ジャケット、シャツ、ベスト、トレーナー。
今季のMITTANでご紹介する４枚のトップスは、
いずれもウールを使っていますけれど、
すべてが同じウールではなく、
アイテムによって原材料、糸の太さ、
混率と組み合わせ、織り方をかえています。

「NMウールOCツイルジャケット」は、
経糸にノンミュールジングウール、
緯糸にオーガニックコットンを使い、
高密度で織り上げたMITTANオリジナルの綾織り生地。
尾州の工房で、MITTANオリジナルでつくりました。

脱ぎ着の多いジャケットは、じょうぶさも大切ですから、
ウールの糸にしっかりと撚りをかけ、
コットンと組み合わせることで強度を担保しています。

従来、平面のパターン（着物的）を
採用してきたMITTANですが、
このジャケットは、かなり立体を意識したつくり。

背面は、ヨークから袖までが一枚の布でできていて、
前身ごろは肩線のないラグランスリーブ、
脇にマチを入れることで、腕の稼働域が広く、
とても動きやすいつくりになっているんですよ。

品名の「NM」はノンミュールジングウール、
「OC」はオーガニックコットンのこと。

ノンミュールジングウールというのは、
これまで牧羊において
世界的に広く行なわれてきた「ミュールジング」
（羊の臀部の皮膚を切り取って病害虫を避ける方法。
無麻酔で行なわれるため、動物愛護の観点から、
各国で規制が始まっています）を“しない”羊から
刈り取った羊毛のこと。
MITTANでも2028年をめどにすべてのウール原料を
ノンミュールジングのものへ移行することを考えています。

オーガニックコットンは、表の織り地に使うだけでなく、
ぜいたくなことに、白い裏地にも使っています。
（裏地はオーガニックコットン100％です。）
拡げてみるとわかりますが、
シャツのような高品質感があるのはそのため。
タックを入れているのはデザインではなく、
伸縮性のある表地にひっぱられても
稼働域を狭めない工夫です。
また、表地と裏地の間に、しっかり空気が溜まることで、
真冬でもあたたかい構造になっています。

「ストレッチNMウールシャツ」も、
ノンミュールジングウールを使用。

シャツは直接素肌に触れる面積が大きいので、
肌にやさしいやわらかさ、ストレッチ性とともに、
ちゃんとして見えるハリ・コシが大事。
そのため原料のウール選びと撚糸方法については、
MITTANのチームが徹底的に考えたのだそう。

このストレッチ性ですが、通常ですと伸縮性の高い
ポリウレタンを使うところ、
MITTANでは綿の状態で染めたウールの糸を特殊紡績。
糸の撚り方、紡績の仕方で、
ナチュラルなストレッチを入れました。
縦・横ともに、やさしく身体によりそう一着です。

シャツはもともと西洋のものですから、
立体的に着るためのパターンのルールがあるのですが、
もっとたどれば、二枚の布を重ねた
古代ローマのチュニックが原点。
MITTANでも、立体裁断にとらわれず、
平面の布を立体的に形作る「いせ込み」という縫製方法と、
袖底を高めにすることで腕回りの稼働域をきちんと確保。
背中も、通常はヨークにタック、ギャザーで仕上げますが、
いせを入れることで動きやすさを生み、
このシャツが生まれました。
きわめてベーシックに見えるシャツですけれど、
ちゃんとMITTANらしい工夫が生きているんです。

ウールのシャツって、じつはとても便利なアイテム。
匂いが付きづらく、
もともと油分があるので汚れを弾いてくれ、
洗濯の頻度も少なくてすみます。
調湿機能もあるので汗ばんだときにも快適。
ベースレイヤー的にも、アウター的にも着られます。

「スーパー120’sウール裏毛トレーナー」は、
Super 120’sというとても繊細なウールを原料の
ジャージー素材を使用。

表面と裏毛に同素材の糸を贅沢に使い、
繊細さを生かしながらも、
長い季節に着用できるほどよい肉厚感。
肌当たりは非常に柔らかく、
保温性の高さも兼ね備えています。
直接、肌の上に着用いただいてもいいですし、
Ｔシャツやシャツの上に重ねても気持ちがいいんです。

トレーナーの形ながら、
肩傾斜をゆるく、アームホールは浅くした、
MITTANらしさのある美しい平面的なシルエットです。

「ウール2Wayベスト」は
昨シーズンからの継続商品。
「ほぼ日」からのリクエストで生まれたアイテムです。

素材はオーストラリア産のラムウール
「Super100’s」を使用したウールモッサ。
MITTANではウールパンツでおなじみの生地で、
短い羊毛を使った紡毛（ぼうもう）織物を
縮絨（しゅくじゅう）加工し、起毛してから、
毛羽を少し長めに刈り、
ふっくらと毛を立てるように仕上げたものです。

片側をＶネックで短めに、
もう片側をＵネックで長めにした、
前後ろで２通りの着方がたのしめるスタイル。
Ｖネックを前にすると
腰まわりに包み込むようなあたたかさを、
Ｕネックを前にすると後ろ姿のスタイルをシュッとさせ、
おなかに安心感がうまれます。