2020年の年末、ほぼ日は
神田の町に引っ越してきました。
はじめてのこの町をもっと知りたいし、
もっと知ってほしいと思っています。
そこで、日本全国のすべての市町村を回った
若き写真家、かつおさんこと仁科勝介さんに
神田の町を撮ってもらうことにしました。
自由にやってください、かつおさん。

>かつおさんのプロフィール

かつお|仁科勝介(にしなかつすけ)

写真家。1996年岡山県生まれ。
広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。
2020年の8月には旅の記録をまとめた本、
「ふるさとの手帖」(KADOKAWA)を出版。
写真館勤務を経て2020年9月からは独立。

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#143

新幹線の車窓から

東京駅から東北新幹線に乗車して、
ふと、次の上野駅に着くあいだに、
神田駅と秋葉原駅を通るはずだと考えた。
何度か東北新幹線に乗ったことはあったけれど、
今までは出発直後の景色を観察する発想がなかったし、
東北新幹線が通る線路付近の地図が、
頭に入っていなかった。
最近になってようやく、
「東北新幹線の車窓ということは‥‥」と、
これから流れるかもしれない景色を、
神田と秋葉原エリアに限って、
ある程度推測できると思った。
そしてやはり、
普段歩いている地上と違う視点にいたら、
実際には何が見えるだろうかと興味が湧くのだった。

さて、東京駅を出発して、
はやぶさ号はあっという間に神田駅まで来た。
おそらくこの後、
ふれあい橋のところに出るのでは?
とカメラを先に構える。
すると、目の前を対向車線の新幹線が
ゆるやかなスピードでやってきて、
邪魔で邪魔で仕方がない。
邪魔と言っても、
たった数十秒のすれ違いなわけだが、
ものすごく長く感じるのだ。
ようやく抜けたと思ったら、
一瞬でふれあい橋付近の神田川までやって来て、
あれよあれよと通過した。
ただ、ふれあい橋は車窓から見えておらず、
ひとつ下流の和泉橋と首都高が見えていたのだなあと、
あとから写真を見て、分かったのだった。
それからまもなく秋葉原だ、
ヨドバシカメラだ、
と目まぐるしく景色が流れて、
やがてすぐにトンネルの中に隠れて、
上野駅に着いた。
普段は地上から新幹線を眺める側だったから、
意識して車窓の景色を見ると、
すごくスリリングで面白かった。

そうやって感じた一連の流れを、
帰りの車窓でもやってみたけれど、
夜だったから今度はどこがどこだか、
全然分からなかった。
もう一度東北新幹線に乗る機会があったら、
リベンジしてみたいと思う。

2022-06-23-THU

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