日本のすばらしい生地の産地をめぐり、
人と会い、いっしょにアイテムをつくる試み。
「/縫う/織る/編む/」、
どうぞよろしくお願いします。

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「服が好き」が、すべてのはじまり。

年間200ヵ所以上、
日本の繊維産地の機場や染工場をまわっている
(株)糸編(いとへん)の宮浦晋哉さん。
独自のスゴ技を持つ日本各地の作り手や機場と、
国内外のファッションデザイナーや
アパレルメーカーをつなぐ仕事をしている人です。

宮浦さんの仕事は、
産地とデザイナーやアパレルを
つなぐだけにとどまりません。
服の作り手に生地づくりの知識がないと、
おもしろい服はできないと考えて、
アパレル業界の人向けに「産地の学校」を開校。
続いて、若い人にモノづくりに興味を持ってもらおうと
大学で教鞭をとることに。
さらには、行政の事業を担当したり、
執筆活動を行ったりと、
多岐にわたる活動をしています。

わたしたち「/縫う/織る/編む/」チームは、
いろんな産地を調べていくうちに、
宮浦さん主催の「産地ツアー」や
「産地の学校」に、たどり着きました。
これは協力をお願いせねば!
アタックしたら、快く引き受けてくださって、
一緒に産地をまわることになったんです。

まずは、宮浦さんにこれまでのこと、
これからのことをおうかがいします。

糸編 宮浦晋哉さん プロフィール

──
宮浦さんは、
「株式会社 糸編」という会社の代表で、
繊維産業やテキスタイルに関する、
さまざまなお仕事をされています。
まだお若いんですよね。
宮浦
今、36歳です。
──
もともと、服飾に興味があったんですか?
宮浦
そうですね。
高校生のときに、
ファッションサークルみたいなのをつくってました。
一同
へぇ~!!
宮浦
高校1年からずっとですね。
地元は千葉の柏なんですけど、
柏って、古着の街なんですよ。
アルバイトをして、たくさん服を買ってました。

──
とにかく、服が好きだった。
宮浦
うん、服が好きでしたねー。
おしゃれすることや、
自分で服を選ぶのが楽しい感じですね。
「繊維研究会」がいちばんの軸になった。
──
卒業後は、服飾系に進むつもりだったんですか?
宮浦
そのつもりだったんですけど、
親に反対されて。
「『着る』のが好きで、
 『つくる』のは好きじゃないでしょ」
って、ド正論を言われてしまって。
「たしかにそうだな」と思って、一般大を受けました。
──
どういった大学へ?
宮浦
芝浦工業大学という理系の大学に行ったんですけど、
ファッションへの興味は高まっていって。
早稲田大学の繊維研究会という
ファッションサークルに入りました。
──
繊維研究会って、どういった活動をされてるんですか?
アンリアレイジ森永邦彦さんもそうですよね。
宮浦
そうですね。大先輩です。
このサークルでは、つくる服の意味や、
社会的なメッセージとかを
ずーっと議論してるんです、もう、ずーっと。
毎週水曜日の部会で、5時間ぐらいは討論するんです。
その服の意味、そのポケットやシルエットの意味、
ディテール1個に対しての機能とかを、散々議論する。
そのプレゼンのために、いろんな文献読んだり、
リサーチして、毎日のようにみんなで話して。

──
いわゆる服飾の専門学校とは、掘り下げる角度が違う?
宮浦
そうなんです、そうなんです、ほんとに。
「さぁつくれ!」じゃなくて、
「つくることに何の意味があるか」
っていうところから考えるんです。
僕は理系的な、理屈っぽいところもあって、
自分に合ってるというか。
とにかく楽しかったですね。
──
ファッションの分野に進みたくなった?
宮浦
そうなんです。
それで、やっぱりやりたくなって。
エスモードジャポンという専門学校に、
夜間、ダブルスクールという形で通いました。
さらに、もっとファッションを勉強したいなと、
杉野服飾大学に編入したんです。
──
へぇ~!!
濃い学生時代ですね。
宮浦
その間も、ずっと繊維研究会に出入りしていました。
一番の軸が繊維研究会で、
杉野服飾大学ではテクニックを学んで、
縫製工場でアルバイトして工業的なものづくりを学んで。
就活に向き合えず、ロンドンへ。
──
卒業した後にイギリスに行かれたそうですね。
なにか、きっかけがあったんですか?
宮浦
3、4年生になるとみんなが就職活動をし始めますよね。
でも僕は、クラスメイトのように動き出せなくて。
繊維研究会で、寝ないでディスカッション、
寝落ちするまで議論するみたいな日常ですから、
就活に向かえないというか。
──
卒業イコール就職っていうのに、
ちょっと疑問みたいな。
宮浦
「働く」っていう意味が、もうわかんなくなっちゃって。
悩んでたら、留学できる制度があることがわかって。
どうしても留学したいとかではなくて、
ただ、やりたいことが見つからないから、みたいな。
きっかけは、ほんとにそんな程度でした。
──
でも、何かに導かれてるような感じ。
宮浦
繊維研究会も卒業して、
自分は何がしたいかを言葉にできるようになってきたんです。
裏で誰かをサポートする、
そういうのが心地いいなっていうことがわかってきて。
──
繊維研究会で、相当鍛えられたんでしょうね。
宮浦
そうですね。
留学したのは、
ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションっていう学校です。
メディア&コミュニケーションのコースで、
ジャーナリズムとかエディトリアルを勉強するんですけれど、
そこで「キュレーション」っていう概念が出てきたんです。
──
キュレーション=編集。
これが今のお仕事につながっているんでしょうか。
宮浦
はい。そうなんです。
あ! こういうことやりたかったんだ、と思って。
何かを伝えるために、
展示会をつくったり、本をつくったり。
そういうことをやりたかったんだって、ちょっとつかめて。
ロンドンのギャラリーを借りて、展示会をしたり。

──
どのような展示会を?
宮浦
日本のブランドを紹介する展示会です。
海外にいることで、あらためて自分が日本人として
何ができるかを考えはじめたんですね。
それで、日本のものづくりをもっと紹介したいなって。
5ブランドに声をかけて、
ロンドンまで服を送ってもらって。
──
ロンドンの展示会では、どんなことを感じましたか?
宮浦
来てくれた人たちから、
「日本の産地やテキスタイルがいいね」
「クラフトマンシップがいいね」
といった反応が多くありました。
日本といえば素材のよさが見られているんだ、
って確認できました。
そこからは、引っ張られるように日本の産地に興味が行って、
もう、調べることは日本のテキスタイルのことばっかり。
1日ごとに、どんどんどんどん興味が募っていって、
「とにかく産地をまわらなくちゃ!」
って思いになりました。

(つづきます)

テキスト:武田 景

2024-04-03-WED

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