前へ目次ページへ次へ

読者のみなさんから届いたお便り #87

 
数年前にはじめて台湾を訪れたとき、
旅行最終日に少し時間が余ったので、
一緒に行った友人と台北大学に行ってみました。
台北大学のキャンパスは緑が溢れていて、
わたしの通った大学に雰囲気が少し似ていました。
10年以上前に亡くなった父は、
台湾生まれの台湾育ち
(そのころ台湾は日本の統治下にありました)。
大学には受かったものの太平洋戦争で召集がかかり、
1日たりとも大学に通うことなく
軍隊に入ったそうです。
陸軍配属時代は上官からは殴られてばかり、
食糧も粗末で、人間よりよっぽど軍馬の方が
大切に扱われていたよと言っていました。
終戦を迎え、混乱のなか
日本まで引き上げるだけでも大変だったことと思います。
それに加えて、
故郷が突然なくなることの不条理さや、
裸一貫、日本で父母(わたしから見たら祖父母)や
弟妹を養うのに必死で、
大学なんて通えなかった父の無念さが、
大人になってようやく
少しづつ理解できるようになりました。
父が通えなかった台北大学で買った絵葉書は、
墓前に飾っています。
(あんこより)

2025-11-05-WED

前へ目次ページへ次へ
  • ヴェトナム戦争/太平洋戦争にまつわる
    読者のみなさんからのお便りを募集いたします。

     

    ご自身の戦争体験はもちろん、
    おじいちゃんやおばあちゃんなどご家族や
    ご友人・知人の方、
    地域のご老人などから聞いた戦争のエピソード、
    感銘を受けた戦争映画や小説についてなど、
    テーマや話題は何でもけっこうです。
    いただいたお便りにはかならず目を通し、
    その中から、
    「50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶」
    の特集のなかで、
    少しずつ紹介させていただこうと思います。

    メールを送る

  •  

    特集 50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶