写真：©新日本プロレス

──

おふたりは熱狂的な
プロレスファンとして知られていますが。

馬場園

そりゃあ、もう。

元井

はい、大好きです。

──

年間でどのくらいの
試合数をごらんになるんですか？

馬場園

基本、全部です。

▲お笑いコンビ「アジアン」の馬場園梓さん。

──

全部！

馬場園

いまってネットでも配信されているんです。
仕事と試合時間が重なったときは無理ですが、
そうじゃないときは、
だいたいリアルタイムで観ます。

元井

私も、新日本プロレスは全部観てます。
お仕事がないときは、
試合がはじまるまでにジムに行って、
その日のやることをすべて済ませて、
万全の状態で試合をたのしみます。

▲気象予報士の元井美貴さん。

──

そもそも全試合というと、
新日本プロレスだけでも
年間100大会以上あるわけですが‥‥。
それを、その、全部ですか？

馬場園

はい。

元井

スマホさえあれば、
どこでも観られちゃいますからね。

──

はーー。

元井

毎年、お正月は恒例の東京ドーム大会。
春には「NEW JAPAN CUP」という
シリーズがはじまりますし、
梅雨の時期にはジュニアヘビー級の
チャンピオンを決める大会もあります。

馬場園

夏は「G1 CLIMAX」もありますしね。

元井

そうやって考えると、
ほんと１年中プロレス漬けですね。
私、普段は気象予報士なんですが、
天気の移り変わりと同じくらい、
プロレスの年間スケジュールを通して
四季を感じているような気がします。

──

プロレスで四季を‥‥。

馬場園

ネットで試合を観られるっていうのが、
本当に画期的なんですよね。
ここまでプロレスどっぷりになったのは、
ほんとネット配信のおかげだと思います。

元井

電車の中でも観れますからね。

──

そんなプロレス好きなおふたりに、
あえて直球の質問をします。
プロレスのどういうところに、
それほど惹かれるのでしょうか？

馬場園

プロレスのどこに惹かれるか。

──

人それぞれだと思いますが。

馬場園

あの、プロレスって、
「負けて終わり」じゃないんですよね。

──

「負けて終わり」じゃない？

馬場園

プロレスって負けてからがおもしろいんです。
みなさん、相手に勝つまで戦いますから。
だからプロレスって「負けて終わり」じゃなく、
「負けてからスタート」みたいなところがあります。

──

１試合だけでは勝負はつかないと。

馬場園

そもそもプロレスファンって、
そのレスラーのデビューから、引退する日まで、
その方の歩んでいる人生ドラマを
丸ごと観ているような感覚なんです。
そういうたのしみ方がプロレスにはあります。

元井

その感じ、すごくよくわかります。
ひとりのレスラーの方を
長く観れば観つづけるほど、
プロレスがどんどんおもしろくなりますよね。

馬場園

新日本プロレスの場合だと、
まず「ヤングライオン（若手選手の通称）」
としてデビューしてから、
引退される日までの何十年間、
もういろいろな道をたどるわけです。

同期やライバルと切磋琢磨して、
強い先輩たちに向かっていったり、
ベルトに挑戦することもあるでしょう。
そのうちチームやユニットをつくって、
反体制派に転身する方もいらっしゃいます。

その人がマットの上でどう生きて、
どう自分自身を表現していくのか。
その生のドラマをプロレスを通して、
私たちに観せてくださっているわけです。

元井

プロレスラーとしての生き様ですよね。

馬場園

プロレスラーのみなさんって、
引退する日まで絶対に諦めないんです。
負けてもかならず立ち上がって、
何度でも挑戦しつづける人たちです。
失敗して、負けて、悔しい思いをしながらも、
また挑戦するために立ち上がろうとします。

そういうのを目の前で表現されると、
やっぱり観てるほうも勇気がわいてくるんです。
そこはプロレスが人を惹きつける、
大きな理由のひとつだと思います。

元井

プロレスから教えられることって、
ほんとにたくさんありますからね。

馬場園

ありますねー。

元井

私はプロレス番組のキャスターもしているので、
プロレスの魅力について
考えることがけっこうあるんです。
それで自分なりに気づいたのが、
「プロレスは海のようなもの」
ということです。

──

プロレスは海のようなもの？

元井

はい。
そう思う理由は３つあります。
まずひとつは、
たのしみ方は人それぞれである。

──

たのしみ方は人それぞれ。

元井

ビーチでかっこいい人を探してもいいし、
ひとりで海を眺めてもかまいません。
海に深く潜ったり、釣りをしたっていい。
海に決まったたのしみ方はありません。
それはプロレスも同じだと思うんです。

馬場園

あー、そうですね。
プロレスのたのしみ方はひとつじゃない。
同感です。

元井

そして次に、
趣味を通して仲間ができる。

釣りをする人やサーフィンする人が、
海でどんどん仲間ができるように、
プロレスというものを通して、
気の合う仲間に出会えたりします。

馬場園

そうそうそう。
会場で知り合いができるんですよね。
連絡先も知らないのに、
行くとかならず挨拶する人がいたり。

元井

そして３つめ。
プロレスも海もいつも同じ場所で、
変わらぬ姿で私たちを迎え入れてくれます。

海はずっと昔からそこにあって、
これからも同じ場所にありつづけます。
期間限定のものでもないし、
遠くに行くものでもありません。
じつはプロレスもそういうところがあります。

たとえば、プロレスから１回離れた人でも、
何十年ぶりかに観はじめたら、
そこからまたハマることができるんです。
どんなにブランクがあっても、
すぐに昔のようなきもちになれるはずです。
とくにプロレスラーは現役生活が長いので、
子どものとき見た選手が、
いまもまだ活躍していたりします。

馬場園

グレート小鹿さんなんて、
78歳で現役ですからね。

──

78歳で現役！　はぁぁ。

元井

誰に対しても平等で、
いつ戻ってきても迎え入れてくれます。
そういう懐の深さがプロレスにはあります。

馬場園

海って時間や季節によっても、
いろんな表情がたのしめますからね。

元井

夏の海もいいけど、
冬の海もまた素敵なんですよね。

馬場園

プロレスは海のようなもの。
ほんとそのとおりですね。
いつまでも変わらず、ずっとたのしめる。

元井

一生の趣味ですよね、ほんとに。

写真：©新日本プロレス