
糸井重里が監修し、企画、設定、全シナリオを手掛けた
RPG『MOTHER』シリーズ。
そのことばをすべて収録した本を
2020年12月に発売したことをきっかけに、
立ち上げたのが「ほぼ日MOTHERプロジェクト」です。
『MOTHER』にまつわるコンテンツや
アイテムをつくっている本プロジェクトのなかから、
代表的なアイテムの
つくり手のお話や現場のようすをお伝えします。
夏は日差しや冷房でうるおいがなくなり、
冬は乾燥と暖房でカサカサに‥‥。
1年中、肌を保護したい環境になりました。
そこで、あらたに登場したのが『MOTHER』の
「turuturu(つるつる)シリーズ」です。
『MOTHER』ファンには男性も多いから、
男女どちらも気に入っていただけるものを。
ハンドクリームは、
スマホやPC、コントローラーを
使うときにベタベタしないものを。
リップクリームは、
うるうるつやつやしすぎず、
くちびるをベストな
コンディションにしてくれるものを。
企画制作に協力してくれたのは、
コスメプロデューサーの庄司麻美さんです。
大手製薬会社でコスメ企画を担当した経験を持ち、
いままでに開発したコスメは3000品以上。
たくさんのOEMメーカーの
得意分野や技術に精通していて、
「こういうものがほしい」と伝えると
その処方や技術を持っている
もっとも最適なOEMメーカーを選んで、
一緒に開発してくれるんです。
庄司さんに、turuturuシリーズの
ハンドクリームとリップクリームの特長について
お話をうかがいました。
庄司麻美(しょうじ まみ)
株式会社tenowa 代表
3歳からずっと化粧品が好きで、気づけば人生まるごとコスメ。
成分、質感、使い方、売場まで──好きが高じて仕事にしてきたコスメオタク。
成分表を見るとテンションが上がるタイプ。
某テレビ番組「コスメ女王選手権」優勝(コスメ女王)。
大手製薬会社での企画経験を起点に、
ドラッグストアバイヤー、店舗プロデュース、新規ブランド立ち上げ、
ブランドPR、雑誌・新聞での連載、美容部員まで、
現場の両側から“売れる”を設計してきた。
企画開発に携わったコスメは累計3,000品超、
現在は自身が手がけるブランド kimama をプロデュースしながら、
企画開発から店頭設計まで幅広く手がける。
- ──
- turuturuハンドクリームのもとは、
マジシャンのために開発された
ハンドクリームなんですよね。
- 庄司
- はい。
ゲーム機やパソコンを
よく使う人向けのものをつくりたいって
お話をいただいので‥‥。
- ──
- 『MOTHER』ファンの人は、
自分もそうですが、
スマホやパソコン、コントローラーを
よく使う生活をしているに違いないと思ってまして。
スマホやPCを使う人に特化した、
ベタベタしないハンドクリームがほしいなあと。
- 庄司
- お話をいただいて、
塗ってすぐゲームをはじめたときに、
べたべたと指紋がついたり、
指がすべりすぎて
操作の邪魔になりにくいような処方を
徹底して探そうと。
そうしたら、
OEM委託先のパラエルモサさんから
マジシャン用につくった
ハンドクリームがあるよって。
トランプとかいろんなマジックが
とてもうまくできる処方だよ、
と教えてもらって。
- ──
- 開発したOEMメーカーさんは
そうとうマニアックですよねえ。
- 庄司
- ふふ。
いろんな化粧品メーカー出身の
定年退職されたおじさまたちが、
ここの研究所に集って、
おもしろいものを開発しているんです。 - マジシャンのハンドクリームは、
トランプをまぜるときにベタつかず、
観客から最も注目される手は、
しっとりときれいに見えるという。
- ──
- すごいっ!
turuturuシリーズ用に変えたところは
どんなところですか?
- 庄司
- ほぼ日さんのお客様は、
いいものを知っている方が多そうなので、
原料や使用感を見直して、
自然由来のものを増やしたり、
ユニセックス向けなので、
香りをつけないようにしました。
- ──
- できあがったサンプルを
はじめて塗ったとき、
すごくサラサラになって
びっくりしました。
- 庄司
- そうなんです。サラサラです。
手汗が気になる人にもおすすめです。
サラッとしていますが、
保湿もしっかりしています。
塗ったら、肌がまずうるおって、
その後、すぐにサラサラになります。
まったくベタベタしません。
- ──
- スマホを操作したあとに、
オイルの跡や指紋みたいなものが
つきにくいですよね。
本のページをめくるときも
気になりません。
- 庄司
- はい。
そして、開発中に、
お子さんも使えるといいねって盛り上がって、
6歳から使える処方を考えました。
なので、家族みんなでお使いいただけます。
- ──
- お子さんもハンドクリームを
つける時代なんですねえ。
- 庄司
- 自分が子どもの頃は
ハンドクリームなんてつけなかったですが、
新型コロナが流行して以降、
手洗いや除菌がふつうになって、
頻繁に行うと、
肌にはやっぱり負担なんですね。
皮膚にある油とか油膜みたいな
バリア機能を洗い落とすので、
ちょっと早めにケアをしておかないと
カサカサしちゃうんです。
- ──
- はあ、なるほど。
一日何回も手を洗うことが
当たり前になったからなんですね。 - ところで、処方のことをレシピと
よく言われていましたが、
コスメづくりって料理に似ています?
- 庄司
- そうですそうです。
リップクリームもそうですが、
今回、いい素材を使って、
シンプルに作らせてもらって、
すごいいいレシピが作れたなと。
とても清々しくやらせてもらったというか。
化粧品はシンプルになればなるほど、
やっぱり、素材の味が生きてくるんで。
- ──
- ほんとうに料理みたいですね。
- 庄司
- リーズナブルな料理は
調味料をいっぱいかければ、
なんだかおいしくできるじゃないですか。
化粧品もいろんなものをいっぱい入れれば、
テクスチャーや色が安定したりしますが、
でも今回のハンドクリームとリップクリームは、
おにぎりを米と塩で勝負します、みたいなことで、
そうすると塩の質が良くなきゃいけないし、
材料の質が良くなきゃいけないので。
- ──
- なるほど。
- 庄司
- 使う材料が高いから、
ふつうなら、コスメブランドさんに
提案しても採用されにくい、
贅沢なレシピです。
だからつくることができて
うれしかったです。
めちゃめちゃシンプルに
勝負している処方だと思います。
- ──
- 勝負って(笑)
「どうだっ!」ってかんじに仕上がった
ハンドクリームと
リップクリームなんですね。
特別企画
世界的マジシャンの前田知洋さんに
turuturuハンドクリームを塗って
マジックをしてもらいました!
(つづきます。)
Model:
Leo Holderman / Nana Mchedlidze
Stylist:
Yutaka Aoki
Hair makeup:
Shoko Narita
Photographer:
Kyosuke Azuma
2025-12-26-FRI


