にぼしいわしのいわしさんが
話したい人と話すシリーズ、
先輩芸人編ラストに登場いただく芸人さんは、
ランジャタイの国崎和也さんです。
目的のわからないボケをひたすら繰り返す、
愛すべき怪芸人国崎さん。
ウケていようがスベっていようが、
ご本人はとにかく楽しそうです。
なにがそんなに楽しいんでしょうか。
教えてもらいましょう。
今度こそ、真剣なお笑いの話が聞けますように!

この対談の動画は 「ほぼ日の學校」でご覧いただけます。(「ほぼ日の學校」の動画にはいわしさんのアフタートークもあります!)

>国崎さんプロフィール

国崎和也(くにさき・かずや)

1987年富山県生まれ。芸人。
お笑いコンビ「ランジャタイ」のボケ担当。
相方は伊藤幸司。
M‐1グランプリ2021決勝進出。
奇想天外な言動、常識にとらわれないネタで人気を博す。
ピン芸人「ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん」として、
R-1ぐらんぶりにも出場。
エッセイにもファンが多く、2023年、
初のエッセイ集『へんなの』を発行。

>いわしさんプロフィール

伽説いわし(ときどき・いわし)

1992年大阪府出身。
お笑いコンビ「にぼしいわし」の
ツッコミ・ネタづくり担当。
相方は香空(きょうから)にぼし。
2024年、「女芸人No.1決定戦 THE W」にて
コンビで優勝。
2025年、個人事務所、株式会社A-Dashiを設立。
エッセイ『しょぼくれおかたづけ』発刊。

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第10回 高尾山でふたりきり

国崎
M-1の決勝でやったのが、
ぼくの上半身の動きが大事なネタだったから、
上半身に目が行くように、
ズボンと靴は黒くして、
目立たないようにしたの。
なのに、相方が、鉄腕アトムみたいな
真っ赤っかな靴を履いてきて(笑)。
いわし
真っ赤っかな靴を?! 
国崎
俺、自分の出番を見返したときに、
相方の靴にしか目が行かなくて。
俺がどう動いていようと、
「そんなことより、
隣のあいつの靴はなんだ」
「あの髪型変なやつ、靴、真っ赤っかだぞ。
靴、赤いぞ。赤すぎないか」って。
おもしろいけどね、そういうのも。
いわし
「なんで赤いんだよ」って
怒りはしなかったんですか。
国崎
いやいや、別に。終わったことだし(笑)。
いわし
当日は靴が赤いことに
気づかなかったんですか。
国崎
うん。実家に帰って、
家族と見返したときに、
「えーーっ、赤い。あっかーー」。

いわし
一緒に歩いてたのに、
気づかなかったんですか(笑)。
国崎
動いてたからさ。
いわし
動いてたからわかんなかったんだ。
国崎
うちら、ネタ合わせもしないからさ。
よく、ライブ会場の廊下で
伊藤くんとふたりでしゃべってると、
ネタ合わせしてると思われるんだけど、
ぜんぜんだよ。
いわし
え、じゃあ、なにをしゃべってるんですか。
国崎
むっちゃくちゃゴシップばっかり
しゃべってる。
「らしいよ~」「えーーっ!」って。
いわし
仲いいんですね。
国崎
うん、普通にゴシップ。
ほかの芸人とみんなで飯に行っても、
同じような感じだね。
いわし
芸人どうしでケンカすることも
あまりないですか。
国崎
ない、ない。
いわし
へぇーー。
そもそも、あまり怒らないんですか。
国崎
そうかもしれないね。
怒りの感覚がそんなにないから。
いわし
怒られることはありますか? 
国崎
怒られることは、むちゃくちゃ、
むちゃくちゃあるよ。
ありすぎてもうわかんないけど、
たぶんめっちゃあったと思う。

いわし
めっちゃあるんですか。
国崎
食レポとか、お店に入る前の駐車場で
終わったりしてたから。
いわし
うわーー。サイアクや。
国崎
食レポで浅草に行ったときに、
「さあ、浅草にやってまいりました」
っていうオープニングトークを、
ずっとやってたの。
しびれを切らしたカメラマンさんが、
俺の手をつかんでお店に引きずり込んで、
俺が「やめろー」とか言って(笑)。
いわし
「やめろー」ってなに? 
国崎
全部は思い出せないけど、たぶん、
こういうことがいっぱいありました。
えーっとね、あとは、
街なかに紛れ込んだターゲットを見つけて
連続で笑わせると、
賞金1000万円がもらえる番組に出たとき。
ぼく、たしか、きしたかのの高野と
高尾山でその企画をやったの。
スタッフさんに「スタートです」
って言われて、高野と改札を抜けた瞬間に、
明らかにひとり目のターゲットらしい
おばさまが走ってきて。
いわし
はい、はい。
その人を笑わせたらいいんですね。
国崎
そうなんだけど、ぼく、
むちゃくちゃ逃げたんだよ。
いわし
あはははは! なんで?! 
国崎
おばさんがぼくを追いかけてきて、
10分ぐらい逃げ続けて。
一回収録が止まって、
プロデューサーさんから
「意図はわかるんですけど、
まだひとり目なんで、
一回あいさつ程度にどうですか」
って言われた。
いわし
あいさつ程度に? 
国崎
再スタートしても、おばちゃんが来たら
また逃げて、ずっと同じことをやって、
一回おばちゃん撒いたの(笑)。
高野は「おい、お前、絡めよ!」
って怒り出して。
いわし
高野さんがまともでよかった。
国崎
そのあとにもう一回プロデューサーさんが、
「もちろん自由にやっていいんですけど、
もう少しだけ寄り添っていただけたら
いいなと思いまして」と言ってきたから、
「わかりました」って答えて。
収録を再開したら、今度はおじさんが
「すみません」って話しかけてきて。
いわし
さすがにこれは笑わせるでしょ。
国崎
ぼくはもう、血相変えて山を下りて。
いわし
なんで? 
国崎
スタッフさんも、音声さんも、
全部撒いたの。
いわし
意味ないじゃないですか。
国崎
高野が追いかけて来て、
ふたりで高尾山をめちゃくちゃ登って、
けもの道に入っていって、
高野とふたりだけの時間ができた(笑)。
あの瞬間がいちばんおもしろかった。
山のなかで、高野に
「なにやってんだ!」って怒られて。

いわし
高野さんはなんで追いつけたんだ。
国崎
もうダメだから、
急きょ高野が俺の代わりにメインで
出ることになって。
いわし
えーーっ。そんなことある? 
国崎
そしたら、高野がひとり目のターゲットを
ぜんぜん笑わせられなくて(笑)。
収録終わったあとのロケバス、
すごい空気だったよ。
だけどやっぱり、高野とふたりきりで
高尾山を走ってる瞬間が
いちばん楽しかった。
いわし
予定調和じゃないことが
起きれば起きるほど、楽しいんですね。
しっかりリハーサルして、段取りを決めた
番組やライブだと、あまり燃えないですか。
国崎
そうだね。迷惑はかけないけどね。
いわし
迷惑かけてますよ、
信じられないぐらい(笑)。
国崎
かけないようにはしようと。
いわし
かけないようになりました? 
国崎
いや、なってない。
もう、迷惑かけてもいいところからしか
オファーが来なくなった。
いわし
じゃあ、いまいちばん出たい番組は
あります? 
国崎
『徹子の部屋』出たい。
『徹子の部屋』めっちゃ出たい。
いわし
おお、いいですね。
国崎
神輿かついで、ワッショイワッショイして、
徹子さんに乗ってもらって、
30分くらいやって、「もうやめてーー」
って言われながら終わらせたい。
ワッショイワッショイ、
ルールルルルル♪(『徹子の部屋』のテーマ)
「今週もありがとうございました」。
いわし
‥‥おもしろいですけどね。

(こんな感じで、明日は最終回です)

2026-06-04-THU

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    『しょぼくれおかたづけ』
    伽説いわし

     

    芸人らしくて人間らしい、
    葛藤や生々しいもがきが綴られた
    いわしさんの初エッセイです。
    連載とあわせて、お手にとってみてください。