前回の連載のなかで、
「ご実家などに眠っている
ファンシーなグッズはありませんか?」
と、呼びかけたところ、
メールやツイッターで
たくさんの投稿をいただきました。
どうもありがとうございます!
なんとメロさん、ほぼ全ての方の
投稿写真を鑑定してくださったんです。
ぱっと見ただけで、「あ、これはですね~」と
あらゆる方向に話が進んだ鑑定の様子を、
そのまま、こってりとお伝えします。
レアで貴重な「ファンシー絵みやげ」の数々、
その当時の時事ネタもおたのしみください。
担当はほぼ日のフジタです。

>山下メロさんのプロフィール

山下メロ(やましためろ)

ファンシー絵みやげ研究家。
1980年代・90年代の庶民風俗を研究。
特に観光地のファンシーイラストが描かれた
お土産雑貨=「ファンシー絵みやげ」を
収集・研究しており、
各種メディアで保護を訴えている。
所有するファンシー絵みやげは17000種を超える。

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ーー
メロさん、お久しぶりです!
また今日のトレーナーもファンシーで‥‥
何のキャラクターですか。
メロ
あ、これですか。
雪だるま、長野県の戸狩温泉で買ったものです。

ーー
かわいいです。
前回のご登場の後、テレビに出られてましたね。
『アウト×デラックス』観ました。
メロ
ありがとうございます。
けっこう反響がありました。
ーー
今日は鑑定の日、ということで、
読者のかたからたくさん投稿が届いています。
プリントアウトしてきました。
メロ
すごい、たくさん。
順々に見ていかないと見落としちゃうかも。
ーー
え、まさか、
全部鑑定してくださるんですか?
メロ
はい、全部‥‥は難しいかもですが、
できる限りは。
こんなに送っていただいて、うれしいです。

ーー
さっそく参りましょうか。
あ、その前に。
メロ
その前に。
ーー
今回、メロさんが「これは!」と思った
写真を送ってくださった1名の方に、
メロ賞を差し上げる、というお約束です。
ほぼ日からも副賞をご用意してます。
最後に「メロ賞」を選んでいただきますね。
(ということで投稿してくださったみなさま、
メロ賞は、最終回で発表します。
当初3月とお伝えしていたところ、
4月にまたがってしまって、すみません)
メロ
メロ賞、はい。そうでした。
考えながら見ていきます。
ーー
では「メール投稿」からまいりましょう。
すごく素敵な長文のメールをくださった方も
たくさんいらっしゃるのですが、
コメントは一部省略して掲載します。
もちろん、メロさんは全て読んでます。

ファンシー絵みやげの話は、独身の自分のことだけ
考えてればよかったころのことを
あれこれ思いだします。
友達とスキーに行った帰りに、
そこに行った証としていつも買っていました。
今手元にあるのは、小袋2つと鏡。
鏡は歯を磨くときに使っています。
(はっさく)

メロ
(メールを読みつつ)
いいコメントですね。
「今はもう自分のことだけを考えられなくなった」
ということが読み取れます。
ご家族ができたのでしょうか。
ーー
私もこのフレーズにグッときました。
‥‥ところで、この赤い袋のイラスト、
メロさんが今日着ている服と似てませんか。
メロ
実は私も思いました。キャラが似てますよね。
ーー
出だしからすごくないですか。
たまたま最初に送られてきたメールが、
今日のメロさんの服と同じ。
メロ
赤い袋、裏側に「NOZAWA」とありますが、
これは長野県の野沢温泉ですね。
野沢と、私がこの服を買った戸狩は、
すごく近いんですよ。
戸狩野沢温泉駅という駅を挟んで、
西側に戸狩、東側が野沢。それぞれスキー場があります。

(はっさく)

ーー
すごい。
じゃ、ほぼ同じ場所で買われたんですね。
メロ
左の緑の袋は丸沼高原スキー場ですね。
これ、文字に注目してください。
「ローマ字で文章を書く」というのも
ファンシー絵みやげの大きな特徴ですが、
「雪が降ってきた。みんなで遊びましょう」、
「みんなで」の「E」が欠落して
「みんなド遊びましょう」になっている。
これはたぶんただのミスです。
ーー
えっ。

メロ
まだあります。
ローマ字は大きく分けると、
訓令式とヘボン式の2種類あって、
「遊びましょう」の「しょう」は
「SHO」がヘボン式、「SYO」が訓令式です。
ですが、これは「SHYO」と、
なぜか混ざってます。適当です。
ーー
‥‥。
メロ
たぶん、当時のデザイナーさんも、
「いいんじゃない、合ってる、合ってる」
「じゃあこれでいきましょう」みたいな感じで、
そのまま商品化されたのかもしれません。
時代性が出ています。すごくいいです。
ーー
すごくいい。
時代性が出ているといえば確かにそうですね。
今だったら、これは。
メロ
今だったら何重にもチェックするでしょう。
この時代は「売っちゃえばいいじゃん」と言って、
ワンシーズンで売り切れるから、気にしていない。
ーー
おおらかな時代!
メロ
真ん中の木製のミラーについても見てみましょう。
木製品はこういうベニヤで作られたものが多いです。
「ラッキー・ニック」は、この男の子の名前かな。
これも野沢温泉ですね。
長野はスキー場と温泉が近いところが多いですが、
中でも温泉地とゲレンデが直結しているというのが、
野沢温泉の特徴です。
今もこれを使っていらっしゃるんだ。
ファンシー絵みやげって、家にあっても
もう使われていないことが多いので、うれしいです。
じゃあ次いきましょう。
ーー
最初からじっくりと。
メロ
言うことがあるものはしっかり言います。

メロさんのコンテンツの表紙写真をみて、
びっくり。真ん中のブルーの男の子女の子の
キーホルダーの色違いのピンクをもってました。
(処分してしまいました。)
わたしが見つけたのは、
妹の高校の修学旅行の土産です、多分。
なので33年の月日が経っています。
(トヨタのミューミュー)

メロ
ミューミューさん、ありがとうございます。
「処分してしまいました」は残念ですが、
自分も昔、全部捨てたことがあるので、
人には何も言えないのです。
むしろ「当時なら捨てちゃうよね~」という感じで。
ーー
前回のインタビューで、捨てた、と
おっしゃってましたね。
メロ
そうなんです。
さて、桃太郎のキャラクターは、
特に岡山が推していますが、
実は愛知の犬山城にも桃太郎伝説があって、
桃太郎神社があるんです。
作家の浅野祥雲さんという、
コンクリートの人形でテーマパークを作ったりしている方がいて、
その方が桃太郎神社に
桃太郎のコンクリート人形を設置してます。
その周辺でも、桃太郎がモチーフの
ファンシー絵みやげが売られていました。
桃太郎の昔話では「ここが舞台です」と
言っていないわけです。
もっというと、子どもは昔話が好きなので、
桃太郎に関係がない場所でも
桃太郎グッズは売られています。
なので、あえて地名を入れないものが多いのです。
ーー
裏側の写真も送られてきていますが、
たしかに地名がないですね。
メロ
さらにこれ‥‥
妹さんは買ったときに気づいてなかったのでしょうか、
あるいはギャグで買ったのかもしれないですが、
ずらすと股間が出るという衝撃のシリーズですね。
主に男子が好んで買ってクラスメイトと遊ぶやつです。

(※投稿写真、2枚目)

メロ
ちょうど数日前、岡山の倉敷で
問屋さんの方と話していたんですが、その方が
「ポコチンブームはたしかにあった」
とおっしゃっていました。
桃太郎グッズだけでなく、いろんなものがあった、と。
特に当時の児童漫画には、
そういう表現が多かったんです。
そして、この絵のおもしろいところは、
桃太郎が腕時計をしているうえに、
ウォークマンもしているんですよ。
ソニーのウォークマンが流行ったとき、
最初はこういうヘッドフォンが付いてきていたんですね。
だからこれは昔話の時代に
腕時計をしてウォークマンをしているという
SF要素まで入っています。
というわけで、おもしろかったです。
私も、桃太郎のこのグッズは持っていないです。
ーー
持っていない? メロさんが。
メロ
はい。欲しいです(笑)。
ーー
欲しい。
(メール投稿を整理しながら)、
あ、こちらも同じくトヨタのミューミューさんです。
同じ方が「これも見つけた」と送ってくださる傾向、
何度かありました。

大掃除で見つけました。
ファンシー絵みやげと
位置付けていいのかはわかりませんが、
わたしが高校生の頃は、顔がぽちゃっとした、
点目のこが多かった感じがします。
ある時期、写真のような陶器のかわいいのが出回りました。
これは、女子校に行った子の、
修学旅行みやげ(倉敷)と、家族旅行みやげです。
(トヨタのミューミュー)

メロ
年末の大掃除で見つけて、
改めて送ってくださったんですね。
全く別々のエリアに同じものがあったということがすごい。
今私は全国でいっぱい集めているからわかりますけど、
当時同じものを探すって大変なわけです。
たまたまかもしれませんが、すごいですね。
ーー
たしかに。
ネット情報も当時はないですから。
メロ
ひし形の器の上に貼ってある
陶器みたいな土の焼きもの、
このパーツをレザーに貼ったキーホルダーが
全国で見つかっています。
よく使われるパーツなんですよね。
下に描いてある絵は、
ちゃんと倉敷とか
サファリパークの様子がわかっていいですね。
プリントが基本のファンシー絵みやげと違って、
絵付けという感じで味わい深い。
ただこの書体から考えると、
ちょっと前の時代なのかもしれないです。
ファンシー絵みやげの時代は、
マル字が流行してましたから、
それより前のものの可能性もあります。

自分が子供の時にマザー牧場で買ったお土産です。
ペンケースに付けているキーホルダーで、今でも現役です!
あらためて見て、「毎日幸せ」と
ローマ字で書いてあるところにぐっと来ました。
今の商品でしたら英語になってそうですよね?!
(まり)

メロ
このウシのキャラクターは、いろんなシリーズがあります。
「お気楽な毎日」と書いてありますが、
ウシが本当にお気楽な毎日かどうかは謎ですよ。
ミルク絞られたり、いろいろありますから。
このキャラのグッズは、
地名が入っていないことが多いんですけど、
ちゃんと「マザーファーム」、
つまり千葉県のマザー牧場のために
かっこいいフォントでロゴを入れていますね。
「『毎日幸せ』とローマ字で
書いてあるところにぐっと来ました」と。
ええ、これは今の商品でしたら
英語を使っているでしょうね。
ーー
今だったら、
「MAINICHI SHIAWASE」じゃなく、
「EVERYDAY HAPPY」とかになってそう。
メロ
そして、エッジがはげて少し白くなっています。
つまり貼っているのはシールなんですよ。
普通は、上に樹脂を塗るものが多いので、
あんまりこうならないんですけど、
これはシールだということがわかります。
キラキラしている背景は、
「ビックリマン」チョコレートについてくるシールで
おなじみの、プリズム加工されたシールです。
「ビックリマン」は四角い模様のプリズムに対し、
これは放射状のプリズムです。
「ビックリマン」は発売当初30円で
こっちのキーホルダーは400円。
10倍ぐらい値段が違います。
もちろん金属部分の値段も入ってますが、
プリズムのシールだけで考えても、
放射状のもののほうが高いんです。なぜでしょう?
ーー
放射状のもののほうが高い。
なぜでしょう、わからないです。
メロ
放射状のプリズムは、中心が必ず存在するんです。
四角いプリズムのパターンだと
どこでどんな形に切ってもいいけど、
放射状のプリズムは中心からここまでって決めて
パターンを作らないといけない。
そういう意味で、素材にコストがかかるんです。
ーー
ああ! なるほど。
メロ
現役で使っていらっしゃるのもいいですね。
使っているうちはぜひそのまま使ってください。
いつかもしペンケースから外す日が来て、
どうしても捨てるとなったときは、
捨てるぐらいだったら私が面倒を見たいなと(笑)。
そんなことまで思ってます。

▲後日メロさんが送られてきた画像。
「当時のホログラムにはこんな渋いものもあります。
野麦峠という、女性たちが雪の中大変な思いをして通った
あの場所に、なぜこのキラキラを‥‥
という違和感も感じます」とメロさん。 ▲後日メロさんが送られてきた画像。 「当時のホログラムにはこんな渋いものもあります。 野麦峠という、女性たちが雪の中大変な思いをして通った あの場所に、なぜこのキラキラを‥‥ という違和感も感じます」とメロさん。

会社の机の引き出しに眠っていたのを、
この連載を読んで思い出しました。
お役に立てれば幸いです。
(ゆきりん)

メロ
「会社の机の引き出しに眠っていた」
え、これが? 引き出しに入ってた?
鏡に手書き風の字で
「見るんじゃネエヨ!」と書かれていますが、
「ルージュの伝言」みたいでいいですね。
おもしろいです。
「指名手配」をモチーフにしてますが、これは
海外でもよくある「WANTED」風のデザインです。
ーー
「逃走中」と書かれた旗をはためかせて、
かえって目立つのではないか、と思われます。
メロ
こういう警察あおり系というのはいくつも存在します。
「逃げています」とか「指名手配」とか
「取り締まり中」とか。
これはキーホルダーなので小さいですけど、
カー用品に多いです。
当時、マイカーが普及して、車での旅行が増え、
高速道路文化も発達して、
お土産を売る先がサービスエリアに移っていった時代です。
当時、シートベルトが義務化されて、
シートベルトカバーというものがよく売られていました。
それもファンシーな絵とともに、
「おまわりさん、ちゃんとシートベルトしてるもんね!」
みたいな言葉で警察をあおったような
カバーが存在していたんです。
ーー
シートベルトカバー!
電話カバーみたいな感じですか。
おもしろいです。
次のちゃちゃこさんからは3枚お写真いただいてます。
1枚ずつ、ご紹介しましょうか。

小学生雑誌の付録だとおもいます(おぼろげ)
メジャーです。「ジャイアント馬場の足の大きさ」とか、
豆知識的なメモ入りです。
(ちゃちゃこ)

メロ
「小学生雑誌の付録だと思います」ということですが、
もし付録だとしたら
観光地で流通していたものではないので、
ファンシー絵みやげではないかもしれませんね。
でもこのメジャー、とてもかわいい。
ペンギン流行りましたね。
ーー
あらためて紹介しますと、
ファンシー絵みやげとは、
「ファンシーショップで売られていたような商品群に
平面イラストのキャラクター(絵)を
プリントした観光地みやげ」
ということですね。

ちょっと微妙ですが、たぶん‥‥ということで
鑑定お願いします~
(ちゃちゃこ)

メロ
こういう天然の木を使った商品、
こういうのを専門に作る工場があるんです。
これは「オスワリグマ」ですが、
よく似た「チャノマグマ」というのがいるので、
同じデザイナーさんか、同じ会社なのかもしれません。
「座っているのが大好きさ」
みたいなことが書いてあります。
そしてここが重要なところですが、
埼玉県は、47都道府県の中で、
一番ファンシー絵みやげが少ないんです。
ーー
そうなんですか。埼玉県は少ない。
メロ
自分は埼玉で育っていますけど、
自分の手持ちの中でもとにかく少ないのが埼玉です。
観光地が少ない。
そしてこれ何がすごいって、
「CHICHIBU」とロゴをプリントしている上に
「ながとろ」(長瀞)という地名を
シールで入れているんです。
長瀞は大きく見ると秩父エリアの1観光地で、
全域が「埼玉県立長瀞玉淀自然公園」に指定されています。
だから秩父といっても間違いではないんですけど、
わざわざ「ながとろ」シールを貼って
アピールしている点が特徴です。
すでに地名が印刷されているのに、さらに
地名が貼ってあるのがめずらしくて、いいです。

(ちゃちゃこ)

メロ
景色があまり海に見えませんが、一応海なんですね。
「ザ・ファッシネイティング・
ダーク・ブルー・オーシャン」
と書かれてますから。
このキャラはあんまり見かけませんが、
でもいろんなエリアで出没しているキャラクターです。
「KINKAZAN」は「金華山」ですね。
金華山というのは2カ所あって、
岐阜の岐阜城がある場所も金華山です。
でも岐阜の金華山のファンシー絵みやげには
だいたい「岐阜」もしくは「岐阜城」と書かれるので、
この金華山は宮城県の離島である金華山でしょう。

ーー
すごい、鑑定みたいです。
メロ
だって今日は鑑定の日ですよ(笑)。

(つづきます)

2020-03-31-TUE

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