
- 親戚にとても怖い大叔父がいました。
大酒飲みで短気で、
ちょっとしたことで大声を上げたり、
酔っぱらっては絡んだり‥‥。
姉である祖母には弱いのですが、
他の親戚一同にとっては
扱いにくい大叔父でした。
親戚の集まりのとき、
その大叔父がお酒を飲みだすと、
みんなちょっと
遠巻きにするような存在でした。
でも、大叔父は私の母
(大叔父にとっての姪)にはとてもやさしく、
母の夫であるわたしの父、
母の娘であるわたしたちにも、
とてもあたりが柔らかだったのです。
何故なのかずっと不思議でした。
あとになって聞いたのですが、
空襲のとき、大叔父は子どもだった
わたしの母の手を引いて、
一緒に逃げたそうです。
2人で逃げて逃げて逃げまくったようです。
晩年そのときの話をよくしていたようです。
大叔父にとって
母は実の娘ではないけれど、
ずっと守らなきゃいけない
存在だったのかもしれない。
わたしが子どものころに
亡くなってしまったので、
ちゃんと話を聞くことができず、残念です。
いまなら一緒にお酒を飲んで
話を聞けたのにな。
(さば子)
2025-08-21-THU

