アツい夏をCOOOLに過ごすため、
COOOLなお店ができました。
その名も「HOBO COOOL SHOP」。
クリエイティブディレクターの
塚本太朗さんを店主にむかえ、
ひんやりするもの、かっこいいもの、
ちょっとゾクッとするものを
ところ狭しとご用意します。
出展するのは、6月の「生活のたのしみ展2026」。
この連載では、お店にならぶアイテムを
少しずつ紹介していきます。
夏に向けて、COOOLな気分を高めていきましょう!

>塚本さんプロフィール

塚本太朗(つかもと・たろう)

生活のたのしみ展2026に出展する
「HOBO COOOL SHOP」の店長。
「riddle design bank(リドルデザインバンク)」を
運営する、クリエイティブディレクター。
グラフィックデザインやブランディング、
イベントのオーガナイズなど、多くを手がける。
ドイツやオーストリアをはじめ、
各地で集めたかわいいものや変わったものを、
自身のショップ「マルクト」で販売も。
「用途はふんわりしているけれど、
なんだかほしくなっちゃうもの」に、目がない。
2023年開催「生活のたのしみ展」では、
「ほぼアルファベットのお店」、
2025年開催「生活のたのしみ展」では
「HOBO SUPER OMISE SHOP」の店長を務めた。

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【Kamihasamiさんインタビュー】

Kamihasami(かみはさみ)

桑沢デザイン研究所卒業。
身近な道具で加工できる扱いやすさと、
材料の入手性の良さから
紙を使った立体作品の制作をはじめる。
書籍の装丁や広告美術として
紙の立体作品を提供するかたわら、
自身の好きなモチーフを
組み合わせ、気の赴くままに
アート作品を制作している。
近年は、ペインティングと立体作品を
組み合わせた新たな表現で
作品を制作している。
 

立体と平面を自在に行き来する
作品たちから目が離せない。
──
塚本さんとKamihasamiさんの、
出会いのきっかけを教えてください。
塚本
Kamihasamiさんの、
アルファベット26文字の形をした
紙の家のシリーズ
「Typography House」
展示されていたのを見て、
衝撃を受けたんです。
作品のユニークさ、精密さはもちろん、
「この方はなにを
お仕事にされているんだろう?!」と(笑)。
そこで、KamihasamiさんのInstagramに
直接連絡しました。
Kamihasami
「Typography House」は、
ぼくがアートを始めて
最初につくったものなので、
塚本さんと出会ったのは、
もう4年ぐらい前ですね。
そのときから「機会があったら
なにか一緒に」と話し続けていて、
今回に至りました。

──
「Typography House」が
最初の作品だったんですね。
Kamihasamiさんは、以前から、
アートに関心があったのでしょうか。
Kamihasami
もともとはデザインや建築、
展示会場のブースの設計などを
していました。
当時、出版物の装丁をやりたいと
思っていたので、きっかけをつくるために
展示会に出展しました。
そこでできたアーティストの友人に、
「現代アートを販売している
株式会社タグボート主催の、
Independent Tokyoというイベントがある」
と教えてもらったんです。
新進のアーティストが
作品を展示・販売できるイベントで、
つながりをつくりたかった自分には
ぴったりでした。
なので、なにか作品を準備して出そうと
したのですが、
イベントの4ヶ月前ぐらいまで
なにもできなくて。
そのときに、お仕事をご一緒したりと
お世話になっていた
グラフィックデザイナー五十嵐威暢
(いがらし・たけのぶ)さんの、
数字を立体的に描いたカレンダーのことが
頭に浮かんだんです。
ぼくの場合は、ずっと仕事で
立体をつくっていたので、
文字を本当に建築物にしてみたら
いいんじゃないかと思って、
「Typography House」を
つくってみました。

──
文字を建築物にするというアイデアから、
バリエーションさまざまな家が
生まれたんですね。
それぞれの家に船がついているのも、
さわやかでかわいいです。
Kamihasami
当時、釣りが好きで、船舶免許を取ろうと
していたんですよ。
だから、頭の引き出しに「船」が
あって、「Typography House」にも
船をつけてみようと思い立ちました。
そして、ボートハウスにしてみたら、
なんだかしっくりきたんです。
それをイベントに出展したところ、
タグボートの方が目にとめてくださって、
所属作家になりました。
ぼくは毎回新しいことを
やりたくなっちゃうので、
最初は立体をつくっていたけど、
いまは平面もやりたくなって。
今回販売させていただく
「航跡シリーズ」は、紙の立体物と
平面のグラフィックを合わせた作品ですが、
最近はもうほとんど平面の作品を
つくっています。
塚本
「航跡シリーズ」は、立体から平面への、
過渡期の作品なんですね。
この立体と平面が混ざり合ったスタイルには、
今後はもうお目にかかれないかもしれない。
そう考えると、貴重ですね。

──
模型でも平面でもないアート作品って、
珍しい気がします。
Kamihasamiさんは、小さいころから
工作がお好きだったんですか? 
Kamihasami
そうですね‥‥記憶にあるのは、
NHKの「できるかな」
という番組です。
あれをめちゃめちゃ
見ていたかもしれません。
塚本
牛乳パックや、トイレットペーパーの芯を
使って工作するんですよね。
Kamihasami
そうそう! 
ぼくたち「できるかな」世代ですよね。
ダンボールで工作する回を見ては、
近くの生協に
ダンボールをもらいに走っていました。
だから、いまやっていることも、
小学生のときと一緒です(笑)。
あと、ミニカーにもはまっていて、
架空の街をつくって走らせていました。
塚本
「スーパーカー消しゴム」とか、
流行ってましたね。
Kamihasami
やってましたねぇ。
誰の消しゴムが遠くまで行くか、
競争してました。
塚本
ぼくは、タイヤの部分に
セメダインを塗って固めて、
つるつる走るようにしてました。
Kamihasami
‥‥そこまではしなかったです。
すごい情熱ですね。
──
いまKamihasamiさんは、立体のものは、
どうやってつくられているんですか? 
Kamihasami
まず、CGでつくって、
ソフトを使って平面に展開します。
それを組み立ててつくるんですが、
だいたい一回では嵌合がうまくいかなくて、
ミリ単位で調整し、また何個か試作品を
つくってから本番に入ります。
──
使う紙に決まりはあるんですか。
Kamihasami
いろいろ試して、最終的にタント紙に
たどり着きました。
建築物は平面が多いので、
ある程度の厚みがないときれいな平面に
なりません。
逆に、曲面をつくるときは、
紙が厚いとシワが寄ってしまうんです。
なので、厚みが選べるタント紙は
重宝しています。
タント紙は色数も多いので、
塗らずにそのまま紙の色を活かす場合も
あります。
この船の窓は灰色のタント紙を
貼り付けています。

──
うわあ、こまかい。
Kamihasami
ただ、紙は紫外線に当たり続けると
黄色がかってしまうことがあるので、
なるべく着色するようになりました。
さらに全体にニスをかけ、
UVカットのフレームで覆っているので、
3段階で色焼けを防いでいます。
──
HOBO COOOL SHOPに出していただく
「航跡シリーズ」の船は、
全部同じ船ですか? 
Kamihasami
色は3種類あります。
ここにある赤と、黄色とオレンジを
予定しています。
それから、平面部分のグリッドにも
いろいろ変化を持たせたいと
思っています。
──
それぞれ違う表情の作品になるんですね。
生活のたのしみ展の会場では、
「航跡シリーズ」の
小さいサイズと大きいサイズ、
2種類を置かせていただきます。
みなさんにお気に入りのひとつを
見つけていただきたいです。
塚本
波が立体的に見えて、
ずっと眺めてしまいます。
クールな作品ですよね。
──
かなりクールです。
「Kamihasamiさん」というお名前を知らずに
見たら、紙とは思わないかもしれません。
塚本
近くで見ると「おお、マジで紙だ!」
とわかるけど、
遠くからだったらわからないですね。
Kamihasamiさんのお名前の由来は、
やっぱり紙とハサミを使うからですか? 
Kamihasami
いや、じつは、本当は紙とカッターしか
使ってないんです。
一同
え!! 
Kamihasami
だけど「カミカッター」って、
あまりかわいくないじゃないですか(笑)。
風体に似合わず、かわいらしさがほしいと
思って、「切るものつながり」で
ハサミにしたんです。
──
はあー、そうだったんですね。
まさか、Kamihasamiさんが
ハサミを使っていないとは‥‥。
でも「ハサミ」という響きには、
たしかにレトロなかわいらしさがあります。
Kamihasami
いま製作している平面の作品は、
もはやカッターも使っていないです。
だから、昔からの知り合いには、
よく突っ込まれるんですよ。
「ハサミどこ行ったの」って。

──
このあと、Kamihasamiさんの作品が
どうなっていくのか、予想がつきませんね。
たのしみです。
平面ではどんなものを
描かれているんですか? 
Kamihasami
いまは、パイプにはまってて。
──
パイプ。
Kamihasami
工場などにある、あのパイプです。
昔から、なにが流れてるかわからない怖さ、
爆発しそうな感じや、
造形的なかっこよさに惹かれていました。
今年は、そのパイプを
「いかに気持ち悪く描けるか」に
力を入れています。
パイプって、無機質な
ただのモノなんですけど、
生物らしさを出せたら
おもしろいなと思って。
さらに、タイポグラフィを組み合わせて、
パイプを文字の形にすると、
その言葉の意味との相乗効果で、
より気持ち悪くなるんじゃないかと。
──
「気持ち悪くする」というのは、
パイプの絵で初めて
挑戦されていることですか。
いままでの作品からは、あまり
気持ち悪さを感じなくて‥‥。
Kamihasami
はい、いままではやっていなかったです。
自分でも、なんでパイプを
気持ち悪くしたいのか
わからないです(笑)。
でも「なにかとなにかを組み合わせる」
というところは、いままでの作品とも
共通しているかもしれません。
最初は、パイプが好きというだけで
モチーフにしたんですが、
パイプとの組み合わせの新しさで
ほかとの違いを出そうと思って、
無機的なパイプに有機的な気持ち悪さ、
自分がもとからやっていたタイポグラフィを
組み合わせました。
自分の好きなものを組み合わせながら、
「これだったらいけるかな」という
落としどころが見つかれば、
つくっちゃう、みたいな感じです。
だから、毎回つくるものが違って、
なかなか「この作品の人」というイメージが
つかないんですけどね。
──
それぞれの作品をつくっているときは、
どんなことを考えているんですか? 
Kamihasami
最初の「Typography House」を
つくったときは、
「この家にはどんな人が住んでいるか」
ということを、すべての家に対して
考えていました。
ひとりひとり住んでいる人の顔を考えて、
その人たちの家にはなにが必要だろうと
思い浮かべながらつくったんです。
次につくった、カタカナの家
「イロハウス」シリーズは、
全部の家の間取り図もあります。
一同
えー! 
(KamihasamiのInstagramを見て)本当だ‥‥。

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塚本
この間取り、不動産会社さんが
買ってくれるんじゃないですか。
Kamihasami
そんなことができたら
いいですけどね(笑)。
──
間取りや設定を考える時間、
楽しそうです。
Kamihasami
案外、楽しくはないんです。
ネタが切れるんです。
──
たしかに、イロハニホヘトだったら、
47文字ぶんの家を考えなければ
ならないですもんね。
Kamihasami
そうなんです。
最初の3個ぐらいはノリノリで
つくるんですけど、そこからは大変で。
アルファベット26文字の
「Typography House」のときも、
Zまでつくらなきゃいけないのに、
Cで飽きたんですよ。
──
はやっ。
Kamihasami
でも、インスタに投稿していたら、
「C」を上げたときに
「本当にZまでできるのか」と
煽ってきた人がいたんです(笑)。
それで、ぼくも「やるよ」って
返しちゃったので、なんとか最後まで
つくりました。
自分で「週2でつくる」というルールを
設けてしまっていたので、
余計大変だった‥‥。
──
そんなにみずからを追い込んで‥‥。
すごいですね。
製作しているとき、どのタイミングが
いちばん楽しいですか。
Kamihasami
いちばん最初に構想しているときと、
オーダーが入ったときですね。
つくっている最中は、正直、
「あ~つくらなきゃ」という感じなんです。
──
そうなんですか。
それで、こんな精密なものをつくられている
ということに、無理に前向きにならなくても
いいものはつくれるんだと、
なんだか勇気をもらいます。
Kamihasami
それなら、よかったです(笑)。
──
「航跡シリーズ」の船にも、
設定があるんですか? 
Kamihasami
これは、設定というより、
モデルにしている船があるんです。
あるおじさんが、かわいらしい船を
手づくりしているんですよ。
ちょっとバランスが悪くて、そこが
かわいいんです。
クルーザーやヨットではなく、
そんな素朴な船にしたくて。
──
なんとなく、おとぎ話のようなふんいきが
あるのは、だからなんですね。
飾るときは、置いてもいいし、
壁に掛けてもいいのでしょうか。
Kamihasami
そうですね。一応、ニスで
カチカチに固めてはいるので、
壁に掛けても船が取れる心配は
ほとんどありません。
万が一船が取れてしまった場合は、
連絡いただけたら修繕します。
「Typography House」も、
海外に送って箱がボロボロになっても
中身は大丈夫だったので、
けっこう丈夫です。
──
はやくお家に飾りたいです。
子ども部屋にあってもかわいいですね。
Kamihasami
ぼくとしては、けっこう、
トイレに置くのにちょうどいいサイズを
意識しています。
──
ああ、いいですね! 
ずっと見てしまう作品なので、
トイレに飾ってあったら、
ぼーっと眺める時間ができて
癒されそうです。
決めました、トイレに飾ります。
Kamihasami
ありがとうございます(笑)。
──
こちらこそ、ありがとうございました。

(終わります。次回は「コレジャナイロボ」のザリガニワークスさんへの取材をお届けします)

2026-05-27-WED

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  • 生活のたのしみ展2026

    場所
    新宿住友ビル 三角広場
    東京都新宿区西新宿2-6-1
    大江戸線「都庁前」駅 直結
    東京メトロ丸ノ内線「西新宿」駅 徒歩4分
    JR線ほか「新宿」駅 徒歩8分

    日時
    2026年6月1日(月)~6月7日(日)
    11時00分〜19時00分(最終日は18時00分まで)
    最終入場は18時45分まで(最終日は17時45分まで)
    入場無料