
ふたつの対談をいったりきたり
こんにちは、「ほぼ日」の奥野です。
ご存知だと思いますけど、
ここ数ヶ月内に、我らがラヂヲ先生は
2冊の本をお出しになりました。
ひとつは『わるい猫』といいまして、
SNS時代の最新の4コマ漫画。
もうひとつは
『和田ラヂヲのここにいます』で、
往年の4コマ作品を復刻した大部の著。
それらの刊行記念として、
前者は画家のヒグチユウコさんと、
後者は旧知のゆかいな仲間たちと、
それぞれ別の日に、別の場所で、
それぞれ楽しく
おしゃべりしていただいたんですが。
あれ、あれあれあれ?
なんだか時空が歪んでいるような‥‥
パラレルワールドにでも、
まぎれこんでしまった‥‥ような‥‥。
- ──
- しかし思うに「コミックス」というものは、
各版元さんで、
あるていどフォーマット化していますよね。
- 藤江
- そうそう。講談社の「ヤンマガ」なら、
その当時は「ビーバップ」とかの時代ですけど、
背のデザインなんかは統一でしたし。 - そうすると書店で「棚」が取りやすいんですよ。
『ヤングマガジン』の場所を確保しやすい。
だから「ヤンジャン」でも
デザインをみんな統一していこう‥‥という、
そういう機運が高まっていたんです。
そこへ「ここにいます」で「え?」みたいな。
- ──
- どう説得したんですか。えらい人たちを。
- 藤江
- ぼくもまだ入社2年めとか3年めだったんで、
編集長に何て説明していいかもわからなくて、
ただもう‥‥何ていうの、
「俺すっげえがんばってますよ!」という‥‥。
- ──
- わはは、徒手空拳!
- 藤江
- 何なら風邪もひいてるんですぐらいな感じで、
ヨレヨレしながら編集長のところへ行って、
「いや、編集長、
このシリーズは『ヤンジャン』の棚じゃなく、
『伝染るんです。』とか、
A5判のハードカバーの棚に入れたいんです!
そうじゃないと売れないです!」
みたいに言ったら
当時の山路編集長が「OK」と言ってくれて。
- 小林
- ただ、まさかぜんぶが、
それぞれにまったく違うデザインになるとは
思わんかったやろな(笑)。
- ラヂヲ
- 最後の「遊べる時代」だったよね。
- 藤江
- そうですね。
- ラヂヲ
- ここに「ヤンジャン ファックスコミックス」
と書いてあるぞ。なんだこれは。
- 藤江
- そんなレーベルないしなあ(笑)。
- 小林
- 勝手に書いたんだろうなあ。誰かが。
- ラヂヲ
- そもそも、ファックスで入稿すること自体に
賛否両論あったし。それでいいのかと。
- ──
- そのことをふくめて、
全体に若々しいエネルギー値を感じますよね。
- 小林
- ぼくもまだ駆け出しのデザイナーだったから、
いろんな紙とか
印刷技術を試したくてしょうがなかった。 - この透明の紙を使ってみたいですとか言って。
- ラヂヲ
- そういう意味では、
F1というのはあながちまちがってないよね。
- 小林
- 全巻を固有のデザインにしたいと思ったのは、
仕事帰りに本屋さんに寄ったとき、
けっこう同じ巻を買ってしまうことがあって。 - デザインのフォーマットが統一されてるから。
- ラヂヲ
- ああ、はいはい。
- ──
- なるほど。巻によって別々のデザインにしたら
間違えにくいですもんね。
- ラヂヲ
- 俺たちの場合、
間違ってもらったほうがいいんじゃない?
- 藤江
- よけいに売れるからね。ちがいますよ!(笑)
- たしかに俺も『伝染るんです。』の3巻を
2回、買ってしまうとか、実際やってたんで。
「ああ、そうやな」と思って納得しました。
- ──
- 第1巻が和風。2巻がアメリカ風‥‥。
- 小林
- 毎回変えていくってコンセプトが、
『伝染るんです。』とはちがう方向でしたね。
- 藤江
- 2巻はもう「WADA RADIO’S I’m Here!」
でいこうって話までいってたよね。 - 『和田ラヂヲのここにいます』じゃなくて。
- ──
- タイトルが変わってる(笑)。
さすがにそれは‥‥ゆるされたんですか!?
- 藤江
- 怒られました。
- 小林
- あるいは「和風」「アメリカ風」ときたら
3巻はたぶん、
ヨーロッパ風か中華風なあとかって
読者は思うだろうから、
そこは軽やかに裏切っていこうかなと。
- ──
- 3巻は「北極あるいは南極風」(笑)。
- 小林
- 4巻は「宝島風」です。
- ──
- もはや架空の島じゃないですか(笑)。
- 小林
- そうそう。で、5巻にいたっては、
さっきも話に出たけど「男子風」だし(笑)。
- 保田
- そもそも、若かりし日のラヂヲ先生の投稿を、
「おもしろい」と言ったのが
たしか、小林さんだったんですよね?
- ラヂヲ
- そうそう。
藤江くんが2代目なんですよ、担当としては。 - ぼくが毎週投稿して新人賞に送っていたころ、
初代担当になってくれた人が、
ぼくのマンガが
おもしろいかどうかがわからなくて(笑)、
小林くんに聞いたんだよね。
「これ、おもしろいの? どうなん?」って。
- 小林
- 当時『ヤングジャンプ』の常駐デザイナーとして
編集部にいて、
たまたま「月例ギャグ新人賞」というページの
デザイン担当で、
毎回、和田さんが投稿してたの見てたんです。 - そのギャグ新人賞のページの担当編集が、
和田さんの初代担当になる方だったんですが、
「この人のマンガ、おもしろいと思う?」
って聞いてきたんです(笑)。
- ──
- おお!
- 小林
- 「僕、よくわかんなくてさあ」
って言うから、
「いやいや、めちゃくちゃおもしろいですよ!」
と答えました(笑)。
- ラヂヲ
- ただ、その初代の担当の方が、
いまの「和田ラヂヲ」の名付け親なんですよ。
- ──
- おもしろいかどうかはわからなかったけど、
歴史に残る仕事をしてますね。
- 藤江
- 他の候補が、「和田ミカン」とかだったって。
- ラヂヲ
- そっちに決まらなくてよかったよ。
- 小林
- 当時のギャグ新人賞のページって、
だいたい1コマだけ載せて「佳作誰々」
みたいな発表の仕方だったんです。 - でも、当時の和田さんのネタ、
とにかくおもしろいなあと思ったので、
勝手に4コマすべてを割り付けて
「これは
ぜんぶ載せたほうが絶対いいですよ!」
と言って、載っけてもらったりとかね。
- ──
- すばらしい進言です。
- 小林
- だって、
1コマだけじゃわかんなくないですか。
- ──
- たしかに‥‥和田ラヂヲ作品はとくに
そうかもしれません。
- 小林
- すごい新人があらわれたなあと思いました。
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(一方そのころ、もうひとつの時空では。
次回、
06 おしゃべり with ヒグチユウコさん
へと続く)
2026-08-26-WED
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SNSにアップされた数百本の4コマ作品を
再編集のうえ書籍化した『わるい猫』、
傑作『和田ラヂヲのここにいます』を中心に
1990年代の作品を
ラヂヲ先生自ら選定・再編集した
『和田ラヂヲのここにいます ヘヴィー級』。
どちらも、うれしい厚みで、
どちらも、どこから読んでもおもしろい。
『わるい猫』はこちらにて、
『和田ラヂヲのここにいます 超ヘヴィー級』
『和田ラヂヲのここにいます ヘヴィー級』は、
ともにこちらで絶賛販売中です!
また、ヒグチユウコさんのボリス雑貨店でも
サイン入りの『ヘヴィー級』が
まだ販売中なのを確認しました
(「新商品」のカテゴリの前から3ページ目、
2026年8月17日【月】午前10時現在)。
ちなみに‥‥ねんのためにおつたえしますと、
昨年『わるい猫』発売のタイミングで
ヒグチさんとラヂヲ先生に対談していただき、
その原稿まとめをモタモタしているうち、
ヘヴィー級&超ヘヴィー級の
『和田ラヂヲのここにいます』が出てしまい、
今回「超時間おしゃべり」と銘打って、
ふたつの対談を同時掲載することにしました。
パラレルワールドには迷い込んでいません。