
贈りもののことを考える
「ほぼ日の 贈りものマルシェ」チームでは、
自分から自分への贈りものについて、
エピソードを募集しました。
そこで集まったみなさんからのすてきな経験談を
ご紹介します。
- こんにちは。
- みなさんの「自分への贈りものエピソード」、
回答編の第5回。
今回が最終回です。
いい靴下
靴下って必需品で消耗品だから、
3足いくらのものを、
あまり気にせず長年にわたり買ってました。
だいぶ前に親しい女性の知り合いから、
奈良の「ポンデピエ」の靴下をいただき、
初めて履いた感触は衝撃でした。
その後、伊丹空港の売店で
偶然に「西口靴下」の靴下を見つけて、
ヴィヴィッドな緑色の靴下を
自分用に買い求めました。
いい靴下ってこんなに
すごく気持ちの良いものかと思い、
それ以来長く履ける質のいい靴下を
日本に帰る際に買いに行くのが楽しみになりました。
気持ちまでリラックスできるシルクやカシミヤ、
ウールの靴下は、靴を履いている時間が長い
こちらの生活には欠かせない、
贅沢な自分への贈り物ものだと思います。
最近では人へのプレゼントとしても使っていますし、
一人でもいい靴下を履く贅沢を
味わって欲しいと思っています。
足を包み込むいい靴下が
目の前に見えるだけで幸せになれるのは、
毎日の生活の豊かさにつながってる気がします。
(カズチ 70歳代 女性)
CD
中学生のとき、ふと耳にした、
それはそれは美しい声の歌にひと耳惚れ。
あまり知らなかった北欧の国の、素敵な3人組でした。
日本のテレビ番組に出ると聞けば必死の思いで録画し、
お小遣いを貯めて
アルバム(当時はレコードでした)を買い、
あとは洋楽専門の雑誌で
インタビュー記事を立ち読みするくらい。
今と違ってリアルタイムで情報を入手することはできず、
映画に出たと聞いても日本での公開は無く、
結婚したということも
だいぶ後になってから知りました。
映画の主題歌を担当することになったときは、
全然興味のなかったそのシリーズものの映画を
半日かけて2回観たし、
ワールドツアーで地元に来てくれた時は
並んで手に入れたチケットを握りしめて見に行きました。
3枚目のアルバムからはCDに。
4枚目、5枚目‥‥。
その後、私は結婚して子どもを持ち、
自分の好きな音楽から離れてしまいました。
寝かしつけるときの子守歌、一緒に歌う手遊び歌、
車の中では子どもたちの好きなアニメソング。
それが辛かったり苦痛だった訳では無いです。
楽しかったです。
年の離れたきょうだいだったので、
気が付くとそれが十数年。
末っ子が小学生になり、
自分一人で出かけることが増え、
アニメソングのCDをラジオに切り替えた時。
あれ? 私、もう長いこと
「私の好きな曲」を聞いてないぞ?
慌てて車に昔のCDをセットして、
懐かしい歌声を聞いた時、
私、頑張ってきたなぁ‥‥!!
と心から思いました。
忘れてた訳じゃないけど、
彼らは今どうしてるんだろうと調べたら、
活動休止や解散を経て再結成し、アルバムも出してる。
それから自分の誕生日に一枚ずつ、
CDを買い始めました。
買ってから一年間、
飽きずにずっと同じアルバムを聞いています。
3年前には、7年ぶりのアルバムが、
なんと私の誕生月に発売という
嬉しい出来事もありました。
グループとしての活動休止中に出た
ソロアルバムもあり、
まだ数年は誕生日のプレゼントには困りません。
ゆっくりゆっくり揃えていきます。
(北国あひる 50歳代 女性)
バスポンプ
つい先日、50歳の誕生日に
バスポンプを自分に買いました。
長年、浴槽の残り湯を
バケツで洗濯機に移して洗濯に使っています。
残り湯を洗濯に使うのは
良くない点があるのは理解していますし、
腰も痛いし、もうやめようかな、と思いながらも
結局ずっとやめられないで続けてきました。
なぜやめられないのか、と考えると、
幼いころからの記憶、
節約家の母がずっとそうしてきた姿を
見てきたからだなと、気づきました。
子供のころ、浴槽の横に大きなバケツが2つあって
そこにお風呂の残り湯がいつも溜めてあり、
洗濯や庭の水やり、時には私が真夏の水遊びに
使っていました。
これはもう、きっと母の呪いだな、と、
やめられないことをあきらめました。
とはいえ、腰痛もほっておけない、ということで
数年前に、よし、50歳になったら、
バスポンプを買おう! と決めていました。
自分への誕生日プレゼントは初めてでした。
50歳になって、少し清々しい気持ちになりました。
(うさ)
ニューヨークひとり旅
自分への贈りものは、
ニューヨークひとり旅です。
母の介護は、時間としては短かったものの、
濃厚な日々でした。
介護が終わり、やりきった充実感が
アドレナリンを放出し、
英語も話せないまま、ニューヨークへ。
目的はひとつ。
原田マハさんの小説『楽園のカンヴァス』に出てくる
アンリ・ルソーの「夢」を観に行くことです。
しかし、MoMAに行くと
「夢」は展示されていませんでした。
それから1年半後、再度ニューヨークひとり旅へ。
その時の「夢」を観た体験は、忘れません。
予定通りにいかないことも全部ひっくるめて
自分への贈りものとなりました。
(鶴姫 50歳代 女性)
花
私が自分への贈りものとして
パッと思い浮かぶのは、花です。
誕生日などの記念日でなくても花を買い、
部屋に飾ります。
それだけで気分が上がり笑顔になれるので、
なるべく花を絶やしたくない。
幸い、近所に安く買える花屋さんがあり、
そこで季節の花を自分で自分に買っています。
(コセツ アイ 50歳代 女性)
羽田空港のホテル
1983年から40年間お世話になった会社を辞めて
退場した最終日に、羽田空港のホテルを予約して、
ひとりで風呂に入り好きなものを食べた。
2011年5月から東京本社(築地)へ単身赴任して
およそ12年後の2023年3月31日(金)、
大安吉日だった(笑)。
築地の事務所を定時に出るとき、
秘書の女性と友人2名が見送ってくれた。
小さな花束(ブーケ)とほぼ日手帳だけをもって、
その日まで有効のタクシー券をつかって、
汐留JCTから首都高1号にのり、
湾岸線をかっとばして羽田第3ターミナルまで行った。
単身赴任で住んでいた浜松町のマンション・ビルや
よくかよった芝浦のタワマン高層階からの
レインボーブリッジの風景をとおく眺めていたら、
海外赴任していたサウジアラビアや
バングラデッシュの思い出・原景が
とつぜんバックラッシュしてきた。
それもこれもぜんぶ最後。
すべて『おしまい。』と自分に云い聞かせ、
ひとりでT3に着いた。
英会話すら満足にできなかった若さを、
タクシー券が使えるようになるまで成長させてくれた
組織に感謝し、自分への贈りものとして、
会社勤めを完全に終えることができた。
(fullmoon14 60歳代 男性)
- たくさんの投稿を、ありがとうございました。
大切な人へ贈りものをするように、
これからも自分への贈りものをたのしんでくださいね。
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2025-04-18-FRI
