『VIVANT』や『半沢直樹』シリーズなど、
大ヒット作品に主演し、
いまや日本を代表する俳優のひとりとして
誰もが認める堺雅人さんは、
じつは20年以上前から
ほぼ日とつながりがあるんです。
糸井重里ともときどき会って、
濃く長いやりとりを交わす仲。
そんな堺さんと糸井が「生活のたのしみ展」のときに
開催されたトークショーでたっぷり語り合いました。
思えば、ふたりの公式な対談はほとんどはじめて。
堺雅人さん独特の役者論から学生時代の思い出まで、
思った通り、いえ、思った以上に
おもしろい時間になりました。
- 糸井
- 堺くんの目指す方向性としては、
アーティストや表現者というよりは、
職人さん、技術者に近いんですかね。
- 堺
- そうですね‥‥技術なのかな‥‥。
やっぱり、宗教というか、
お坊さんとか、神事に近い気がします。
- 糸井
- あー、そうか。
- 堺
- 「大きなものに仕えるなにか」
でありたいと思っています。
- 糸井
- じゃあ、台詞をお経に例えたのは、
もう、ぴったりなんですね。
- 堺
- そうですね、修行の毎日。
- 糸井
- それを毎日やっている、
という感覚は大切なんでしょうね。
- 堺
- あ、そうですね。
- 糸井
- ねえ。ひっきりなしに、
なんかやってますもんね。
- 堺
- やってます、やってます(笑)。
- 糸井
- それが実になろうが、花が咲かなかろうが、
関係なくやってますよね。
- 堺
- 好きなんです。お坊さんが、毎日、
境内を掃き掃除しているようなことが、
たまらなく好きです。
- 糸井
- お寺によっては、庭作りとかも、
お坊さんがやってるんですよね。
- 堺
- そうですか。
- 糸井
- 植え込みを整えたり、石庭をつくったり。
堺くん、ぴったりですよね(笑)。
- 堺
- やりたいですね(笑)。
そういうことをやっていいお寺だったら、
ずーっとやっていたいです。
ときどき、怒られたりしながら。
- 糸井
- そのお庭に一人も来なくても構わないですね。
- 堺
- 構わないですね。
構わないです。
- 糸井
- 昔から、そんな子だったの?
- 会場
- (笑)
- 堺
- でしたね。ひとり遊びが好きだし。
あの、ぼく、
自分が声をかけてはじめた遊びが、
おもしろかったためしがないんですよ。
- 会場
- (笑)
- 糸井
- あーー(笑)。
- 堺
- リーダーシップに対して、
「フォロワーシップ」っていう
便利なことばを最近知って、思ったんです。
あっ、ぼくはフォロワーシップに
長けてる人間なんだ、って。
- 糸井
- はーー。
- 堺
- 自分がリーダーシップをとってはじめた遊びが
ほんとうに「つまんねぇなー!」と思ってて。
でも、誰かがはじめた遊びを
たのしく遊ぶのは大好きなんです。
- 糸井
- まったく「脚本と芝居」ですね。
- 堺
- はい。
- 糸井
- ちっちゃい時からそうだったんだ?
- 堺
- ちっちゃい時からそうだったんですよ。
ぼくの遊びつまんねぇなーと思ってました。
- 糸井
- それ、具体的になにか覚えてますか、
自分のはじめたつまんない遊び。
- 堺
-
その場面は覚えてますよ。
小学校に入るまえに、ちいさい従兄弟たちを
面倒見なきゃいけないときがあったんですけど、
ぼくがはじめた遊びがほんとうにつまんなくて。
で、しょうがないから違うグループといっしょに
遊びだしたら、とっても楽しいんですよ。
- 糸井
- それ、何歳ぐらいのとき?
- 堺
- 5歳とかですね。
- 糸井
- そのころ、もうすでに(笑)。
- 堺
- はい。
- 糸井
- 「栴檀は二葉より芳し」じゃなくて‥‥。
- 堺
- そう、かんばしくないということが、
自分でわかったんですよ。
- 糸井
- つまらない!
- 堺
- つまらない!
- 会場
- (笑)
- 糸井
- ははははは。
- 堺
- だからぼくは、役者側ですよね。
演出にはもう、
ほんとやめた方がいいと思います。
- 糸井
- ただ、いま、しゃべってて
すごくたのしいですよ?
- 堺
- ぼくもたのしいです。
だって糸井さんのはじめた遊びだから、これ。
- 会場
- (笑)
- 糸井
- そうなのか(笑)。
- 堺
- だから、ぼくが今日この場をセッティングして、
ゲストを誰にしようかって考えて
「糸井さんです!」ってやったら、
これ、つまんないんですよ。
- 会場
- (笑)
- 糸井
- ほんとう? 今度いつか呼んでくれる?
- 堺
- 絶対やめたほうがいい!
だって、5歳でわかったんですよ。
- 糸井
- でも、いまのこの会話は、
誰かの台本があるわけじゃなくて、
ぼくも堺くんも、ずっとアドリブで
やってるわけじゃないですか。
文字をたどってるんじゃなくて。
- 堺
- ああ、そうですね。
ふつうにしゃべってます。
- 糸井
- たのしいですよ、それは、
今日に限らず、いつも話してて。
- 堺
- はい、ぼくもとてもたのしい。
- 糸井
- これは台本はなく、
瞬発力で話しているわけですよね。
だとすると、そっちの才能というか、
技術というか、あるってことですよ。
- 堺
- それは、もともとは、
憧れじゃないのかな‥‥。
- 糸井
- おかしいですね。
- 堺
- おかしいですね(笑)。
- 糸井
- こんなにできてるのに(笑)。
(明日に続きます)
2026-09-06-SUN
(C) HOBONICHI