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作者リリー・フランキーより
発売開始からわずか一ヶ月で(2005年8月現在)
10万部を突破したリリー・フランキーさんの最新作、
『東京タワー オカンとぼくと、時々オトン』
これまでの下ネタ・爆笑路線とは違い
その自伝的な内容もあいまって
出版社には「泣けた!」という感想が
続々と届いているのだとか。
初の長編小説を書き終わり
「ここんところ、椅子に座って
 原稿を書く体力すらないんだよね。」
という程、肉体に衰えを感じたリリーさんが
「新しい本について糸井さんに相談したいし、
 トータルワークアウトにも興味があるから
 『ほぼ日』に行ってもいいかな?」と
明るいビルを訪れたのでした。

第一回 九州だけですよね。こんな世界は
第二回 今までと内容は変わらないけど、書き方が違うんですよ
第三回 この『東京タワー』が漫画だったら
第四回 笑いをとりにいったところは あからさまに切りました
第五回 九州には文学的生活をしている文学人がいっぱいいるんじゃないか
第六回 書いてる間、すごいしんどかった
第七回 ボビーがK-1に出たみたいなものです
第八回 今、ウンコ踏んでも苦笑いしちゃうと思うんです
第九回 書きながら泣いたりするのはこれで最後だなと



最終回 期待以上のものをわたす
リリー 長いものを何か書くということになって
自分の中でテーマを探す時に、
やっぱりすごく心根で気になってることが
あるのかもしれないですね。
俺と糸井さんの中には共通した
家族コンプレックスみたいなものが
あるんでしょうね。
糸井 ありますね。
リリーさんの本読んでると、
「自然にそうなるよな」と思うけど、
たぶん僕は僕でそうですよね。
それを人に押し付けるわけにはいかないという
気持ちはあるんで、
なおさら書けないんですよね。
リリー 自分の気にしてるところを、
「人に見透かしてください」
みたいなことを言ってしまったような感じで
まず照れくさい。


糸井 そうですね。
リリー 普段トリッキーなことを言っといて、
いきなりベタなことをしてしまってる
自分っていうのを
見られる照れくささ。
糸井 うん。ホモの人がさ
自分がホモだっていうのが
分かるような暗号を
書くものに入れるようなものですよ。
いや、ホモである立場っていうは
ちょっと、そそられるね。
世界を2つ持ってる感じ?
もうこれからは
内緒の恋愛とかするより
ホモになった方がいいんじゃないかね。
リリー カミングアウトすることを
持ってる人っていうのは
まだ人生にエクスタシーが残ってますもんね。
糸井 そうだねえ。
やっぱ、隠し事と人間
っていうテーマですね。
小説ってね。
リリー そうですね。
糸井 隠し事をいっさいしたくない
っていう気持ちが
人間の中にありますよね。
歳をとるとそこに
どんどん近づいていくわけですよ
隠し事をしないことで
何が起こるかっていうと
攻撃されないんですよ。
隠し事がないと攻撃された時に守れるんです。
隠し事があると何がいいかっていうと、
楽しいんですよね。
リリー でも年取ってくると
その隠し事をすることに対しての
ストレスがすごいデカいですよね。
糸井 デカい、デカい。
だからきっと年とっていい人になるとか
一般的に言われるのは、
丸くなるとか言われるのは、
その辺なのかもね。
リリー 隠し事をする体力が
もうないんですよね。
糸井 隠し事を隠し続けるってことの
体力はすごいよ。
この後は厄落としとして
バカ仕事を一つ組んだ方がいいですよ。
深夜にエロなディスクジョッキーとかも
やってるわけでしょ?
その祭りをやったら?
エロなディスクジョッキー祭りみたいな。

※J-WAVE水曜日深夜26時から
 オンエアしているラジオ番組「TR2」のこと。


リリー 毎週小さいことはやってるんですけどね。
たぶんそのラジオ番組で
言ってることが変わんないから、
この本から俺のことを知った人が
すごい幻滅すると思うんですよね。
糸井 (笑)
リリー でも、それにはいろいろな側面があって
今回の本のようなエピソードがあっても、
クンニとかしたいっていう気持ちが
平行してないと嘘じゃないですか。
どっちかだけで生きてる人なんて
絶対いないと思うし。
糸井 そうだよね。
やっぱり、売れることはうれしいことだしね。
それはもう邪魔しない方がいいよね。
でも、「褒め過ぎるな、お前たち」という
気持ちはあるんですよ。
うちがあるときから守ってる見事な言葉があって、
それはブランド論なんだけど、
アップルからマックに行った原田さんに、
「原田さん、ブランドっていうのを
 どう考えますか?」
と質問したんです、
そしたらね、
「期待以上のものを渡すってことですね」
って言われたんですよ。
たしかにマクドナルドってブランドですよね。
期待も小さいじゃないですか。

こちらのページでその話は読むことが出来る。
リリー 期待したくないところから
始まってますもんね、あの関係が。
糸井 田舎の人にとっては、期待値はもっと高い。
でもそれは超えてる。都会の人にとっては、
マックでいいかって言って買う。
期待よりもちょっとうまいっていうだけで
OKじゃないですか。
リリー それはすごい分かりやすいですね。
期待以上。
糸井 先日、BJ(リリーさんのマネージャー)
に言ったのはたぶんそのことだと思います。
トータルワークアウトの申込はしたの?

※糸井事務所で行なわれていた
 この本の販促ミーティングを覗きにきた
 糸井さんはいきなりマネージャーのBJ氏に
 「こういうのは褒めちゃだめなんだ」とコメント。
リリー 申し込みして帰ります。
最近、体力がなくて
原稿が書けなくなったんですよね。
糸井 体力は大事だよ。
トレーニングはした方がいいよ、きっと。
あとで持ちが良くなるよ。

(リリーさん、立ち上がろうとするが
 筋肉痛で立ち上がれない。)

おおお、来てる来てる。
その日のうちに筋肉痛がくるっていうのは
いいことですよ。
若い証拠だよ。
リリー 今日はどうもありがとうございました。
それじゃ、入会しに行ってきます。

(このコンテンツは今回で最終回です。
 どうもありがとうございました!)
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2005-08-22-MON



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