けんすうさんと糸井重里の初対談です。
ブロックチェーン、AI、NFTなど、
新しい技術に詳しいけんすうさんには、
いまどんな未来が見えているのでしょうか。
インターネット黎明期の話から、
お金の価値、アマチュアリズムなど、
さまざまな話題が飛び出しました。
これからのインターネットが、
なんとなくつかめるかもしれませんよ。
全7回、たっぷりおたのしみください。
本対談は「ほぼ日の學校」でも公開中です。

>けんすうさんプロフィール

けんすう

起業家、エンジェル投資家、
アル株式会社代表取締役。

1981年生まれ。
学生時代に「ミルクカフェ」という
大学受験サービスを立ち上げたあと、
レンタル掲示板の「したらば」を運営。
その後リクルートに新卒で入社した後、
起業してハウツーサイトの「nanapi」をリリース。
2014年にKDDIグループにM&Aされる。

現在は「クリエイティブ活動を加速させる」ために、
きせかえできるNFT「sloth」、
成長するNFT「marimo」などを手掛けている。

Twitter:@kensuu
note:kensuu

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第2回

インターネット黎明期。

糸井
16、7で呪いの掲示板をやってて‥‥学業は?
けんすう
学業、半分やってなかったんです。
それで浪人生になって、
大学受験をちゃんとしなきゃなと思ったとき、
インターネットで検索しても
大学受験の情報がぜんぜんなくて。
糸井
90年代の後半ですもんね。
けんすう
それでこれは不便だなと思って、
大学受験の情報が集まる掲示板を作ったら、
当時それがすごいヒットしたんです。
1日に5000件ぐらい投稿があって、
予備校業界の先生も生徒も、
みんな知ってるみたいな状態で。
それもけっこう強烈な原体験ですね。
糸井
1日5000件は、
かなりすごいですね。
けんすう
当時はすごかったと思います。
それで、そこでの情報を使って、
じぶんも大学受験に合格したみたいな状態で。
糸井
そうか、そうか。
けんすう
ぼくが掲示板を作ったことで、
1カ月ほどで十何万件も投稿が集まって、
欲しい情報をそこで取得できて、
それで人生を変えることもできるっていう。
たった1人の力で作ったものでも、
そういうのができるんだっていうのが、
けっこう衝撃的でしたね。
糸井
ビックリしますよね。
けんすう
相当ビックリしました。
糸井
いい気にはならなかったですか。
けんすう
いや、それよりビックリしたって感じですね。
それで、もっと大きなサイトを
作りたいと思うようになって‥‥。
なので、いまだにそれを
つづけている感覚なのかもしれないですね。
糸井
最初の打席がホームランだったみたいな。
けんすう
そうですね。
まだまだみなさんの頭の中には、
貴重な情報とかおもしろい考えが
たくさんある気がしていて、
それが世の中にぜんぜん
流通していない感覚はあります。
糸井
つまり、その日のつづきなんだ。
けんすう
そうですね。

糸井
けんすうさんの場合、
それがほんとに1人で作れちゃったけど、
マンガ家だったら
編集者という存在が近くにいますよね。
けんすう
あー、はいはい。
糸井
そういう人はいなかったんですか?
けんすう
いなかったんですけど、
その頃に「2ちゃんねる」を作った
西村博之(以下、ひろゆき)さんと出会って、
そこで鍛えられた感は多少あります。
教えてもらう感じではなかったですけど、
「これはおもしろくない、つまんない」
っていうのをハッキリ言ってくれましたね。
糸井
ぜんぜん違うことでもないですよね。
やってることは。
けんすう
そうですね。
似たものをつくっているところもあって、
彼からいろいろ学んでいました。
糸井
それは運がいいというか。
そういう人と会うか会わないかは、
ぜんぜん違いますよね。
けんすう
ぜんぜん違うでしょうね。
彼には大学2年ぐらいのときに会っていて、
ふつうの大学生って社会人と
あんまり会わないじゃないですか。
糸井
そうですよね。
けんすう
それに、ぼくの中の社会人って
会社員でちゃんと働いてる人だったんですけど、
彼のまわりにはそういう人がほとんどいなくて、
「こういう大人たちがいるんだ」っていうのも、
ちょっと人生観に影響があったと思います。
糸井
彼はいくつか上なんですか。
けんすう
ひろゆきさんが5つくらい上で、
そのまわりも当時40代の人たちとかで。
年齢も性別もみんなバラバラで、
なんかもういろんな意味で、
雑多な人たちがインターネットっていう
くくりだけでつながっていたので、
いろんな人と会える刺激はありましたね。
糸井
大学2年生でそういう人と会っていたら、
「普通」がもう見えなくなりますね。
けんすう
見えなくなりましたね。
ただ、ひろゆきさんには、
「このままいくとおいらみたいになるから、
就職はしたほうがいいよ」って。
それはまずいなって思いましたけど(笑)。
糸井
おいらみたいになんない方がいいなと。
けんすう
ならない方がいいなと(笑)。
ひろゆきさんって社長をやりたくないタイプで、
当時、彼が作ったサービスの社長を
代わりにぼくがやっていたことがあったんです。
それが当時のライブドアに買収されて、
それでぼくもライブドアで
ちょっとだけ働いていたっていう経緯があって。
糸井
それは、いつくらいの話?
けんすう
たしか、堀江さんが近鉄を買収するぞという、
その数ヶ月ぐらい前でした。
糸井
なかなか嵐の中ですね(笑)。
けんすう
すごい嵐の中でした(笑)。
当時30歳そこそこの堀江さんが社長で、
こんなに若い人でも
上場企業の社長ができるんだって思ってたら、
数ヶ月後にどんどんテレビに出て、
一気にスターになっていくみたいな。
なんかもうバーッと日本中が
沸くみたいなものを見ちゃったから、
それはそれで社会人感が歪みましたね。
糸井
ちょっとロックスターみたいだし。
けんすう
ほんとそうでしたね。
ふつうの会社員が考えるような、
出世して部長になって、
みたいなルートから外れた人を見ちゃったので、
なんかちょっと混乱はしました。
糸井
そうか、けんすうさんは
ライブドアにもいたんですね。
けんすう
当時「したらば」という掲示板を
ひろゆきさんが作っていて、
それを手伝っていたんですけど、
ライブドアに事業だけ買収されたので、
ぼくだけがライブドアに行って、
それを運営するみたいなことをやってました。

糸井
それは「ぼくだけ」で
できちゃうようなことなんですか。
けんすう
レンタル掲示板って
管理者がそれぞれいるので、
システムだけ動いていれば
とりあえずオーケーっていう感じで、
少人数でもまわせてましたね。
それでも当時、日本で100番目ぐらいの
アクセス数はあったと思いますけど。
糸井
社会人としては、
もうそこで生きられてたわけだ。
けんすう
いや、それがライブドアって、
当時はベンチャーだったので、
新卒を教育するみたいな発想がぜんぜんなくて。
まわりのレベルもすごく高かったので、
これじゃあ通用しないなと思って、
そのあとふつうに大学を卒業して、
リクルートに新卒で入るみたいなことをしました。
糸井
そっか、1回そっちに戻って。
よく卒業しましたね。
けんすう
それもひろゆきさんに
「卒業はしたほうがいいよ」と、
わりとまともなことを言われて(笑)。
糸井
あの人は他人にはまともなことを(笑)。
けんすう
そうですね(笑)。
それでリクルート入って、
そこでの3年間くらいが唯一といっていいほど、
ふつうの会社員的な社会人経験になりました。

(つづきます)

2023-06-13-TUE

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  • けんすうさんが選ぶ、
    インターネットのいまとこれからを
    考えるための本。

    ふだんからビジネス本を
    たくさん読まれているけんすうさん。
    インターネット関連のおすすめ本を、
    解説付きで5冊教えていただきました。
    もっと深く知りたい方は、
    ぜひ参考にしてみてください。

    『ツイッター創業物語 
    金と権力、友情、そして裏切り』(日経BP) 
    著:ニック・ビルトン 訳:伏見威蕃

    ツイッターは歴史的にみても、
    かなりグダグダな経営をやっている時期が長く、
    トラブルつづきの企業です。
    それは、いまもつづいているとも言えます。

    経営、運用、技術、どれをとっても、
    極めて秀でているとは言えないツイッターですが、
    サービスが魅力的であるために、
    世界に大きな影響を与えるようになったわけで、
    とてもおもしろいなと思っています。

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    『ソーシャルメディア・プリズム 
    SNSはなぜヒトを過激にするのか?』(みすず書房) 
    著:クリス・ベイル 訳:松井信彦

    ソーシャルメディアによる
    影響について書かれている本です。
    短い書籍ではありますが、
    ソーシャルメディアによる
    社会の分断についての問題から、
    インターネットの希望の話まで書かれていて好きです。

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    『ネットは社会を分断しない』
    (KADOKAWA/角川新書) 
    著:田中辰雄、浜屋敏

    10万人規模の調査をして、
    いまのインターネットと
    社会の実態はどうなのかを調べたという本です。
    インターネットによって
    社会が分断されているように感じたりしますが、
    実はそんなことないよ、
    という内容が書かれています。

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    『僕らはそれに抵抗できない』(ダイヤモンド社) 
    著:アダム・オルター 訳:上原裕美子

    依存症ビジネスについて書かれた本です。
    現在のインターネットの主流である
    ソーシャルメディアやゲームなどで、
    依存症ビジネスの仕組みは
    良くも悪くも活用されています。
    ここを知っておくことで、
    いまのインターネットについてより理解できるかなと。

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    『イーサリアム 
    若き天才が示す暗号資産の真実と未来』(日経BP) 
    著:ヴィタリック・ブテリン 編:ネイサン・シュナイダー 
    訳:高橋聡

    歴史に名を残すであろう
    ヴィタリック氏のコラム集です。
    暗号通貨・イーサリアムの考案者である彼は、
    極めて頭がいいんだろうな、というのと、
    それをわかりやすく美しい文章で
    表現できる稀有な存在です。
    インターネットを次の段階に
    引き上げた人の名文がたっぷり読めます。

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