
作家
鉄や土の作品をつくる一方、
文筆家としても活躍し、
泉鏡花文学賞を受賞する。
過去のエピソード豊富。
- 糸井
- クマちゃんの焼いてるものは、
どこの土をつかってるの?
- 篠原
- 決まってねえだよ。
土の業者さんがいるから、
今度こういうのがやりたいって言って、
赤いのとか、あそこのあれとか言うと、
持ってきてくれる。
それを買って、ほかの土とブレンドしたり、
ちょっと小石を入れたりなんかして混ぜて、
そこからつくりはじめる。
- 南
- じゃあ、決まった土じゃなくて、
どっかから持ってきてるんだ。
- 篠原
- 持ってきてもらってる。
だから、一回一回、違うものになる。
俺のやり方は、どうしてもそうだな。
ろくろをやらねえし、
めんどうくさいことをやってるんだよ。
- 糸井
- そうみたいだねえ。
- 篠原
- でも、めんどうくさいほうが、
俺にとってはおもしろいわけだよ。
まあ、ろくろを上手につかえば、
もっと速くたくさんできるんだろうけど、
ねちねち自分の手でつくるのが好きなんだな。
- 糸井
- ねちねち。
- 篠原
- ひたすら、ねちねちやってるだよ。
だから、なんだろうな、
こういうやつなんだなと思う。
- 糸井
- ねちねちつくるやつなんだね。
- 篠原
- うん。
でも、今度ね、伊賀にある窯に、
50個くらい持っていって焼くんだ。
木と一緒に入れて、窯を密封して焼く。
だから、蒸し焼きっていうか、
いぶし焼きみたいな感じになるんだけどな。
- 糸井
- 野焼きみたいなもの?
- 篠原
- 野焼きとも違うんだよ。
密封して焼くから酸素が少なくなって、
炭をつくる感じに近い。
酸素を少なくして、いぶすわけだ。
酸素を吸い取って、真っ黒になる。
- 糸井
- いままでもやってことがあるの?
- 篠原
- いや、はじめてやる。
とりあえず一回送ってあるんだけどね。
もうちょっとつくって、また送って。
- 糸井
- なんだか、おもしろそうに言うねぇ(笑)。
- 篠原
- うん?
- 糸井
- おもしろそうでいいなと思う。
- 南
- ははははは、そうだねえ。
- 篠原
- まあ、もう、80過ぎてな、
でも知らねえことばっかりだろ?
伝統陶芸やろうなんて思っちゃいないんだけども、
かといって、いまからオブジェをつくろうとか、
そんなもんぜんぜんない。
ただひたすら、器をつくって、
それだけで俺十分だなと思うんだけど、
それはね、毎回、おもしろいだよ。
- 糸井
- おもしろそうに言うってこと自体が、
もうね、いいことだよ。
- 南
- うん。
- 糸井
- つまり、それだけでまずは、
しあわせなことじゃないでしょうか。
- 篠原
- そうかな(笑)。
まあ、できないことばっかりだけどな。
- 糸井
- そりゃあ、そうさ。
- 篠原
- 病院行ったりするじゃん。
おじいさんたちはさ、みんなこうやって、
自分で金払うだよ。カードでこうやって。
あれのやり方が、ずっとわかんない。
- 南
- あー、あれね(笑)。
- 糸井
- いいよ、クマちゃんは、
そういうのできなくても。
- 篠原
- まあ、いまさらな(笑)。
俺が自立したらおかしいだろ。
- 南
- ははははは。
- 糸井
- だから、雑草みたいにね、
倒れたら倒れたままで、
自立せずにそこでそのまま生きる。
- 篠原
- そうそう、なんとかね。
- 糸井
- 俺も不得意なことは、
ずっと不得意のままだからね、
ごまかしごまかしてやってますけど。
- 篠原
- いや、糸井は、すごいよ。
だって、いま、会社が何人ぐらいいるの?
- 糸井
- ものすごい数の人がいますよ。
もう、ニューヨークの人口ぐらい。
- 南
- ははははは、ほんとは何人?
- 糸井
- 150人ぐらいいますよ。
- 篠原
- 150人もいるの!
- 糸井
- うん。
- 篠原
- へーーー、すごいな。
糸井、毎日、会社行くの?
- 糸井
- 毎日行ってるよ(笑)。
なんか、ときどきそれ言われるんだけど、
ふつうに毎日出社してるよ。
- 篠原
- すごいな。
- 糸井
- いや、それこそ雑草じゃないけどさ、
そうできるようにしたんだよ。
そういう会社なんだよ。
- 南
- ああ、なるほどね。
- 篠原
- 植物みたいにな。おもしろいな。
- 糸井
- おもしろいねぇ。
- 篠原
- 動物はなぁ、生きたり死んだりする。
植物、生きながら死んだりするんだから、
いいなと思って。
- 糸井
- すごいね。
- 篠原
- 死にながら生きたり、
生きながら死んだり。
(急にいい話も飛び出すのが雑談のよいところ)
2026-03-20-FRI
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写真・山口靖雄(MountainDonuts)
これまでの「黄昏」シリーズ
黄昏
黄昏放談
黄昏 日光・東北編
黄昏 あちこち編
黄昏 スカート編
黄昏 ブータン編






