2020年の年末、ほぼ日は
神田の町に引っ越してきました。
はじめてのこの町をもっと知りたいし、
もっと知ってほしいと思っています。
そこで、日本全国のすべての市町村を回った
若き写真家、かつおさんこと仁科勝介さんに
神田の町を撮ってもらうことにしました。
自由にやってください、かつおさん。

>かつおさんのプロフィール

かつお|仁科勝介(にしなかつすけ)

写真家。1996年岡山県生まれ。
広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。
2020年の8月には旅の記録をまとめた本、
「ふるさとの手帖」(KADOKAWA)を出版。
写真館勤務を経て2020年9月からは独立。

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#035

『チガヤの気持ち』

おそらくこの植物はチガヤだ。
違ったら「違ったや」と言います。
はい、すみません。チガヤは雑草扱いだから、
駆除される対象だろうけれど、
朝6時半に光を浴びる様子は生命力に溢れ、輝いていた。
だから写真を撮った。

雑草は嫌われがち。でも、“雑草魂”といえばかっこ良い。
僕の中ではまだまだ研究対象の言葉だ。
雑草としてのチガヤは、どのような気持ちで
この場所に根を張ったのだろう。

チガヤを見つけたのは神保町のすぐ隣に位置する
九段下の交差点。周囲はオフィス街で、
都心の雰囲気そのものだ。チガヤも
「ここは都会だなあ。草生える」と
言っているかもしれない。

しかし、雑草は一見強そうで弱い植物だから、
ほかの植物の少ない場所を探す習性がある。
競争の前に、まず生き抜く環境を探している。
つまり、彼らが都会のど真ん中にやって来たのも、
本当は探して、探して、
ようやく辿りついたんじゃないかって。
周囲はコンクリートだけれど、ほかの植物は少ない上に、
いい光が当たるから。チガヤにとって、
置かれた場所で咲ける環境を
見つけた結果なんじゃないかって。

そう考えると、僕はチガヤを見習う必要がある。
写真は光を見つける、光と向き合う行為だから、
チガヤが雑草としてのいい光に辿りついたならば、
それはすでに大先輩なのだ。僕も神田に広がる、
いい光を探したいし、知りたい。
チガヤの気持ちで巡ることこそ、雑草魂かもしれない。

2021-06-10-THU

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