ふたつの対談をいったりきたり

こんにちは、「ほぼ日」の奥野です。
ご存知だと思いますけど、
ここ数ヶ月内に、我らがラヂヲ先生は
2冊の本をお出しになりました。
ひとつは『わるい猫』といいまして、
SNS時代の最新の4コマ漫画。
もうひとつは
『和田ラヂヲのここにいます』で、
往年の4コマ作品を復刻した大部の著。
それらの刊行記念として、
前者は画家のヒグチユウコさんと、
後者は旧知のゆかいな仲間たちと、
それぞれ別の日に、別の場所で、
それぞれ楽しく
おしゃべりしていただいたんですが。
あれ、あれあれあれ?
なんだか時空が歪んでいるような‥‥
パラレルワールドにでも、
まぎれこんでしまった‥‥ような‥‥。

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202X年某月某日 おしゃべり with ゆかいな仲間たち 05 もう一案は「和田ミカン」

──
しかし思うに「コミックス」というものは、
各版元さんで、
あるていどフォーマット化していますよね。
藤江
そうそう。講談社の「ヤンマガ」なら、
その当時は「ビーバップ」とかの時代ですけど、
背のデザインなんかは統一でしたし。
そうすると書店で「棚」が取りやすいんですよ。
『ヤングマガジン』の場所を確保しやすい。
だから「ヤンジャン」でも
デザインをみんな統一していこう‥‥という、
そういう機運が高まっていたんです。
そこへ「ここにいます」で「え?」みたいな。

──
どう説得したんですか。えらい人たちを。
藤江
ぼくもまだ入社2年めとか3年めだったんで、
編集長に何て説明していいかもわからなくて、
ただもう‥‥何ていうの、
「俺すっげえがんばってますよ!」という‥‥。
──
わはは、徒手空拳!
藤江
何なら風邪もひいてるんですぐらいな感じで、
ヨレヨレしながら編集長のところへ行って、
「いや、編集長、
このシリーズは『ヤンジャン』の棚じゃなく、
『伝染るんです。』とか、
A5判のハードカバーの棚に入れたいんです!
そうじゃないと売れないです!」
みたいに言ったら
当時の山路編集長が「OK」と言ってくれて。
小林
ただ、まさかぜんぶが、
それぞれにまったく違うデザインになるとは
思わんかったやろな(笑)。
ラヂヲ
最後の「遊べる時代」だったよね。
藤江
そうですね。
ラヂヲ
ここに「ヤンジャン ファックスコミックス」
と書いてあるぞ。なんだこれは。
藤江
そんなレーベルないしなあ(笑)。
小林
勝手に書いたんだろうなあ。誰かが。
ラヂヲ
そもそも、ファックスで入稿すること自体に
賛否両論あったし。それでいいのかと。
──
そのことをふくめて、
全体に若々しいエネルギー値を感じますよね。
小林
ぼくもまだ駆け出しのデザイナーだったから、
いろんな紙とか
印刷技術を試したくてしょうがなかった。
この透明の紙を使ってみたいですとか言って。
ラヂヲ
そういう意味では、
F1というのはあながちまちがってないよね。

小林
全巻を固有のデザインにしたいと思ったのは、
仕事帰りに本屋さんに寄ったとき、
けっこう同じ巻を買ってしまうことがあって。
デザインのフォーマットが統一されてるから。
ラヂヲ
ああ、はいはい。
──
なるほど。巻によって別々のデザインにしたら
間違えにくいですもんね。
ラヂヲ
俺たちの場合、
間違ってもらったほうがいいんじゃない?
藤江
よけいに売れるからね。ちがいますよ!(笑)
たしかに俺も『伝染るんです。』の3巻を
2回、買ってしまうとか、実際やってたんで。
「ああ、そうやな」と思って納得しました。
──
第1巻が和風。2巻がアメリカ風‥‥。
小林
毎回変えていくってコンセプトが、
『伝染るんです。』とはちがう方向でしたね。
藤江
2巻はもう「WADA RADIO’S I’m Here!」
でいこうって話までいってたよね。
『和田ラヂヲのここにいます』じゃなくて。
──
タイトルが変わってる(笑)。
さすがにそれは‥‥ゆるされたんですか!?
藤江
怒られました。
小林
あるいは「和風」「アメリカ風」ときたら
3巻はたぶん、
ヨーロッパ風か中華風なあとかって
読者は思うだろうから、
そこは軽やかに裏切っていこうかなと。
──
3巻は「北極あるいは南極風」(笑)。
小林
4巻は「宝島風」です。
──
もはや架空の島じゃないですか(笑)。

小林
そうそう。で、5巻にいたっては、
さっきも話に出たけど「男子風」だし(笑)。
保田
そもそも、若かりし日のラヂヲ先生の投稿を、
「おもしろい」と言ったのが
たしか、小林さんだったんですよね?
ラヂヲ
そうそう。
藤江くんが2代目なんですよ、担当としては。
ぼくが毎週投稿して新人賞に送っていたころ、
初代担当になってくれた人が、
ぼくのマンガが
おもしろいかどうかがわからなくて(笑)、
小林くんに聞いたんだよね。
「これ、おもしろいの? どうなん?」って。
小林
当時『ヤングジャンプ』の常駐デザイナーとして
編集部にいて、
たまたま「月例ギャグ新人賞」というページの
デザイン担当で、
毎回、和田さんが投稿してたの見てたんです。
そのギャグ新人賞のページの担当編集が、
和田さんの初代担当になる方だったんですが、
「この人のマンガ、おもしろいと思う?」
って聞いてきたんです(笑)。
──
おお!
小林
「僕、よくわかんなくてさあ」
って言うから、
「いやいや、めちゃくちゃおもしろいですよ!」
と答えました(笑)。
ラヂヲ
ただ、その初代の担当の方が、
いまの「和田ラヂヲ」の名付け親なんですよ。
──
おもしろいかどうかはわからなかったけど、
歴史に残る仕事をしてますね。
藤江
他の候補が、「和田ミカン」とかだったって。
ラヂヲ
そっちに決まらなくてよかったよ。
小林
当時のギャグ新人賞のページって、
だいたい1コマだけ載せて「佳作誰々」
みたいな発表の仕方だったんです。
でも、当時の和田さんのネタ、
とにかくおもしろいなあと思ったので、
勝手に4コマすべてを割り付けて
「これは
ぜんぶ載せたほうが絶対いいですよ!」
と言って、載っけてもらったりとかね。
──
すばらしい進言です。
小林
だって、
1コマだけじゃわかんなくないですか。
──
たしかに‥‥和田ラヂヲ作品はとくに
そうかもしれません。
小林
すごい新人があらわれたなあと思いました。

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(一方そのころ、もうひとつの時空では。
次回、
06 おしゃべり with ヒグチユウコさん
へと続く)

2026-08-26-WED

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  • 好評発売中! 重版街道爆走中の『わるい猫』 「超ヘヴィー級」とくらべたら圧倒的に読みやすい 『和田ラヂヲのここにいます(ヘヴィー級)』

    好評発売中! 重版街道爆走中の『わるい猫』 「超ヘヴィー級」とくらべたら圧倒的に読みやすい 『和田ラヂヲのここにいます(ヘヴィー級)』

    SNSにアップされた数百本の4コマ作品を
    再編集のうえ書籍化した『わるい猫』、
    傑作『和田ラヂヲのここにいます』を中心に
    1990年代の作品を
    ラヂヲ先生自ら選定・再編集した
    『和田ラヂヲのここにいます ヘヴィー級』。
    どちらも、うれしい厚みで、
    どちらも、どこから読んでもおもしろい。
    『わるい猫』はこちらにて、
    『和田ラヂヲのここにいます 超ヘヴィー級』
    『和田ラヂヲのここにいます ヘヴィー級』は、
    ともにこちらで絶賛販売中です!
    また、ヒグチユウコさんのボリス雑貨店でも
    サイン入りの『ヘヴィー級』が
    まだ販売中なのを確認しました
    (「新商品」のカテゴリの前から3ページ目、
    2026年8月17日【月】午前10時現在)。

    ちなみに‥‥ねんのためにおつたえしますと、
    昨年『わるい猫』発売のタイミングで
    ヒグチさんとラヂヲ先生に対談していただき、
    その原稿まとめをモタモタしているうち、
    ヘヴィー級&超ヘヴィー級の
    『和田ラヂヲのここにいます』が出てしまい、
    今回「超時間おしゃべり」と銘打って、
    ふたつの対談を同時掲載することにしました。
    パラレルワールドには迷い込んでいません。