シンクーが時間をかけて大切に作ったのが、
ハローウォッシュとセラム ウォッシュ、 2種類の洗顔料です。
自分たちが本当に欲しい商品を求めるうちに、
「こう洗いたい」と「こうありたい」は
よく似ていると感じるようになりました。
洗うって、肌のことだけじゃない。
モノやコトを清潔に保ち、心にまで働きかける。
その人らしさが、見えてくる。
さまざまな分野のプロたちが習慣にしている
「洗うこと」を、ミニエッセイでお届けします。

前へ目次ページへ次へ

07 白澤貴子さん   ファッションエディター 乗馬が教えてくれた、洗うたのしさ。

8年前に乗馬をはじめた。
子どもがまだ小さかったころだ。
それをきっかけに、エルメスで鞍も買った。
簡単に手に入れられたものではない。
採寸のために何度かパリに出向き、
やっと手元に迎えられたものだ。

それ以来、馬に乗ったあとは必ず
鞍をたっぷりの泡で洗って、
保湿クリームでケアするということを
毎度毎度、自分に課している。
私にとっては、この鞍に出合ったことが
「洗う」の大きな転換点になった。

洗って磨きあげられた鞍を見て、触れる。
手をかければかけるほど、
美しい姿で応えてくれることに感激する。
乾燥でひび割れさせたりなんかして、
無残な姿には絶対にさせやしない。

牛の一枚革で作られた、エルメスの鞍。専用のソープバーをたっぷり泡だて、なでるようにやさしく洗う。牛の一枚革で作られた、エルメスの鞍。専用のソープバーをたっぷり泡だて、なでるようにやさしく洗う。

自宅にて。鞍に保湿クリームをていねいに塗り込む。
自宅にて。鞍に保湿クリームをていねいに塗り込む。

洗うは、磨くにも通じる。
たとえば、銀のカトラリー。
毎日使っていると黒くならないのに、
少しの間使わないと、すぐに黒ずんでしまう。
(やきもちを妬いているのだろうか?)
磨いてあげると、本当にぴかぴかになる。
これまでは、手間がかかって
どちらかというと面倒なケアだと思っていた。
けれど、いまはちがう。
磨いている時間は、私の心がととのう。
なにより、楽しい。

自分の肌や体だって、そう。
もともと美容にうとくて、
化粧水と乳液のどちらを先に使うかさえ
知らなかった私だけれど、
いまは、この肌が宝物だと思う。
手をかけて、いつくしみたい。

ファッションエディターという職業柄、
ありがたいことに、
素敵なひとにたくさん出会う。

ある美容家との語らいも、
忘れられない出会いのひとつ。
あまたある化粧品ブランドの中から
なにを選べばいいか分からないと言った私に、
その人は「洗顔料で決める」と教えてくれた。
ブランドの洗顔に対する考え方に共感できたら、
ほかのスキンケアもシリーズで揃える、と。
美容に詳しくない私には、
目からウロコのアドバイスだった。

メンズのファッションに携わる友人からは、
カシミア専用のブラシを教えてもらった。
帰宅してコートにさっとかけるだけで、
美しいツヤがよみがえる。
高いものを買ったからといって、
それだけで長く着られるわけではない。
ちゃんとした道具でお手入れしてこそ。

20代の頃にはなかった、
ていねいに洗うという心の余裕。
いいものを知り、それを磨く大切さ。
年齢を重ねるたびに、
洗う、磨く、ととのえ直すことが、
どんどん心地よくなっていく。

 

(Text by HOBONICHI)

しらさわたかこ・ファッションエディター

10代の頃からファッション雑誌の編集に携わる。
現在は『VERY』をはじめとした雑誌やウェブ、
広告のディレクションなどを行う。
趣味のヴィンテージドレスのコレクションは200着以上。

 

2021-10-21-THU

前へ目次ページへ次へ