
- 父方の祖父は日用品店の番頭でしたが、
徴兵され中国大陸に出兵し、
敗戦後、軍の車をかっぱらい(本人談)、
仲間と命からがら逃げて帰国したそうです。 - その祖父は、まんじゅうを食べるときに、
まんじゅうの薄い皮(表面のつるつるした感じのところ)を
必ずむいて食べていました。
戦争中、中国大陸で虫が大量にたかって
真っ黒のまんじゅうを食べたそうで、
家に戻ってからも、どうにも
まんじゅうだけはそのまま食べられなかったそうです。
おそらく、黒いまんじゅう以上の塗炭の苦しみを
経験していたと思いますが、戦争経験者の多くの方と同じく、
多くを語らず、早々に旅立っていきました。 - わたしは、つるつるした表面のまんじゅうを見ると、
なんとはなしに祖父のことを想います。
今、まんじゅうをのんびり食べられる暮らしがあるのは、
先人のあまたの苦労と忍耐があってのこと。
この夏は、あらためて、そのことを考えました。 - (井上より)
2025-09-24-WED

