哲学者で作家の永井玲衣さんは、
日々の問いをみんなでききあいじっくり考える
「哲学対話」という活動を行っています。
どういうものなのか知りたくて、
永井さんの哲学対話を見せていただきました。
舞台は都内の小学校。
「強いとはなにか」という問いから、
子どもたちと永井さんが考えを深めていきます。
第1回から第3回は哲学対話のレポート、
第4回から第6回は永井さんと、
サポートにきてくれた大学院生の
奥田時生(とき)さんのインタビューです。
ほぼ日の安木が担当しました。

>永井玲衣さん プロフィール

永井玲衣(ながい・れい)

1991年、東京都生まれ。哲学者。作家。学校、企業、自治体など幅広い現場で、答えのない問いを深めていく「哲学対話」を行う。著書に『これがそうなのか』(集英社)、『さみしくてごめん』(大和書房)などがある。2021年に刊行された『水中の哲学者たち』(晶文社)で第17回「わたくし、つまりNobody賞」受賞。趣味は念入りな散歩。

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第3回  ぼくは、話したいことがある!

なっとう(永井)
じゃあ、ここで一度、質問を整理しようか。
「武器を捨てたら戦争はなくなるのか」ってことを
いまみんなで考えているけど、どう思う?
ヒレカツ
あの、武器を作るときにさ、
「痛いから人にはつかわない」とか、
最初にルールをつくっておけば、いいだけじゃん?
ナゲット
でもさ、ルールを守らない人が、
また武器をつくったりするからさ。
あと、むかしの時代みたいにやれば、
たしかに戦争はなくなるけどさ、
イノシシとかに、たおされるかもしれない。
なっとう(永井)
なるほど。
ナゲット
カレーが全然しゃべってない。
カレー
‥‥あのさ、さっきのアイスの話なんだけど。
一つのものを一つの国で保有しても、
そこにきた他の国の人によって、
その国にも伝わって、欲しがる人が増えて、
戦争になるかもしれない。
だから、保有してもいいけど、
それを戦争につかうのはだめにすればいいと思う。
ルールをつくればいいってことかな。

なっとう(永井)
じゃあ、みんな。
「戦争を起こさないようにできること」って、
ルールをつくることなのかな。
それ以外にあるかな?
アイス
はい!
あの、自分の国にもほしいからって、
戦争をおこして奪うんじゃなくて、
つくってる人におねがいして、
ちょっと教えてもらって、
それと似てるのを自分たちの国で
つくってもいいんじゃないかと思う。
そしたら戦争はおきないんじゃないかって思う。
なっとう(永井)
なるほど〜。おもしろいね。
次の人はどうですか?
すずき
あの、けっこう前にアイスが言ってた
「他の国にぜんぶわたさなければいいじゃん」
ってことなんだけど、
ほかの国にもわけてあげなきゃ、
日本の評判がわるくなっちゃうと思う。
なっとう(永井)
ひとりじめしちゃうと、そうなるってことだね。
すずき
うん。だから、ほかの国にもゆずってあげて、
戦争でつかったら、だめってすることにしたら?
さっきカレーがいってたみたいに。
ヒレカツ
つくりたい物があったときに、教えてあげればいい。
教えたらその人たちも作れるし、
ケンカにもならない。
カレー
ねえ、なっとう。
「強いってなんだろう」って話じゃなくていいの?
なっとう(永井)
問いがどんどん変わっていくの哲学対話だから、
いいんだよ。
トンコツはどう思う?
戦争をしないために必要なことって、思いつく?
トンコツ
ううん。ない!
なっとう(永井)
じゃあ、次の人に聞こう。
あんこはどう思う?
あんこ
わかんない。
きなこもち
ぼくは、話したいことがある!
なんかさ、戦争はよくないことは
みんなたぶん、わかると思うよ。
わかるけど、なぜやるか、
わかんないから理由を教えてほしい。
なんで戦争をやるのか。
理由もなくやるとしたら、おかしくない?
ケンカもそうだけど。
なっとう(永井)
たしかに。なんで戦争ってするんだろう。
きなこもち
あとさ、人をころしたりするってさ、
うらみでもあるのか、わかんないけど‥‥。
うらみがあるんだったら、
ちゃんと話し合いをしてほしい。
なんで人をころすのか理由がほしいし、
戦争をする理由もほしいし、
武器を作る理由もほしい。
でも、おれは、武器を作る理由は、
人をころしたいだけだと思う。
人がころされることが、
どれだけ悲しいか、味わってほしい。
なっとう(永井)
うん、そうだね。
ナゲット
領土をとるために戦争をしてるけどさ、
そもそもさ、悪い人がいなければ
こんな話しなくてすむんじゃない?
カレー
言いたいことがあるんだけど、
化学兵器とか戦車を使うと
人がいっぱい死んじゃう。
あんまりやると森がなくなって、
人間以外もいなくなっちゃう。
戦争をすると、
兵隊じゃない人でも戦争にかりだされたり、
ほんとは戦争に行きたくないのに
勝手に決められちゃって、ふつうの人も減るから、
戦争するのは、よくないと思う。
きなこもち
なんかさ、人が亡くなるっていうことがさ、
どんだけ悲しいか、おれたち、わかるよね。
自分たちが死んだら、やだよね。
なっとう(永井)
そうだね。
きなこもち
だからさ、戦争するなら、
くちゲンカでいいんじゃない?
くちゲンカと、なぐりあい。
ナゲット
死なない程度にやるってことね。
すずき
でも戦争はしちゃだめだよ。

なっとう(永井)
さいごにみんなにどうしても聞きたいんだけど、
いま日本では戦争はしてないけど、
世界では戦争をしてるじゃない。
そんな時にこどももおとなも、
できることって、ないのかな?
ヒレカツ
ある! 
かならず、できることはみんなにある。
なっとう(永井)
どうしてそう思うの?
ヒレカツ
だってさ、こどもがいま練習してることは、
大人になればできるようになる。
大人もさ、自分ができることを
こどもに教えてるわけじゃん。
だから、どっちにもできることはあって、
そのできるをつかえば、
なかなおりも、できるんじゃない?
ナゲット
さすがに赤ちゃんには、
できることがないと思うから、
3才くらいになってからがいいと思う。
カレー
うーん、そうだねえ。
まあ‥‥
もめ事があったら、話し合いで決めるか、
それでも決着がつかなかったら‥‥
きなこもち
なぐりあいになるよ!
カレー
平等に、話し合うのがいいと思う。
そもそも戦争をしないように、
国と国の代表が5人ずつくらいで、
話し合いで決めるのがいいと思う。
きなこもち
なんか、戦争っていうのは
こどもたちも、こわがるし、
ごはんも食べられなくなるし、
大変になるじゃん。
こどもが死んだり、かぞくが死んだり、
お腹がすきすぎて、うえて死んだり。
大人たちもがんばって、
こどもたちを守りたいけどさ、
戦争でたくさん死んでるんだよ。
だから、戦争はもう、ほんとにやめてほしい。
なっとう(永井)
やめてほしいね。
こどもがそれをいうことに
わたしは意味があると思うなあ。
きなこもち
戦争は日本はやめたけど、
ほかの国はやめてないじゃん。
他の国も早くやめてほしい。
もしかしたら日本だって、
攻撃されちゃうかもしれない。
ナゲット
沖縄はむかし攻撃されてるんだよ。
なっとう(永井)
そうだね。
沖縄ではたくさんの人が亡くなってしまったね。
‥‥みんなすごいね、1時間も話してた。
じゃあそろそろ終わろうか。
よく話してくれたね。
すずき
さいごに言いたい。
なっとう(永井)
それじゃあ、最後にすずきの話を聞いて終わろう。
すずき、教えて。
すずき
いろんな国で戦争をしていて、
何人も、たくさん死んでるのに、
なんでやめようって思わないんだろう。
ナゲット
ぼくもさいごに言いたい!
カレー
さいごに言いたい!

なっとう(永井)
さあ、もう終わるぞー!
哲学対話は、きれいに答えをだして終わらせずに、
まだまだ、もやもや考えることや、
話すことがいっぱいあるぞって状態で
終わりたいと思います。
1時間、よく考えて教えてくれました。
ほんとにほんとに、ありがとう。
みんなまだ話したりないと思うから、
帰ったら大人としゃべったり、
近くの友だちとしゃべったりしてください。
ありがとうございました!
ヒレカツ
足、しびれた〜。
なっとう(永井)
しびれたなあ(笑)!

(つづきます。明日からは永井さんと奥田さんのインタビューです。)

2025-12-07-SUN

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