
にぼしいわしのいわしさんが
話したい人と話すシリーズ、
先輩芸人編ラストに登場いただく芸人さんは、
ランジャタイの国崎和也さんです。
目的のわからないボケをひたすら繰り返す、
愛すべき怪芸人国崎さん。
ウケていようがスベっていようが、
ご本人はとにかく楽しそうです。
なにがそんなに楽しいんでしょうか。
教えてもらいましょう。
今度こそ、真剣なお笑いの話が聞けますように!
(「ほぼ日の學校」の動画にはいわしさんのアフタートークもあります!)
国崎和也(くにさき・かずや)
1987年富山県生まれ。芸人。
お笑いコンビ「ランジャタイ」のボケ担当。
相方は伊藤幸司。
M‐1グランプリ2021決勝進出。
奇想天外な言動、常識にとらわれないネタで人気を博す。
ピン芸人「ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん」として、
R-1ぐらんぶりにも出場。
エッセイにもファンが多く、2023年、
初のエッセイ集『へんなの』を発行。
伽説いわし(ときどき・いわし)
1992年大阪府出身。
お笑いコンビ「にぼしいわし」の
ツッコミ・ネタづくり担当。
相方は香空(きょうから)にぼし。
2024年、「女芸人No.1決定戦 THE W」にて
コンビで優勝。
2025年、個人事務所、株式会社A-Dashiを設立。
エッセイ『しょぼくれおかたづけ』発刊。
- いわし
- いまほど売れていない期間も、
わりと楽しくやっていたんですか。
- 国崎
- 売れない期間も楽しかったですね。
- いわし
- へえー。
「お金がない」とか、売れてない芸人の
苦しみはあまりなかったんですか。
「逆におもしろい」と感じてたんですか。
- 国崎
- お金がないのはむっちゃヤバかった、
ずっと。
- いわし
- ヤバいんかい(笑)。
- 国崎
- ヤバいと、
市役所から督促状が来るんですよ。
差し押さえ状みたいなの。何回も来ました。
あれ、封筒の色が
どんどん変わっていくんですよ。
水色からオレンジになって、
最終的に鬼みたいな色になる。
- いわし
- 怒ってるんだ。
- 国崎
- 赤鬼みたいな封筒で、警告文が届いて。
それでも払えないとなったら、
ある日、ほんとに差し押さえられました。
バイトの給料日に銀行で
お金を下ろそうとしたら、
「このカードはお取り扱いできません」
って言われたの。
- いわし
- 差し押さえられてるから。
- 国崎
- そう。通帳にも、カタカナで
「サシオサエ」って書いてあった。
ほんとにもうびっくり!
- いわし
- うわー、すげー。
- 国崎
- で、区役所行って、一世一代の喜怒哀楽、
全部見せて。
- いわし
- あははははは。
- 国崎
- 泣き、笑い、哀愁。
- いわし
- 「笑い」いらなくないですか。
- 国崎
- 芸人だから、市役所の人を笑わせつつ。
- いわし
- そうか。笑いもいるのか。
- 国崎
- そして、最後は泣きに持っていくんです。
- いわし
- なるほど。
- 国崎
- そしたら、受付のお姉さんが
「わかりました、
ちょっとお待ちください」って言って、
鉄男(てつおとこ)みたいな人が
出てきたの。
この人には、なに言ってもダメ。
喜怒哀楽が通じない。
- いわし
- 大変だ。
- 国崎
- 「ダメです」と「国が決めたことなんで」
だけを、交互に言ってくるんです。
僕が「どうしてもですか」
鉄男が「ダメです。絶対ダメです」
「ダメですか」「ダメですよ」
「そうですか。どうしてもですか」
っていうやりとりを、
ほんとにずーっとやった。
でも、結局差し押さえられて、
「サイアクぅ」と思って。
- いわし
- 「サイアクぅ」でいいんですか。
軽いですね。
- 国崎
- 「サイアクぅ」でいいんだ、もう。
でね、その日、
九段下のイベントに行ったの。
夏だったから、暑いし、
金も一銭もないし、最悪やーと思って
行ったら、反対側のテントの下に
錦鯉のまさのりさんがいて。
まさのりさんがこう、両手で顔の上下を
挟んでて。
- いわし
- どうしたんですか、まさのりさんは。
- 国崎
- 訊いてみたら、まさのりさんも
差し押さえにあったと。
- いわし
- えーーーっ。
- 国崎
- さらに、ここに来て、
虫歯が痛くなってきて、
市役所と歯医者、どっちから行けばいいか
迷ってたんだって。
「いま、人生の岐路なんだよ」って。
「まず区役所行ってください」って言った。
- いわし
- そりゃそうだ。
- 国崎
- まさのりさんとぼくが、ほんとに偶然、
同じ日に差し押さえられてたんだ。
そういう日々は楽しかったです。
あのまさのりさんが、いまや
M-1チャンピオンですからね。
- いわし
- いや、すごいですね。
- 国崎
- 錦鯉さんが優勝したときは
「うわー、ほんとに優勝した」
と思いました。
ずっと身近に見てた人たちだから。
- いわし
- 感動しますね、それは。
- 国崎
- すごいよ。まさのりさんって、
むちゃくちゃバカなんだから(笑)。
前も「ミステリー小説って知ってる?
あれってすごいよなー。1ページ2ページ、
何十ページぐらいめくるだろ。
そうするとさ、
3人ぐらい死んでるんだよなー。
すごいよな、ミステリー小説」
みたいなこと言ってて。
しかも、話が変わった、おかしいなと
思ったら、あとがきだったって。
ほんとに。バカすぎるよ。
- いわし
- むしろ、
なんで最後まで読めたんでしょうね。
- 国崎
- だからね、あんな人が優勝するなんて
すごいなあと思って。
でも、錦鯉さんは、優勝する前も
ずっとおもしろかったですね。
- いわし
- ああ、そうですね。
錦鯉さんが遅咲きで売れたのは、
もともとおもしろかったからだから、
おもしろくないのに真似しちゃ
ダメなんですよね。
(歯医者でも区役所でもなく、明日に続きます)
2026-05-31-SUN


