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読者のみなさんから届いたお便り #92

 
戦時中、父は小学生でした。とにかく食べるものがなく、
毎日ひもじい思いをしていたそうです。
そのころ毎日芋ばかり食べていたせいで、
父はサツマイモが好きではありませんでした。
お正月でもお餅など夢のまた夢。
農家の家の子が
「うちは◯升餅をつくんだ」と自慢するのを聞いて
羨ましかったと言いました。
そのころの担任の先生は若い男の方でした。
あるとき先生は
「うちは餅を買えないので、
 家に餅があるやつはひとつずつでもいいから
 先生にわけてくれないか」
と教室で言いました。
子どもからそれを聞いた親たちは、
それぞれ余分に持たせてくれた。
先生は集めたその餅を、
こっそりと餅の食べられない子どもたちに
わけてくれたそうです。
ミカンもひとつずつ持たせてくれました。
父は「涙が出るほど嬉しかった」と言いました。
父は食べ物を粗末にすること、
出された食べ物に文句を言うことを許しませんでした。
母が作った食事を毎回
「美味しいなあ。母さんの料理は世界一だ」
と言いながら食べていました。
父も母もすでに鬼籍に入っています。
父のような体験を語る人は
わたしのまわりにはほとんどいなくなりました。
だから今度はわたしが
子どもや孫たちに、語り継いでいこうと思います。
子どもたちが飢えることのない世界で
あり続けるために。
(もりびと)

2025-11-10-MON

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  • ヴェトナム戦争/太平洋戦争にまつわる
    読者のみなさんからのお便りを募集いたします。

     

    ご自身の戦争体験はもちろん、
    おじいちゃんやおばあちゃんなどご家族や
    ご友人・知人の方、
    地域のご老人などから聞いた戦争のエピソード、
    感銘を受けた戦争映画や小説についてなど、
    テーマや話題は何でもけっこうです。
    いただいたお便りにはかならず目を通し、
    その中から、
    「50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶」
    の特集のなかで、
    少しずつ紹介させていただこうと思います。

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    特集 50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶