国語とからだの役者論 国語とからだの役者論
『VIVANT』や『半沢直樹』シリーズなど、
大ヒット作品に主演し、
いまや日本を代表する俳優のひとりとして
誰もが認める堺雅人さんは、
じつは20年以上前から
ほぼ日とつながりがあるんです。
糸井重里ともときどき会って、
濃く長いやりとりを交わす仲。

そんな堺さんと糸井が「生活のたのしみ展」のときに
開催されたトークショーでたっぷり語り合いました。
思えば、ふたりの公式な対談はほとんどはじめて。
堺雅人さん独特の役者論から学生時代の思い出まで、
思った通り、いえ、思った以上に
おもしろい時間になりました。
第6回 フォロワーシップに長けている
糸井
堺くんの目指す方向性としては、
アーティストや表現者というよりは、
職人さん、技術者に近いんですかね。
そうですね‥‥技術なのかな‥‥。
やっぱり、宗教というか、
お坊さんとか、神事に近い気がします。
糸井
あー、そうか。
「大きなものに仕えるなにか」
でありたいと思っています。
写真
糸井
じゃあ、台詞をお経に例えたのは、
もう、ぴったりなんですね。
そうですね、修行の毎日。
糸井
それを毎日やっている、
という感覚は大切なんでしょうね。
あ、そうですね。
糸井
ねえ。ひっきりなしに、
なんかやってますもんね。
やってます、やってます(笑)。
糸井
それが実になろうが、花が咲かなかろうが、
関係なくやってますよね。
好きなんです。お坊さんが、毎日、
境内を掃き掃除しているようなことが、
たまらなく好きです。
糸井
お寺によっては、庭作りとかも、
お坊さんがやってるんですよね。
そうですか。
糸井
植え込みを整えたり、石庭をつくったり。
堺くん、ぴったりですよね(笑)。
写真
やりたいですね(笑)。
そういうことをやっていいお寺だったら、
ずーっとやっていたいです。
ときどき、怒られたりしながら。
糸井
そのお庭に一人も来なくても構わないですね。
構わないですね。
構わないです。
糸井
昔から、そんな子だったの?
会場
(笑)
でしたね。ひとり遊びが好きだし。
あの、ぼく、
自分が声をかけてはじめた遊びが、
おもしろかったためしがないんですよ。
写真
会場
(笑)
糸井
あーー(笑)。
リーダーシップに対して、
「フォロワーシップ」っていう
便利なことばを最近知って、思ったんです。
あっ、ぼくはフォロワーシップに
長けてる人間なんだ、って。
糸井
はーー。
自分がリーダーシップをとってはじめた遊びが
ほんとうに「つまんねぇなー!」と思ってて。
でも、誰かがはじめた遊びを
たのしく遊ぶのは大好きなんです。
糸井
まったく「脚本と芝居」ですね。
はい。
糸井
ちっちゃい時からそうだったんだ?
ちっちゃい時からそうだったんですよ。
ぼくの遊びつまんねぇなーと思ってました。
糸井
それ、具体的になにか覚えてますか、
自分のはじめたつまんない遊び。
その場面は覚えてますよ。
小学校に入るまえに、ちいさい従兄弟たちを
面倒見なきゃいけないときがあったんですけど、
ぼくがはじめた遊びがほんとうにつまんなくて。
で、しょうがないから違うグループといっしょに
遊びだしたら、とっても楽しいんですよ。
糸井
それ、何歳ぐらいのとき?
5歳とかですね。
糸井
そのころ、もうすでに(笑)。
写真
はい。
糸井
「栴檀は二葉より芳し」じゃなくて‥‥。
そう、かんばしくないということが、
自分でわかったんですよ。
糸井
つまらない!
つまらない!
写真
会場
(笑)
糸井
ははははは。
だからぼくは、役者側ですよね。
演出にはもう、
ほんとやめた方がいいと思います。
糸井
ただ、いま、しゃべってて
すごくたのしいですよ?
ぼくもたのしいです。
だって糸井さんのはじめた遊びだから、これ。
会場
(笑)
糸井
そうなのか(笑)。
だから、ぼくが今日この場をセッティングして、
ゲストを誰にしようかって考えて
「糸井さんです!」ってやったら、
これ、つまんないんですよ。
会場
(笑)
糸井
ほんとう? 今度いつか呼んでくれる?
絶対やめたほうがいい!
だって、5歳でわかったんですよ。
糸井
でも、いまのこの会話は、
誰かの台本があるわけじゃなくて、
ぼくも堺くんも、ずっとアドリブで
やってるわけじゃないですか。
文字をたどってるんじゃなくて。
ああ、そうですね。
ふつうにしゃべってます。
糸井
たのしいですよ、それは、
今日に限らず、いつも話してて。
はい、ぼくもとてもたのしい。
写真
糸井
これは台本はなく、
瞬発力で話しているわけですよね。
だとすると、そっちの才能というか、
技術というか、あるってことですよ。
それは、もともとは、
憧れじゃないのかな‥‥。
糸井
おかしいですね。
おかしいですね(笑)。
糸井
こんなにできてるのに(笑)。
(明日に続きます)
2026-09-06-SUN