動物のなきまねといえば、このお方!
五代目江戸家猫八師匠は、
動物を愛し、動物園を愛する人で、
動物園ではたらく人たちとも超なかよし。
そんな師匠といっしょに、
各地の動物園をめぐる連載をはじめます。
記念すべき第1弾は、
茨城県にある日立市かみね動物園!
取材当日は、
当時の園長さんだった生江信孝さんや
飼育員さんたちも、
にこやかに対応してくださって、
楽しいお話を聞かせてくださいました。
担当は「ほぼ日」奥野です。
全10回、のんびりおつきあいください。

題字:五代目江戸家猫八

※この日の取材は「2024年10月」でした。
現在の動物園園長は梅原忠明さんです。

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第5回 おサルさんがたくさんです

──
やってきました。チンパンジーの森へ。
猫八師匠
チンパンジーの展示施設って、
各園それぞれに個性があるんですけど、
わたしは
かみね動物園の展示が好きなんですね。
間近に見られるガラス張りのエリアと、
遮るものなく観察できるエリアと、
いろんな角度から見ることができます。
チンパンジーのいる場所によって、
人間の方が動いて観察する。
建物のつくりも、よく考えられていて、
すごくいい位置で観察できるんです。

──
チンパンジー、身体が大きいですよね。
思っていた以上に。
ゴリラはイメージ的にも大きいですが、
チンパンジーもデカい。
ちっちゃいと思い込んでいたのは、
パーマン2号のイメージなのかも‥‥。
猫八師匠
基本前傾姿勢で、足も短いですし
身長自体も人間ほどはないんですけど、
ガッチリしてますよね。
筋肉もすごいので、大きく見えますね。

撮影:五代目江戸家猫八(2019年12月) 撮影:五代目江戸家猫八(2019年12月)

──
強そうですよね。あ、たくさんいる。
猫八師匠
この園は、けっこう大所帯ですけれど、
群れの性格は穏やかです。
けたたましい声を頻繁に聞くタイプの
群れもあるんですが、
性格なのか、群れの関係性がいいのか、
ここは、本当に穏やか。

撮影:五代目江戸家猫八 撮影:五代目江戸家猫八

──
ボスとかリーダーが、いるんですよね。
この群れにも、どこかに。
猫八師匠
チンパンジーには、ディスプレイという
自分の強さを誇示する行動があり、
それを通じて、
リーダーは誰なのかアピールするんです。
最近では「アルファ」と言いますが。
たしか、ニホンザルの場合は、
メスがアルファになることもあるんです。
──
へええ。師匠の豆知識はおもしろいなあ。
猫八師匠
ここには、母親が育児をうまくできずに
人工哺育で育った個体がいて、
当時の担当者の努力が実りまして、
ちゃんと群れに戻すことができたんです。
ゴリラなんかもそうなんですが、
いちど人間が育てた子を群れに戻すのって、
タイミングをはじめ、
かなり難しいことなんです。
何か月までにとか、そこを逃してしまうと、
二度と群れに入れないこともあって。
──
そうなんですか。
猫八師匠
いざ戻すときも、群れのなかに、
やさしくて面倒見のいいメス個体がいたら
まず預けてみたりとか、
やっぱり力関係があるので、
話を通しておく‥‥じゃないけど。
──
根回し的な。やっぱり「社会」なんですね。
猫八師匠
群れへ戻すときには、かなり工夫してます。
京都にある京都市動物園では、
人工哺育のゴリラの子を群れへ戻すときに、
担当だった飼育係たちが、
ゴリラみたいな黒い毛皮を着ていたり、
母親の体臭をちょっとつけたり‥‥だとか、
そういうところからはじまって。
──
創意工夫ですね。あ、リスザル。

猫八師匠
いいですね。話をしているときも、
五感は動物に向いてる。いいアンテナです。
手が人間とソックリですよ。リスザルって。
手のひらが肌色で
握られたりしたときの感じが人間みたいで、
不思議な感覚。
そしてこちらは、コモンマーモセットと、
ワタボウシタマリンです。
──
この子たちは、何を食べるんだろう。
猫八師匠
野菜が中心ですね。
つい今さっきは、キュウリ食べてましたよ。

──
キュウリ。
おサルさんといえばのイメージとちがう。
猫八師匠
サル=バナナのイメージがありますけど、
人間が食べる果物は甘すぎるので、
どの園でも主食にはしてないと思います。
とくにヒト科に属するサルたち、
チンパンジー、ゴリラ、オランウータン、
あとはボノボですね。彼らには
人間と同じように成人病のリスクがあり、
バナナは好きだし、
あげたらよろこんで食べるんですけど、
血栓ができやすくなったり、
糖尿病にかかってしまったり、大変です。
──
そうだったんだ。おサルといえばバナナ、
の時代は過ぎ去っていたのか。
猫八師匠
いまは基本的には野菜が中心の食事です。
トレーニングをするときに、
たとえば大好物のブドウをご褒美に少々。
メリハリある給餌をしてます。
あ、キツネザルが鳴きはじめましたねえ。
──
何だ何だ。何がはじまったんだ。
猫八師匠
群れのなかの関係性や何かで、
一匹が鳴き出すと、
つられて、みんながウワーッと鳴き出す。
ああ、あっちでクモザルも鳴いています。
あんまり鳴かないんです、ふだん。
こうしてめずらしい鳴き声を聴いたとき、
わたしは、ひとまず音を録っておきます。
──
職業柄!(笑)
猫八師匠
保存用として録っているんですが、
寄席の高座で「クモザルです」と言って、
鳴きまねをしたところで、
これは自己満足にしかなりません。
わたし次第、つまり‥‥
いいネタを用意してあげられるかどうか。
──
でも、師匠はそうやって
鳴き真似のレパートリーを増やしてきた、
というわけですね。
猫八師匠
以前は動物園の担当者さんに連絡をとって、
「カバの鳴き声を聞きたい」とか、
「シマウマの鳴き声を聞きたい」
ってお願いして、勉強していたんですが。
最近は、そこは卒業しまして、
ただぷらっと1日、動物園を何周もして、
飼育員さんに会ったらお話しをしながら、
鳴き声が聞こえてくれば録音し、
鳴かないようなら、写真を撮って‥‥と。
──
なるほど。
猫八師匠
そんなふうに過ごすのが、
猫八流の動物園めぐりスタイルですね。

(つづきます)

2026-02-26-THU

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  • 日立市かみね動物園

    絶景・日立駅からタクシーで10分ほど。
    動物たちのことを身近に感じられるつくりで
    飼育員さんたちもにこやか。
    とってもフレンドリーで、
    どこかなつかしさを感じる素敵な園でした。

    かみね動物園の入口の写真

    住所:茨城県日立市宮田町5-2-22
    時間:3月から10月 9時~16時30分(入園は15時45分まで)
    11月から2月 9時~16時(入園は15時15分まで)

    その他、入園料・定休日などについては
    動物園の公式サイトでご確認ください。

    動物園のおいしいものFILE かみねバーガー

    動物園に付属するエレファントカフェにて、
    師匠おすすめのハンバーガーを、いただきました。
    常陸牛のハンバーグに
    シャキシャキした茨城のレンコンで大満足でした。
    おいしかったな〜。790円。