オリエンタルラジオの中田敦彦さんが、
40歳を迎える前に「心の師」として名前を挙げた
糸井重里のもとへ訪ねてくださいました。
「武勇伝」や「PERFECT HUMAN」のブレイクで
若い頃から充実した毎日を送ってきたけれど、
ふと「このままでいいのかな？」と思うことも。
YouTubeでの活躍やシンガポール移住など、
ことあるごとにニュースを生み出してきたけれど、
これからは、どうしたらいいんだろう。
「中田敦彦のYouTube大学」と「ほぼ日の學校」の
交換授業として、まずは中田さんから
納得いくまで糸井に質問していきます。
※「中田敦彦のYouTube大学」での対談を
「ほぼ日」編集バージョンでお送りします。
中田敦彦（なかた・あつひこ）
1982年日本生まれ。
慶應義塾大学経済学部卒業。
2005年オリエンタルラジオとしてデビュー。
多数のテレビ・ラジオに出演。
多数のテレビ・ラジオに出演。
2012年にタレントの福田萌と結婚。二児の父となる。
2015年RADIO FISH結成。
2015年RADIO FISH結成。
翌年、楽曲「PERFECT HUMAN」がヒット。
MV/LIVE動画が合計１億回再生を突破。
日本レコード大賞企画賞受賞。
日本レコード大賞企画賞受賞。
NHK紅白歌合戦に出演。
2018年オンラインコミュニティ PROGRESS 発足。
現在、会員数は5,000人を超える。
2019年「中田敦彦のYouTube大学」スタート。
登録者数は430万人を超える。
同年、カードゲーム「XENO」をプロデュース。
同年、カードゲーム「XENO」をプロデュース。
Amazonカードゲームカテゴリで第一位を獲得。
2021年からはシンガポールに移住。
2021年からはシンガポールに移住。
視野をアジア・世界に広げている。
- 糸井
- 中田さんはシンガポールで活動しているんですよね。
今回、日本にはどのぐらいいるんですか？
- 中田
- 今回は１か月ほどですね。
日本に帰ってきてようやくきのう、
２週間の隔離期間が明けたところで。
（※2021年12月末に収録しました）
- 糸井
- うわーっ、２週間か。
- 中田
- 昨日は収録があったんですけど、
その準備を粛々と進めていました。
初めて利用した民泊は便利でいいんですけど、
２週間の隔離は、ただただ辛くて。
- 糸井
- 喜んですることじゃないよね。
- 中田
- よっぽどのことがなければ、
隔離のいらないタイミングで
帰国するつもりだったんですけど、
妻と「そろそろ１回、日本に帰りたいよね」、
「よし、隔離されてでも帰ろう」と話したんです。
- 糸井
- ２週間の隔離されて、
メインの滞在が２週間以下ってことも
人によってはありますよね。
- 中田
- なるほど、２日滞在の２週間隔離とか。
不毛なスケジュールですよね。
だから今回は、12月の半ばから
１月の半ばぐらいまで日本に滞在するつもりです。
- 糸井
- ちょっと元取ろうみたいな気持ちだよね。
- 中田
- そうなんですよ。
だから今回、隔離期間があった分、
バイキングでお腹パンパンになるまで
盛っちゃうようなスケジュールを入れちゃって（笑）。
- 糸井
- で、シンガポールに戻ったら
また隔離があるんですか？
- 中田
- 戻ってからも１週間は自宅隔離です。
でも自宅なんで、
言ってもそんなにキツくないかと。
- 糸井
- 隔離が計３週間だよ。すごいよね。
- 中田
- 約１か月は牢の中で暮らす感じなので、
やっぱり大変ですね。
- 糸井
- みんな、そういうことを繰り返してるわけだ。
- 中田
- どうしても海外に行かなきゃいけない人は、
たぶんそうしているんですよね。
でも今日は、やっぱりワクワクします。
隔離期間もリモートで話せていましたが、
リアルで人に会ったり、どこかに行ったりするのが、
やっぱりすごく嬉しいものだなと思って。
- 糸井
- 日本に旅行に来たみたいな感覚になるの？
- 中田
- どういう気持ちになるかなって考えていましたが、
ちょっと複雑な気持ちですね。
帰ってきたような気もするし、
また戻るしなあっていう気持ちもあって。
単純に、人に会えるこの時間を大切に思います。
- 糸井
- 日本から１回離れたなっていう感じ？
- 中田
- あ、そうですね。
帰ってきて、ありがたいなって思うこともあるし、
「こんなに寒かったっけ？」っていうのはあります。
とはいえ本来なら、隔離されなければ、
８時間で行ったり来たりができちゃうので。
- 糸井
- うん、そうですよね。
それでシンガポールを選んだわけですよね。
- 中田
- だから、簡単に行き来できる未来が
一番いいなとは思ってます。
- 糸井
- 国内に住んでいても、
もっと時間がかかる場所はあるもんね。
- 中田
- そうです、そうです。
ロケバスで関東の奥地に行くんだったら、
もっと時間かかっちゃいますから。
ぼくは福岡に転勤するぐらいの感じで
シンガポールに行ったんですけど、
この隔離が厳しかったですね。
- 糸井
- だから、コロナだよね。
- 中田
- そうなんですよね。
でも今日はお話をうかがえて贅沢です。
- 糸井
- 今日はさ、呼ばれた側で準備しなくてもいいから、
ものすっごい楽なの。
- 中田
- あ、そうでしたか。
では準備ができたようなので、
YouTubeの収録よろしくお願いします。
- 糸井
- いよっ！
- 中田
- というわけで、本日のゲストは糸井重里さんです。
よろしくお願いします。
- 糸井
- よろしくお願いします。
- 中田
- いやあ、ひじょうに光栄でございます。
- 糸井
- こちらこそ。
- 中田
- 迷える中田が、人生について
心の師にお伺いしに行くという企画ですけれども、
ちょっと今日はじっくり目に
お話を聞かせていただいてよろしいでしょうか？
- 糸井
- どうぞどうぞ。
- 中田
- そもそもぼく、糸井さんとの思い出は、
『MOTHER』をかなり遅ればせながらプレーして、
それをツイートしたんですよ。
「『MOTHER』これからやる」みたいな。
覚えていらっしゃらないかもしれないですけど、
糸井さんご本人から、
「あ、これから『MOTHER』をやれる、
そういう幸せもあるね」
みたいなリプライをしていただいて、
「あ、嬉しい」ということがありました。
そこから夢中になってプレーして、感動して、
ぼくの心の中にずっと糸井さんがいたんです。
その後も「ほぼ日手帳」であるとか
「ほぼ日の學校」といったプロジェクトを拝見して、
点から線で見ていくうちに、
「これからのぼくが目標とすべき大人って、
糸井さんみたいな人なんじゃないかな」って、
僭越ながら思ったんです。
- 糸井
- はい（笑）。
- 中田
- いま、一番関心があることって
どういうことなんですか。
- 糸井
- 今はやっぱり「ほぼ日の學校」じゃないですかね。
今日も中田さんに会ってますけど、
授業を進めていくプロセスで、
漫画の武者修行みたいに、
とにかくいろんな人に会うわけですよ。
- 中田
- う～ん！
- 糸井
- ロールプレイングゲームみたいでもあるかな。
今度はこの人に会って、今度はこの人。
「あの人に会いたいな。じゃあ、訪ねて行こう」って、
道筋の中に、簡単じゃないことが
全部入っているわけですよね。
- 中田
- 簡単じゃないこと？
- 糸井
- つまり、長く生きていると
決まりきったことがいっぱいあるじゃないですか。
だけど、ほぼ日の學校をはじめてからは
「学校で何かやってもらえませんか？」って、
人に改めて会い直すみたいな機会があるんですよ。
- 中田
- へぇ～！ 会い直す。
- 糸井
- うん。
昔から知っている人でも
「ほぼ日の學校で先生やってよ」って頼むと、
「嫌だ」っていう人が割と多いんです。
「俺、先生とか嫌だもん」とかね。
でも、そんな人に限って、ぼくは頼みたいんですよ。
- 中田
- へぇー！
- 糸井
- 「先生なんていつでもやるよ」っていう人よりも、
「俺は先生じゃないし」とか
「学校、嫌いだし」って人に頼みたくなるの。
特にぼくの友達はそういう人が多いんで。
- 中田
- あっ、そうなんですね。
- 糸井
- 大学で先生をやっている人もいますけど、
学校が嫌だって人にこそ
聞いてみたいことも多いんです。
- 中田
- じゃあ、「先生をやってくれ」と
スカウトするわけですね？
- 糸井
- そうそう。
で、そこから打ち合わせをして
本番の収録をするんだけど、
もとからの友達や知り合いと、
もう１回、別の場所で
握手しあうみたいな所があるんです。
- 中田
- へぇ～！ 違うドアを開けるという感じで。
- 糸井
- そうなんですよ。
ちっとも裏切らないんです、それは。
- 中田
- 糸井さんがブッキングから
関わっていらっしゃる人もいるから、
なかなかの作業ですよね。
つまり「先生をやりたい人！」って声をかけて
「は～い！」って集まるわけじゃないんですね。
だから、先生をやりたくない人に
声をかけることになって。
- 糸井
- そうですね、それは多いですね。
- 中田
- 「本を書いてください」って
頼みに行く編集者みたいな仕事ですね。
- 糸井
- その要素はありますね。
おもしろいのは、先生になることで
儲かるとか、有名になるとか、
一般的な価値観での保険がないんですよ。
「ほぼ日の學校」に出たからって、
その人、べつに得はしないんです。
「得しないんだけど、やろうかな」って
思ってくれる人とやりたいわけだから。
- 中田
- 「得するから出たい」っていう人と
仕事がしたいわけじゃないってことですよね？
- 糸井
- そういう人がいても構わないんだけどね。
大学の講師の相場に合わせているから
儲かるような仕事じゃないし、
テレビと比べて大勢の人が見ているとは言えないし。
そう考えると、自分が考えている本当のことを
損するかもしれないぐらい
思いっきり言ってもらえるのがいいかな。
今までの価値観の「得」はないなって
わかってくれる人と作っているわけだから。
- 中田
- そこがおもしろいですね。
- 糸井
- おもしろいです。
（つづきます）
2022-01-29-SAT
-
同時公開の「ほぼ日の學校」にも、
中田敦彦さんが先生として登場！
この対談では糸井重里が
「中田敦彦のYouTube大学」のゲストとして
お招きいただきましたが、今度は攻守交代！
日を改めて収録した「ほぼ日の學校」では、
中田敦彦さんが先生として登場します。
学びたがりで、攻略したがりの中田さんが、
これからやっていきたいことを語ります。
それでもいろいろ質問しちゃう、
中田さんの人間味があふれた授業になりました。