
ふたつの対談をいったりきたり
こんにちは、「ほぼ日」の奥野です。
ご存知だと思いますけど、
ここ数ヶ月内に、我らがラヂヲ先生は
2冊の本をお出しになりました。
ひとつは『わるい猫』といいまして、
SNS時代の最新の4コマ漫画。
もうひとつは
『和田ラヂヲのここにいます』で、
往年の4コマ作品を復刻した大部の著。
それらの刊行記念として、
前者は画家のヒグチユウコさんと、
後者は旧知のゆかいな仲間たちと、
それぞれ別の日に、別の場所で、
それぞれ楽しく
おしゃべりしていただいたんですが。
あれ、あれあれあれ?
なんだか時空が歪んでいるような‥‥
パラレルワールドにでも、
まぎれこんでしまった‥‥ような‥‥。
- 小林
- 忘れとったんかい。
- 藤江
- ごめん。
遅れて登場した集英社の藤江さん
- ラヂヲ
- 電話のとき、呂律が回ってなかったからなあ。
- 藤江
- いやいや、昨日ね、
ほぼ日の「生活のおたのしみ展」の最終日へ
駆け込みましてね。
- ──
- えっ、本当ですか! ありがとうございます。
- ラヂヲ
- いやいやいや、「生活のたのしみ展」だから。
「おたのしみ」じゃなくて。
- 藤江
- 「お」付けたいな思て。
- ラヂヲ
- 上品か。
- 藤江
- とにかく、すみません。
- さっき、会社へ到着する寸前に
小林くんから電話がかかってきまして、
あわてて参上いたしました。
- ──
- いま、この本の経緯を聞いていまして。
- 藤江
- はいはい。
- 小林
- 最終巻の9巻のとき、
みんなで三日三晩テーマを考えてたんだけど、
たしか1日目くらいに
「最後はヘヴィー級、いいじゃん」みたいに
なったと思うんだよ。
- 藤江
- うんうん。
- 小林
- ただ、「ヘヴィー級」といったって
中身のボリュームは変わらないから、
表紙だけ
ダンボールみたいな分厚い紙を貼ったりして、
なんとか「ヘヴィー級」を表現できないかと。
- ラヂヲ
- 最後だから、やっちゃえやっちゃえと。
- ──
- それまでも、
だいぶやっちゃっている感じがしますが。
- ラヂヲ
- でも、ダメだったんだよな。
- 小林
- そう。藤江くんから
集英社の制作の方へ話に持ってってもらって、
「こういう案です」と言ったら、却下で。
- 藤江
- それまではね、
たいへんに理解のある制作部だったんですよ。
5巻か6巻くらいのときに
「今回は、こういう仕様で」と言ったら、
「えっ、その程度でいいの?」みたいな(笑)。
- ──
- 逆ダメ出し(笑)。
- 藤江
- 聞いてみたことがあるんです。
毎回、こんなに変な仕様で
会社的に大丈夫ですかって。 - そしたら、制作部の担当者が
「このシリーズはF1だと思ってる」って。
自動車メーカーが
F1の舞台でいろんな新しい挑戦をして、
最新の技術を開発して磨き込んで、
一般車に
応用していくのと同じような意味で。
- 小林
- ぼくらも毎回、
最新の紙とか印刷技術に挑戦していたんです。
それだけじゃなく、
アナログなシリアルナンバーとかも入れたり。
- ──
- えっと、シリアルナンバー‥‥ということは、
誰かが押したってことですか。1冊1冊。
- 小林
- 印刷所の方がね。
- ──
- 数万部とかいってますよね‥‥?
- ラヂヲ
- 第1巻は
初刷で1万5000部くらいだったかなあ。
1番は俺が持ってるんだけど。
- 藤江
- 結局、そのあと増刷増刷で、
たぶん10万部近くいってると思います。 - 続く2巻も同じくらいです。
- 小林
- シリアルナンバーの下2桁で、
ファックス原稿プレゼントと書いてある。 - 今までの単行本になかったようなことを
いろいろやってたんですよ。
- ラヂヲ
- こんなところに「エーゲ海に捧ぐ」とあるぞ。
誰が書いたんだ!
- 小林
- ははは。好き勝手につくってたんだよね。
「男子風」はニオイつき印刷とか。
こするとマツタケのニオイがするんです。
- ──
- なぜ‥‥(笑)。
- ラヂヲ
- 藤岡弘、 さんのメッセージをもらったり。
「熱く生きろ」と。
- 小林
- たしか‥‥打ち合わせをしているときに、
テーマが「男子風」と決まったので、
たまたま僕が前の仕事で
藤岡さんの自宅を訪問していて
連絡先がわかるし、
藤岡さんにメッセージもらえないかなと。
- ──
- 自由ですねえ。楽しそう。
- ラヂヲ
- 藤岡さんは、しかも愛媛出身なんだよね。
- ──
- あー、同郷のよしみもあって。
- ラヂヲ
- この「熱く生きろ」は、
たしか、色紙に書いてもらったんですよ。 - だって、うちにあるから。
- 小林
- こういうのとか金色に塗ったりしたのも、
ぜんぶ「自家製」なんですよ。
- ──
- 自家製?
- 小林
- 東急ハンズで買ってきて、
ぜんぶ自分らで金の色を塗ったんですよ。
- ラヂヲ
- この東京タワーも、うちにある。
- ──
- あるなあ(笑)。
- 藤江
- どんどん思い出してきた。
- 小林
- これとかは水に濡れると浮き出す印刷。
- ──
- あー、なんか駄菓子とかで見たような。
- ラヂヲ
- 何が浮き出したんだっけ?
- 藤江
- 何だったっけ。
- ラヂヲ
- 覚えてない。パンツかなあ。
- 藤江
- パンツかなあ‥‥。
まあ、よく会社が許してくれたと思う。
- ラヂヲ
- あっ、シリアル押してるじゃん。まだ。
- 藤江
- ホントだ。何巻まで押してたんだろう。
- ──
- 誰も何にも覚えてない(笑)。
集英社のF1シリーズ
- ラヂヲ
- かなりしつこくやってったんだな。
- 藤江
- 俺らにとって当たり前になってたから、
忘れてるんだと思いますよ。
- ラヂヲ
- 印刷屋さんは「いいかげんにせえ」と
思ってたと思うけど。
- 藤江
- これなんかも黒い表紙とかって(笑)。
- ──
- 第8巻。「ブラック装丁」‥‥。
プリンスに
ブラック・アルバムってありましたが。
- ラヂヲ
- 売る気あるんかい、と。
- 小林
- 毎回そんなふうにして
テーマと装幀のコンセプトを決めて、
大喜利みたいに、
みんなでバカなことを言いながらね。
- ──
- すみません、ここに
アデランスの電話番号が載ってますが?
- 藤江
- これは当時「おお、クログロ」という
アデランスのテレビCMがあったんで、
アデランスに電話して、
「使ってもいいでしょうか」と(笑)。
- ラヂヲ
- テーマが「ブラック」だったから。
- 藤江
- 「タイアップとか何でもないです。
いやいや、お金も一切かかりませんよ。
無料でやらしていただきますんで」
- ──
- 逆に怪しくないですか(笑)。
- ラヂヲ
- 使わせてくれたんだよな。
- 藤江
- 使わせてくれましたねえ。
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(一方そのころ、もうひとつの時空では。
次回、
03 おしゃべり with ヒグチユウコさん
へと続く)
2026-08-20-THU
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SNSにアップされた数百本の4コマ作品を
再編集のうえ書籍化した『わるい猫』、
傑作『和田ラヂヲのここにいます』を中心に
1990年代の作品を
ラヂヲ先生自ら選定・再編集した
『和田ラヂヲのここにいます ヘヴィー級』。
どちらも、うれしい厚みで、
どちらも、どこから読んでもおもしろい。
『わるい猫』はこちらにて、
『和田ラヂヲのここにいます 超ヘヴィー級』
『和田ラヂヲのここにいます ヘヴィー級』は、
ともにこちらで絶賛販売中です!
また、ヒグチユウコさんのボリス雑貨店でも
サイン入りの『ヘヴィー級』が
まだ販売中なのを確認しました
(「新商品」のカテゴリの前から3ページ目、
2026年8月17日【月】午前10時現在)。
ちなみに‥‥ねんのためにおつたえしますと、
昨年『わるい猫』発売のタイミングで
ヒグチさんとラヂヲ先生に対談していただき、
その原稿まとめをモタモタしているうち、
ヘヴィー級&超ヘヴィー級の
『和田ラヂヲのここにいます』が出てしまい、
今回「超時間おしゃべり」と銘打って、
ふたつの対談を同時掲載することにしました。
パラレルワールドには迷い込んでいません。