ひとつの教室に、昆虫博士がいて、
魚釣り名人がいて、
鷹匠までいる高校があるんです。
群馬県立尾瀬高校、
自然環境科3年生のクラスです。
みんながみんな、それぞれに、
好きなことをやっていて、
たがいのことを尊敬している。
偏差値とかとはちがうところで、
じつにのびのびと
才能を発揮している高校生たちに、
あこがれさえ感じました。
大きな自然を前にして、
先生と生徒が一緒に学ぶ関係性に、
あこがれたのかもしれません。
みんなこの3月に卒業、
それぞれの道を歩きだすその前に、
ギリギリ間に合いました。
担当は「ほぼ日」の奥野です。

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第4回 アラブのお土産が「虫」。

──
以前、中米のコスタリカに住んで
昆虫の研究をしている
西田賢司さんって昆虫学者に‥‥。
谷島
あ、知ってます。
──
やっぱり、知ってるんだ。
取材をしたことがあるんですけど。
谷島
本当ですか!
めちゃくちゃ新種を発見している、
すごい人ですよね。
──
虫も、国や地域がちがえば、
だいぶ「相」が違うんでしょうね。
谷島
はい。外国、行ってみたいです。
──
虫的には、どこ? 中国とか?
谷島
はい、中国も、
めちゃくちゃおもしろいですよね。
でも、いまいちばん行きたいのは、
んーーーーー迷う。
小川
アラブじゃない?
谷島
あ、そう、アラブもいいんですよ。
先日まで、小川が行ってたんです。
──
えっと、それは、鷹の件で?
小川
はい。
──
アラブに。
小川
そうです、鷹の大会がありまして。

──
鷹の件でアラブに呼ばれた高校生。
何かもう字面が強いなあ(笑)。
谷島
で、そうやって外国に行ったとき、
現地の虫を締めて、
持ってきてくれたりするんです。
──
締めて‥‥というのは、殺して。
谷島
生きている虫を持ってきちゃうと、
植物防疫法や
外来生物法に違反しちゃうんです。
小川は、わざわざ、ぼくのために、
向こうで
ワシントン条約に抵触しない虫を
捕まえて、締めて、
持って帰ってきてくれるんですよ。
──
へええ‥‥。
谷島
で、このあいだは、
アラブの虫を持って帰ってきて
くれたんですけど、
もう、すばらしい虫ばっかりで。
鷹匠なんですけど、
虫捕りもできるやつなんですよ。
──
鷹に捕らしてるわけじゃ‥‥。
小川
ないです(笑)。
──
友だち思いですね。
小川
砂漠で見つけた、ヘンな虫とか。
──
でも、すばらしい虫というのは、
どういう意味ですか。
アラブの虫って、何かちがうの?
谷島
まあ、日本の虫に似ている虫も
いるんですけど、
ちがうやつは、ぜんぜんちがう。
まったく見たこともない姿形で、
すっごく刺激的でした。
──
博士、静かに興奮されて(笑)。
何より嬉しいおみやげですよね。
谷島
そうなんです。
小川
ただ、でも、ぼくはぼくで、
海外へ行ったときの
ひそかな楽しみになりつつあって。
あっちで、虫を捕まえて、締めて、
持って帰ってきて、
昂に見せて、いいかわるいか、
その表情から判断するのが(笑)。
──
ちなみにですけど、
鷹匠の大会でアラブに行ったのは、
どういう経緯で?
小川
テレビの『世界ふしぎ発見!』で
取材したいというので、
それじゃ一緒にアラブにでもって。
──
なるほど。じゃ、テレビに出たの?
小川
いや、まだです。
3日前に帰ってきたばっかなんで。
(※3月14日に放映されました)
──
テレビなんかに出たら、
ファンレターとか来ちゃうかもね。
小川
いやいや。
谷島
来てるよね、もう。
小川
そういうのじゃないんで!

──
来てるんだ、ファンレター。
小川
来てないです‥‥。
谷島
ファンレターっていうか、
涼輔のファンはいっぱいいますよ。
文化祭のときとか、他校の女子に
「あ、鷹の子だよね!」とか。
──
モテモテじゃないか。
小川
ほぼ同級生のお母さんです‥‥。
廣田
でも、ひとり、いなかったっけ?
谷島
いるじゃん。
廣田
いたよね。
谷島
小川に弟子入りしようとしてる子。

──
へえ、そんな子が。女子で?
谷島
イッコ下のかわいらしい女子です。
東京の学校の子なんですけど。
廣田
わざわざ、転校しようと思うって。
──
え、東京から?
何、小川くんのことが好きすぎて?
谷島
その子が小川の出たテレビを見て、
「群馬にすばらしい人がいる!」
って、こんな山奥まで、
話を聞きに来たことがあるんです。
ファンレターどころじゃないです。
──
大人の意見を言ってもいいですか。
「ダメですよ、悪いことをしては」
小川
ないないない(笑)。

(つづきます)

2020-03-15-SUN

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