その9 どうにかなっちゃうとダメ
  つい最近ですよ、
「なんで落語家にならなかったんだろう」
って思ったの。
 
  気がついたわけですか?  
  えぇ、あんなに身近なものだったのに。
大学には落研とかもあったんですよ。
でも、顔を出しさえもしなかった。
 
  今日の今日まで夢の世界だったんですかね?  
  あぁ、そうかもしれませんね。
きっとね。
 
  でも、落研とかナメてた口でしょ?  
  いやぁ、絶対にナメてましたね。
大学に入ってなんか浮かれててね。
それが間違いでしたね。
 
  「研」って何だ! って思ったり(笑)。  
  すいません、ナメてて(笑)。  
  でしょうね。
まぁ、いい意味でものすごく
すれっからしな子どもですよね。
 
  変に世の中に慣れてるもんだから、
突き詰められないんです。
それこそ、
「これをやりゃどうにか3000円入るわ」
みたいなことをよく知ってるとダメ。
 
  あぁ、そうかも。
三木のり平さんの息子で、
のり一っていうやつがいるんです。
東京生まれで、ちっちゃいときからもう
芸人さんに親しんでるんですね。
いま、「江戸むらさき」の声をやってます。
 
  ああ〜。  
  親父と同じ声なもんだから。  
  そうですね。  
  何やらしても30秒くらいは
ほんとにうまいんです。
それ以上、やる必要がないと思っちゃってるのか
金の取れる芸にならないんですよ。
センスがよすぎるというか、
とにかく目が肥えちゃってるもんですから。
そういう意味では、東京の子は
逆に弱いってことも言えるんですよね。
 
  うんうん。
突き詰めなくても、
どうにかなっちゃうってところがね(笑)。
 
  岡田さんも、どうにかなってきたんですよね?  
  えぇ。だから、どうにかなっちゃって
お金が入ってきても全部使っちゃうし、
またどうにかなっちゃう(笑)。
でも、それって身内にはいい迷惑ですよね。
 
  身内は迷惑ですよね。
でも、しょうがないとしか思えない(笑)。
 
  まぁ、あとは時代がそれを
許してくれた部分もありますしね。
多分、いまの若い連中が同じことやったら、
すぐ死んじゃいますよ。
 
  そうかも。  
  その場所にいられなくなっちゃいますよね。
だって、それこそ、ロフトのみなさんがいる前で
言うのはアレだけど、僕らの仲間には
午前中の売り上げ持って競馬行っちゃったとか、
そういうのがいくらでもいるわけですよ、昔は。
 
  (笑)。  
  午前中に売るだけ売って、
その売り上げ持って競馬に行っちゃう。
で、取れたら帰ってきて、
自分で全部買っちゃうんです。
でも、取れなかったら、
そのままふけてどこかへ行っちゃう。
 
  ひ、ひどい‥‥。  
  そういう時代だった、という言葉で
片付けられますけどね。
あ、そうそう、
この話を元にして、渡辺謙さん主演で
ドラマを作ったこともあるんですよ。
 
  へぇー。  
  渡辺謙さんが実演販売人の役で
売り上げ持って、競輪に行っちゃんですよ。
 
  うんうん。  
あのぉ‥‥。
  はい?。  
そろそろ打ち合わせのほうを‥‥
  あぁ、そうだそうだ。  
  そうしましょう、そうましょう!  
(続きます)
2008-12-23-TUE

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