
動物のなきまねといえば、このお方!
五代目江戸家猫八師匠は、
動物を愛し、動物園を愛する人で、
動物園ではたらく人たちとも超なかよし。
そんな師匠といっしょに、
各地の動物園をめぐる連載をはじめます。
記念すべき第1弾は、
茨城県にある日立市かみね動物園!
取材当日は、
当時の園長さんだった生江信孝さんや
飼育員さんたちも、
にこやかに対応してくださって、
楽しいお話を聞かせてくださいました。
担当は「ほぼ日」奥野です。
全10回、のんびりおつきあいください。
題字:五代目江戸家猫八
※この日の取材は「2024年10月」でした。
現在の動物園園長は梅原忠明さんです。
- 猫八師匠
- おっ、鳴きましたね。
- ──
- いまのは‥‥?
- 猫八師匠
- サイです。クロサイ。
- ──
- ええっ、思ってたのとちがう!
- すごい高い声で鳴くんですね。
鳥かと思いました。
- 猫八師匠
- それでも、すこし低めの鳴き声でしたよ。
もう少し高い声で鳴くこともあります。
- ──
- サイの鳴き声って、はじめて聞いたかも。
意外だった‥‥。 - あの角も、よくよく見ると不思議ですね。
- 猫八師匠
- ええ。シカとはちがって落ちないですし、
伸び続けますから。
成分的には、髪や、爪みたいな感じです。 - ただ、角を削ることが好きな子もいて、
削りグセがつくと、
角がちっちゃくなっちゃったりとかも。
撮影:五代目江戸家猫八
- ──
- 伸ばしっぱなしみたいな子もいる?
- 猫八師匠
- ドイツのフランクフルト動物園に、
えらい立派な角を持った子がいました。
- ──
- 海外の動物園にも行ってるんですか。
- 猫八師匠
- まだそんなにあちこちではありませんが
5カ国、12園館くらいですね。
たしか開園当初の上野動物園は、
ドイツの動物園をモデルにしていたと、
そんな話も聞いたことがあります。
フランクフルト動物園の立派な角のサイ(2012年3月 ) 撮影:五代目江戸家猫八
- ──
- いつか師匠と
世界の動物園にも行ってみたいなあ。 - そして、おなじみシマウマさんです。
- 猫八師匠
- これは、ハートマンヤマシマウマですね。
- 動物園でいちばんよく見られるのは、
グラントシマウマ。
次に多いのは、グレビーシマウマ。
ハートマンヤマシマウマは、珍しいです。
他には、チャップマンシマウマがいます。
グラントシマウマとヤマシマウマって、
見分け方が難しいんです。
わたしも、パッと見ではわからない。
その点、グレビーは
縞模様がかなり細かいのでわかりやすい。
- ──
- えっ、そんなに。画像検索してみよう。
本当だ。
グレビーシマウマはシマシマが細いですね。 - ブリジット・ライリーの
オプティカルアートみたいな感じです。
- 猫八師匠
- グレビーは、ひとめ見たらわかります。
- グレビーを飼育している園って、
国内では、すごく少ないんですけど、
ヤマシマウマは、もっと少ないです。
- ──
- キリンさんもいますね。
キリンさんの柄ってこんななってたんだ。 - まじまじ見てみるもんだなあ。
見ないで描けって言われたら無理ですよ。
- 猫八師匠
- キリンの絵を描いてもらうと、
黄色い地肌に黒い丸を描くじゃないですか。
でも、実際はそうじゃないんです。 - 網目模様になっているのが、アミメキリン。
星型のような独特なギザギザ模様が
マサイキリンという種類で、
いまは、九州の動物園にしかいません。
- ──
- (どっちのキリンも検索しつつ)本当だ。
よく見ると違う!
- 猫八師匠
- キリンについていろいろ調べてみますと
他にも、ロスチャイルドキリンなど
何種類もの亜種がいるんですけど‥‥
どうやら
アメリカなどの長い動物園の歴史のなかで、
アミメは
交雑個体が多くなったらしいんです。
- ──
- つまり‥‥。
- 猫八師匠
- 飼育個体に、純粋なアミメキリンは、
もうほとんど残ってはいないんじゃないか、
ということがわかったんです。 - そこで、アミメキリンは、
ただの「キリン」という表記に変えてます。
マサイキリンは
交雑ではない血統だとわかっているんで、
いまでもマサイキリンなんですが。
- ──
- いろいろあるんですね。
- あ、いまちょうどベロを出しましたが、
キリンのベロって紫色で超長いんですよね。
- 猫八師匠
- 40センチくらいあるんじゃないですかね。
- ──
- その長くて紫色のベロで、
枝の葉っぱとかを巻き取るように食べてて、
はじめて見たとき、
おお~っと感じ入った覚えがあります。 - ああ、そういえばキリンにも角があるなあ。
- 猫八師匠
- キリンの角は何本でしょうというクイズを
よく動物園で見かけますが、
まず「角らしい角」がしっかり2本、
その角のうしろに、コブ状の角がまた2本、
あとはオスの方がわかりやすいですが、
おでこにある盛り上がり、じつはそれも角。 - だから答えは「5本」なんです。
- ──
- 不思議なかたちです。しげしげ見てみれば。
- 猫八師匠
- そしてキリンもウシと同じ反芻動物なので、
一度、胃に入ったエサが、
また首を通って口へもどっていくようすが、
よーくわかるんです。
首が長いからこその観察しやすさです。
- ──
- そうやって、エサを消化をしている。
- 猫八師匠
- キリンって「コロコロうんち」なんですよ。
シカと同じような。
あれは、完璧に消化している証拠なんです。 - キリンには胃が4つあって、
最初の第1胃には微生物がたくさんいて、
草の繊維を分解して第2胃に送る。
2番目の胃はポンプのような役割があって、
しっかり分解されてないものを口に戻す。
それをくり返しドロドロになったら
やっと第3胃に送られ、そこでさらに選別。
そして最後の第4胃に送られて、
ようやく胃酸で消化されるしくみです。
- ──
- そういう仕組みだったんだ‥‥反芻って。
- 猫八師匠
- なので、人間の胃と同じ働きをしてるのは
第4胃のみということですね。
1から3までは胃のようで胃でないような。
- ──
- つまり、4つ目が「本当の胃」なんですか。
- 猫八師匠
- そう。それくらいしっかり消化するんで、
うんちがコロコロになるんです。 - ほら、あれ。あれがそうですよ。
- ──
- コロコロです。
- 猫八師匠
- 少しも無駄にしないんです。
でも、すべての動物がこれやっちゃうと、
森にとってはよろしくない。 - ゾウなんかはどんどん食べますが、
未消化のまま、どんどん出しちゃいます。
その結果として、
植物の種が肥料に包まれた状態で
別の場所に運ばれ、森が広がるわけです。
- ──
- 生命の循環ですね。
- 猫八師匠
- だから、ゾウは森をつくる存在なんです。
- ──
- 豊かな森は、
ゾウのうんちのおかげだったのか。
- 猫八師匠
- それだけじゃないですよ。
- たとえば、ゾウが森の中へと入っていくと、
低木はどんどん倒されていきます。
倒されることで、そこに新たな光が入り、
新たな下草が生えてくる。
つまり、森のサイクルをつくっているのが、
ゾウなどの大きな動物なんです。
- ──
- そうやって森は生きているんですね。
- 猫八師匠
- ゾウなん‥‥いや、そうなんです。
(つづきます)
2026-03-01-SUN
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絶景・日立駅からタクシーで10分ほど。
動物たちのことを身近に感じられるつくりで
飼育員さんたちもにこやか。
とってもフレンドリーで、
どこかなつかしさを感じる素敵な園でした。
住所:茨城県日立市宮田町5-2-22
時間:3月から10月 9時~16時30分(入園は15時45分まで)
11月から2月 9時~16時(入園は15時15分まで)その他、入園料・定休日などについては
動物園の公式サイトでご確認ください。

動物園に付属するエレファントカフェにて、
師匠おすすめのハンバーガーを、いただきました。
常陸牛のハンバーグに
シャキシャキした茨城のレンコンで大満足でした。
おいしかったな〜。790円。