その3 飯島さんのおすすめ和歌山プラン、そしてパリのこと。

──
また和歌山に行かれる予定は?
飯島
10月に行きます。
まだ民泊のチャンスはないのですが、
本当だったら、どなたかの家に
泊めていただきたいくらい。
それで、地元のお母さんの料理を食べたいな。
トマト農家のお母さんに
料理を作ってもらったりするんですよ。
その地域ごとの味比べ会みたいなのがあるらしくて、
参加させていただくんです。
和歌山って、広いので、
行くたびに、違う場所を知ることができる。
──
そういえば取材で訪れた際に知ったのですが、
那智勝浦の港ちかくに、
魚屋さんの生簀の横が定食屋になっている店があって。
朝からマグロの目玉とか食べられるんです。
飯島
いいですね!
──
新鮮だからおいしくて。
目玉、ポン酢で煮てあるんですよ。
飯島
へえ、面白い。
──
脂っこくなくて、おいしかった。
で、真似してやってみたんですが、
買ったものがちょっと古かったのか、生臭さが強くて。
那智勝浦で食べたマグロの目玉は全然臭くなかったな。
飯島
地元でしか食べられないものってありますよね。
マグロの腸の和え物とか。
──
大きい魚のワタっておいしいんですよね。
マンボウの腸はイタリア料理でも使うし、
カツオの心臓の生姜煮は静岡の隠れた名物。
和歌山にも、知らないおいしいものが
きっといっぱいあるんですよね。
ああ、行きたくなっちゃうな!
飯島
フィッシャーマンズワーフっていうところが、
去年できたらしくて。
漁師さんたちがやっている市場で、
白浜ですから、紀州白浜空港からも近いんですよ。
1階で魚を売っていて、
屋上でバーベキューが焼けるんです、
ビール飲みながら海を見ながら。

フィッシャーマンズワーフの屋上BBQからの景色。(撮影:飯島奈美)

新鮮な魚介の網焼きです。どれも味が濃くておいしかったです!(撮影:飯島奈美)

フィッシャーマンズワーフの1Fの魚売り場。東京では見られない魚がたくさんありました。(撮影:飯島奈美)

フィッシャーマンズワーフの入り口にて。

ごま鯖の刺身。この日は運よく食べられました。もちもちしていておいしかったです!(撮影:飯島奈美)

──
最高!
和歌山はお酒もおいしいんですよね。
飯島
お酒もおいしいんです。
滝の水で作ってるお酒があったり。
──
飯島さん、和歌山に行くとしたら、
何泊したらいいですか?
短いバージョンだと。
飯島
おすすめは2泊。もちろん1泊でも。
空港でレンタカーを借りて、
2泊すれば熊野にも行けますし、
1泊の人だったら、動物園とフィッシャーマンズワーフ、
宿に泊まってご飯食べていただけたら、それだけでも。

飯島さんのおすすめプラン2泊3日コース
(1泊2日の場合は★で)

1日目

  1. ★1

    南紀白浜空港でレンタカーを借りる
    または白浜までバスなどで行き、JRで移動

    約2時間

  2. ★2

    那智勝浦の「めはり寿司二代目」でランチ
    またはテイクアウト
    (めはり寿司とまぐろの刺身と
    串カツのセットがおすすめです)

  3. ★3

    熊野那智大社、那智の滝を見学

  4. ★4

    勝浦「中西商店」へ(みかんの専門店)
    (いろんな種類のみかんにびっくり!
    お好みの味をお土産に)

  5. ★5

    カフェ「雨間(あまあい)」で休憩
    (すてきなカフェです。デザートもコーヒーも
    とってもおいしい。
    隣の店は、カフェオーナーの両親の店。
    マグロの刺身や、はじめて食べたマグロのフライが
    安い!おいしいー!
    限りなくセルフに近い販売店です)

  6. ★6

    那智勝浦町のホテルに宿泊

2日目

  1. ★7

    那智勝浦出発

  2. ★8

    勝浦漁港でマグロの水揚げ見学
    (7時からやってますから、
    早起きして朝食前に見学がおすすめ。
    すごい迫力です)

    1泊2日の場合は14

  3. 9

    新宮「香梅堂」で「鈴焼き」を買う
    (ここでしか買えないのでぜひ!
    バターの香りをほんのり感じる、お菓子です)

  4. 10

    神宮神社、速玉大社参拝

  5. 11

    熊野本宮大社参拝
    または川湯温泉のつぼ湯

  6. 12

    白浜のホテルに宿泊

3日目

  1. 13

    白浜出発

  2. ★14

    南方熊楠記念館または
    アドベンチャーワールドへ
    (アドベンチャーワールドにはパンダが5頭もいます!
    ゾウやキリンにも餌をあげられたりして、
    大迫力の動物園です)

  3. ★15

    フィッシャーマンズワーフで
    ランチ、お土産さがし
    (フィッシャーマンズワーフの1Fでは
    新鮮な魚や地元のお土産が替えます。
    また、魚やエビや貝を買って、
    屋上BBQガーデンでシンプルに焼いて
    食べるのが最高です。お刺し身もおいしかった!
    海を見渡せるロケーションでビールもすすみます)

  4. ★16

    余裕があれば、しょうゆ発祥の地・湯浅で
    「角長」のしょうゆ蔵見学
    (2日目10のかわりでも)

  5. ★17

    南紀白浜空港へ

雨間。(撮影:飯島奈美)

「雨間」の隣のマグロ販売です。マグロ刺身ひとパック200円。家の近所にほしい~。(撮影:飯島奈美)

つぼ湯 ひっそりして、いい温泉場でした。
この辺は日本最古の温泉みたいです。(撮影:飯島奈美)

つぼ湯では茹で玉子もできます。(撮影:飯島奈美)

速玉大社の「八咫(やた)ポスト」。(撮影:飯島奈美)

香梅堂の鈴カステラ。しっとりしてとってもおいしいです!(撮影:飯島奈美)

──
買い物も楽しそうですね。
飯島
そうそう、ガイドブックには、
大阪の「リシェ」っていう雑誌の
和歌山特集号がおすすめですよ。
私、何回も行ってるんですけど、
えっ、こんなところあるの?
っていうところが載っています。
すごくよく調べられているんです。
これでコースを立てたら、すごく充実。
──
ところで、飯島さんが料理好きな人から
支持を集め、憧れでもある理由を
ちょっと考えたことがあって。
飯島
憧れなんて、とんでもないです。
──
料理が上手とか、いい仕事をたくさんしているとか、
いろんなところがあると思うんですが、
こんなふうに和歌山もそうだけれど、
国内外、旅をいっぱいしているのも、すてきなだあと。
フードスタイリストという仕事柄、
CMや映画でロケが多かったりもするんでしょうが。
ご自身も旅が好きですよね。
飯島
はい。近々、輪島にも行きますよ。
千枚田というところに
田んぼのオーナー制度があって、
その収穫に行くんです。
──
以前、一膳、いただいたことがありますが、
あそこのお米はほんとうにおいしいですよね!
でも量が少なくて一般に流通しないので、
手に入れづらい。というか手に入りません。
地産地消だと思っていましたが、
そんなオーナー制度があるんですね。
飯島
そういうふうに、「そこに行かないと食べられない」
というものも、いいですよね。
お取り寄せにはお取り寄せのよさがありますけれど。
──
前回ちょっと話が出ましたが、
フランスにも?
飯島
はい、ワインの勉強を兼ねて、
お仕事抜きで遊びに行きました。
──
前にインタビューをさせていただいた時に、
ワインの勉強をしてますっておっしゃっていた、
あの勉強が続いているんですね。
飯島
そうです。それで先生と一緒に、
シャンパーニュやブルゴーニュの
ワイナリーを訪ねつつ、
地元の人気のビストロで食べるという旅でした。
──
羨ましい!
飯島
本当の本場で食べるっていう経験は、
そういう機会でもなければ、
なかなかできないので。

ボーヌのレストランにて。みんなで行くと、たくさんの種類のワインが飲めます。

こちらもボーヌのレストランにて。今まで食べたタルタルステーキの中で一番おいしかった。

シャンパーニュのワイナリーの友人が焼いてくれた子豚の丸焼き

シャンパーニュのぶどう畑

日本人がやっているレストランで、大人気のかつサンド。曜日限定です。

モンマルトルの丘のカフェで飲むビール。とってもおいしかったです。

──
飯島さんって、お仕事で行く時も、
完全にプライベートで行く時も、
食への興味が軸にありますよね。
飯島
そう、仕事につながっちゃうんです。
──
いずれ何かになったり?
飯島
そうなんですよ。
あんまりそんなこと考えずにやってるんですけど、
パリでは食堂をやることになって、
3日間、厨房に立ったんです。
──
日本でもそんな企画、なかなかないですものね。
そのパリの食堂は、いかがでしたか。
ああ、食べた人がうらやましい。
飯島
とても楽しかったです。
でも、そういうお店って
それまでやったことがなかったんですね。
イベント的にはありましたが、
3日間とはいえ、料理人として厨房に立って、
まったく知らないお客さんが
予約して食べに来てくれるということはなかった。
──
飯島さんでも緊張した?
飯島
だって、私のつくるものは、
けっこう普通の家庭料理です。
もちろん頑張っておいしくつくるんですけど、
パリだからといってフレンチを出すわけでもない。
けれども、お客さまはものすごい期待感で来られる。
その期待に応えられるのかどうか、
ものすごくドキドキしながら当日を迎えました。
──
フランスで、いつものごはんを作ったんですか。
飯島
そうです!
──
食材は現地調達?
飯島
はい。たいへんだったんです。
コロッケひとつにしても、
ホクホクさせたいのに、最初に買ったのが、
すごくねっとりしたジャガイモだったりして。
2日目は、市場に行って、
ホクホクしたポテトを探したり。
あと、お茶漬けもやりましたよ。
──
あの、かつお出汁とお茶を使った?
(『LIFE 副菜』に掲載しています)
飯島
はい。
──
あのお茶漬けはたいへんおいしいですけれど、
味覚としてフランス人に理解されるのか‥‥
だいじょうぶでしたか。
飯島
はい。トレ・ボン(とてもおいしい)、トレ・ボンって。
──
よかった!
飯島
よかったです、ほんとに。
──
たしかに、そういう「普通のもの」を出すのって、
ハードルが高いかもしれないですね。
わかりやすいスシとかスキヤキやテンプラじゃなくて。
飯島
そうなんですよ。
切干しだいこんの煮物も好評でしたよ。
──
あの微妙な味わいのものを!
飯島
そうなんですよ。
お茶漬けだけはすこし濃いめにしましたが、
ほかは日本と同じ味つけです。
──
ビストロ料理って、しょっぱいというか、
わりと「強い」ですよね。
飯島
お酒を飲んだりしますからね。
──
でも、あえてそこは日本と変えず。
飯島
ほんとうにわかってる人にも
味つけが濃いなあと感じさせたくないですし、
もちろん日本の人も来ますし。
──
ついつい、パリの話が長くなっちゃいました。
飯島さんはいくつかの映画の料理を担当なさりつつ、
これからちょっとたのしみな
料理の本をつくられる予定があるそうです。
その次に、ぜひまたぼくらと
『LIFE』シリーズであたらしいことを
ご一緒できればと思います。
どうぞよろしくおねがいします。
飯島
こちらこそよろしくお願いします。
和歌山にもぜひいらしてくださいね。
──
はい! ありがとうございました!
2014-10-24-FRI