ボールペンで絵を描く中村隆さん。
ひたすら点をうち、ひたすら線をひき、
カラフルで心地よい世界を
フリーハンドで描きだします。
どうやったらこんな絵が描けるのか、
ちょっと気になりませんか?
そこで、日々の作品づくりのようすを、
3ヶ月ほど連載してもらうことにしました。
中村さん、よろしくお願いします。

>中村隆さんプロフィール

中村隆(なかむら・たかし)

画家、イラストレーター。

1976年、新潟県生まれ。
98年日本デザイン専門学校卒業。
以後、フリーのイラストレーターとして活動しながら、
定期的に個展をひらいて作品を発表している。
作品は「Ondo online store」などで販売中。

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#11

縦に伸びる線

 
この絵もこれで最後です。
山や町を描きます。
いつも空や山を描く時には
横への広がりを出せればと
横へ横への線で描くのですが、
今回はすこし実験的に
縦の線で空も山も描いてみました。
変にならないかなと思ったのですが、
意外と大丈夫でした。
山ができたら町を描いていきます。
家がいっぱいあって、
「描くのが面倒くさいなぁ」と、
ずっと思っていたのですが、
細かく忠実に描くとくどい感じになるかもと思い、
印象と省略でふわっと描きました。
なんとなくな輪郭。なんとなくな色。
本当はや灰色の建物が多かったのですが、
ひとつひとつ違いや賑わいを出したかったので、
いろいろな色にしました。
軽いまま、曖昧なままのほうがいいかなと、
中は塗らずにそのままにしました。
この絵はこれでだいたいおしまい。
他の絵と同じように、とりあえず寝かせます。
大きめの絵だったので大変さもありましたが、
思ったより、からっと、さっぱりした絵になりました。
ノスタルジックになりそうな景色だったのですが、
ウェットになりすぎないように
描けたのは良かったかなと思います。
自分では実験的なことを
入れたつもりだったのですが、
そんなに、というか、
ぜんぜんそんなふうに見えない‥‥。
でも、それでいいんだと思います。

(次回につづきます)

2022-07-05-TUE

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