メールを読みます。その3

ほぼ日
では、次のメールにいきましょう。

動物病院の待合室で出会った犬がいます。
その子は、腫瘍が原因で、顎が裂けていました。
傷口は痛々しいのですが、大事に抱かれて
とても幸せそうな顔をしていました。
私も愛犬を連れていたので、お互いの病気のことなど
話していると、まあるい目で、
一生懸命に聞いているその子。
顎が裂けていても、たまらなくかわいいのです。
「かわいいお顔!」と言ったら、
飼い主さんはとても喜んでくれました。
どんなに見た目が変わっても、愛情は変わらない。
その子が大切にされているのを見て、
ああ、これが犬と一緒に暮らす意味なのだなぁ。
と思いました。
生物学的に違うものと心を通わせて
一緒に暮らせるのは、人間の特権です。
子犬のときと姿かたちは変わっても、
愛情は変わらない。
それをたっぷり受けられる生きものが、
どうか増えますように。
 私も、すっかり年老いた愛犬と、
じっくり豊かに過ごしたいと思います。

(ゆり)

町田
ふむ‥‥ふむ‥‥
(メールを読む)
わかりました。
友森
わかりました。
町田
要するにですね。
ほぼ日
はい。
町田
犬というものは、子犬などは特に、
見た目がメルヘンな感じ
かわいいものですが、
それが病気になって毛が抜けたりして、
見た目がちょっとグロテスクになっても、
自分の犬だったらやっぱりかわいいね、
という話でして、
それはそうですよね。
友森
それはそうです。
本来、人間もそうあるべきです。
家族がはげたり、癌になったりしても、
気持ち悪いって言いません。
町田
そうですね、そういう意味においては、
このおたよりをくださった方の
おっしゃるとおりだということです。
友森
そうですね。
町田
病気になったからと、
捨てる人がいるわけですよ。
そうじゃなくて、こうやって最後まで
ちゃんとかわいがってね‥‥。
そしたら、向こうもよけい
かわいくなるんですよ。

落語などを聞いてると、
病気になったから犬を捨てるということを
当たり前のように言うような噺もあるんです。
『鴻池の犬』という上方落語があるんですが、
それなんかも、
もともとけっこうな金持ちの家で飼われて
「かわいい、かわいい」って言われてたけど、
拾い食いとかして病気になったら
捨てられたというような話があります。
ま、そこにポイントがある
噺ではないんですけどもね。

おそらく昔はそういう感覚だったんでしょう。
それに比べると、こういう方が
普通にいらっしゃるようになったというのは、
よかったことです。
友森
昔はいまみたいに動物病院もないですし。
このように動物の医療がいきわたっているのも、
最近のことで、
もしかしたら都会だけのことかもしれません。
保護した犬がフィラリアにかかっていることも
まだまだあるのが現状です。
町田
そうなんですね。
友森

処分を真っ先に
減らさなきゃいけないけど、
一般家庭で
ケアが悪くて死んでいくのも
なんとかしたいと
つねづね思っています。

(つづきます)

2015-03-19-THU