フードスタイリスト飯島奈美さんのレシピ本
『LIFE』シリーズ最初の3巻に掲載したメニューから、
直観的に「興味あり!」と思ったものを教えてください、
とおこなった、大アンケート。
参加者1311名、投票数8408票という
集計しがいのある結果になりました。
その番付を、読者のみなさんの
おたよりとともにご紹介します。

じつはこのアンケート、
これまで写真と文字で紹介してきた飯島さんの料理を、
動画にしたらもっとわかりやすいかも? と考えた、
『LIFE』チームと「ほぼ日の學校」チームの共同企画。
そうしたら飯島さんの料理のすごさが
もっと伝えられるんじゃないかな? と思ったんです。
この結果をうけて、飯島さんと相談して、
どのメニューを動画にするかを考えますので、
たのしみにおまちくださいね!

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02 レモンパイ・おいなりさん・プリン

つづいては3位から5位。
意外なものが3位に!

おお、これが、この順位に入るとは!
デザートのなかでは
プリン、おはぎ、ホットケーキ、ドーナッツ、
いちごショート、蒸しパン、フルーツサンドを超えて
トップとなりました。
「すっぱいものはすっぱく、
こってりしたものはこってりと、
そういうのが好きなので、
『レモンパイ』は超・すっぱくしたかったんです」
と飯島さんが研究を重ねて、
「けっこう自分でも満足した」というレシピです。
単行本のための書き下ろしなので、
「ほぼ日」では未掲載です。

レモンパイ、作りました。
すごく美味しくできましたが、
その時は酸っぱさ控えめの
レモンというやつを使ったので、
けっこう酸っぱい、というレシピのとおりでは、
きっとない、と思い、次の機会を待っています。
長いこと、わたしの誕生日のケーキは
近くのケーキ屋さんのレモンパイでしたが、
そのお店がなくなってしまい、
食べる機会を失ってとても残念でした。
『LIFE3』で自分の手元に
レモンパイのレシピがやってきて
これでいつでも食べられる! と
嬉しかったのを覚えています。
しかも大ファンの堺雅人さんの対談の際に
お出しされたもの! 
しかもしかもちゃんと
けっこう酸っぱいらしい。
これはこの酸っぱさを体験しなければ‥‥! 
と思ったのですが、ずいぶん長いこと
再製作の間があいてしまっています。
この機会に誕生日と言わず
また作ってみようと思います。
(襟裳岬)
レモンパイ、あのすっぱさがたまらない。
どこにも売っていないおいしさ! 
パイ生地(をつくるの)が苦手で
市販のものを使いました。
コツがわかれば‥‥。
(コアラのあぶちゃん)

企画のミーティングのときに
「ものすごくちゃんとすっぱくて、
甘さもきっちりある、
本格的なレモンパイが食べたい」
‥‥と、ただのわがままな客のように
飯島さんに提案をしたところ、
「いいですね! レモンパイはすっぱくなくちゃ」と、
即答いただいて実現したレシピです。
飯島さんは研究に研究をかさねて、このレシピを完成。
1位、2位の「しょうが焼き」と「からあげ」は
つくってみたらおいしかった、というのが
投票の理由のような気がするんですけれど、
このレモンパイは、ひょっとして、
「つくったことがないけど食べてみたい」
「つくってほしい~」のパワーが強いのかな? 
とも思いました。
実際どうかって言ったら、そりゃおいしいです、
とんでもなく。

第4位 春のおいなりさん(『LIFE』)得票数205

おかずが別にあることを考えて、
うす味で仕上げるおいなりさんです。
市販のものって、甘さもしょっぱさも
ちょっと強めのものがありますが、
それとはずいぶん印象がちがうんです。
「ほぼ日」では「お花見べんとう。」として
からあげといっしょに紹介しています。

LIFEは、日々適当に料理していても、
何となく自分なりの味になっているメニューを
もう一回見直させてくれるいいお手本です。
一番最初に作ったのは、おいなりさん。
大好きなあの新生姜を酢飯に混ぜるなんて! 
ほぼ日で見てすぐに
「これは食に保守的なわが夫も大好きな味だ」
と分かったので、その日のうちに作ったところ、
大好評でした。
今も、頑張って料理をしたくなった時に作る
大事なレシピです。
ドラマや映画などで目にする食卓風景は、
ビフォー飯島さんとアフター飯島さんで、
大きな違いがあるように思います。
普通なのに、きれいで美味しいご飯を、
お休みの日など時間と心に余裕がある時に、
真似して作って、
家事ではない食事作りを楽しんでいます。
(はまきち)
おいなりさんとナポリタンを作りましたが、
どちらも美味しくてリピートしています。
(匿名さん)
カレー、ロールキャベツ、ハンバーグ、
おいなりさん、おはぎ、サンドイッチ、
いずれもその後も作り続けています。
それ以前のつくり方のモノと区別するため
“いいじま◯◯”と呼んでます。
「今日はいいじまカレー」と言うと
「肉おっきいヤツね」と
明らかにテンションが上がるオット。
食卓のアイドル的な存在になっています。
(匿名さん)

先日、はじめて気仙沼の斉吉商店の
「斉吉いなり」を食べたんですが、
レシピはぜんぜんちがうのに
(斉吉さんはさんま節・昆布・かつお節の
合わせだしを使って油揚げを煮ていますが、
飯島さんは水・砂糖・しょうゆ・みりんです)、
「やさしい感じ」がとてもよく似ていました。
しっとりやわらかく、やさしい印象なんです。
おかずといっしょに、と飯島さんが言うように、
主役を張らない、でもリピートしたくなる
おいなりさんです。

蒸しプリンって、じょうずにできると
「これこれ!」と大満足のおいしさですが、
温度管理がむずかしい。
飯島さん、それをふまえて、
ベストなレシピを考えているんです。
これ、単行本用の書き下ろしレシピです。

直近ではプリンを作りました。
でもす(鬆)が入っちゃったんです。
どうしたらすが少なくなりますか?
(April)
小学生のころ初めて挑戦した蒸しプリン。
でも大失敗でした。
テイクアウトのアイスクリーム屋さんの
紙容器を洗って使ったんですけど、
蝋引きだったので、
蒸したらそれが卵液に溶け出しちゃって、
プリンが「蝋入り」に‥‥。
冷やして食べてびっくり。
取り返しがつきませんでした。
その後、プリンづくりには挑戦しないまま、
『LIFE』に載っていたのでやってみようと、
アルミ容器を買おうかなと考えながら
本の写真をじーっと見たら、
飯島さんが使っているのはコーヒーカップ! 
そうですよね、茶碗蒸しも、磁器ですもんね。
わが家のは、かたちは違いましたけど、
じょうずにできました。
(べべ)

す(鬆)が入る、というのは、
加熱しすぎて、卵液に気泡がうまれて、
そのまま固まっちゃう状態。
舌触りがざらざらになるので、
「おいしくない」って感じちゃうんですよね。
『LIFE』では火加減を解説していますけれど、
使う調理器具によってもかわるはず。
たとえば隙間がある竹の蒸籠と、
金属製で密閉感のある蒸し器では、変わる。
あと、カラメルの火加減、ストップのタイミングも、
じつは難しいんですよね。
そのあたり、動画で検証するのもありかも?

(つづきます)

2025-06-22-SUN

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