理解力と人格。いま「一緒にはたらきたい人」とは?

ほぼ日と関係の深いおふたりが、
「人を採用するときに大切なこと」について
たまたま同時期に、別々の場所で話されました。
ひとりは、人材紹介会社、
KIZUNAパートナーズの河野晴樹さん。
もうひとりが、レオス・キャピタルワークスで
ファンドマネージャーとして働く藤野英人さん。
河野さんは「理解力」をはたらく人の
もっとも重要なポイントとして挙げ、
藤野さんははたらく人の機能ではなくて
「人格」こそが大切だと言いました。
人材紹介と投資運用という
異なるお仕事をされているおふたりですが、
大切にしていることはなんだか似ているようです。
糸井重里と3人で「はたらくこと」について
たっぷりと語りました。
全7回にわたっておとどけします。

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とじる

第4回カラフルな世界。

糸井
「この仕事が好きだ」という人たちは
どんなところが普通の人と違うんでしょうね。
藤野
そうですね‥‥
動物的というか‥‥
糸井
好奇心旺盛とか?
藤野
好奇心も大事なのですが
もっと衝動的で、生々しい部分もあって。
河野
渇望している感じですかね。
藤野
そうです。
「この人のことをもっと知りたい」と
強く渇望する感じです。
糸井
生き物っぽいですね。
「あいつを捕まえたくてしょうがない!」と。
藤野
そうです、そうです。
「糸井さんはどんなことを考えているのかな?
もっと知りたい! もっと聞きたい!」と
相手のことをずっと考えて、のぞき見もする。
知りたい衝動にかられる感じは‥‥
「ゆかし」ですかね。
糸井
「ゆかし」。
藤野
見たい・聞きたい・知りたいという気持ちを表す
「ゆかし」という古語がありまして、
好奇心よりも、もう少し強い気持ちです。
糸井
僕、藤野さんの会社に行って感じたことを
いま思い出しました。
この会社、クラブ活動みたいなんですよ。
河野
クラブ活動ですか。
それはたのしそう。
糸井
どういうところがクラブ活動っぽいかというと、
たとえば「この実験、こうやって試してみたら
こんな結果になっちゃったんだ。どうしよう。」と
誰かが悩んでいるとしますよね。
そうすると、みんながその人を囲んで
実験結果をのぞき込むんです。
みんなですよ?
河野
いい意味でおせっかいの集まりですね(笑)
藤野
想像できます(笑)
糸井
それで「こうしてみたら?」と
いろんなアドバイスが飛び交って
誰かが「あの人に聞こう!」と動いて
どんどん他人を巻き込んで。
囲んでいる円が二重、三重に
どんどん膨らんで‥‥
河野
いいですね。
糸井
全員大人で、考えかたもそれぞれ違うけれども
相手の言葉に耳を傾けて、
ワーワーと話し合うんです。
その、1つのものを覗いている感じが
まさに藤野さんが言っている
「ゆかし」の人たちが集まっている姿。
藤野
思い当たる節がありますね(笑)
河野
きちんと個に目を向けて、
同じ志を持つ仲間を集められた結果ですね。
糸井
「何が大事か」は会社によって違うので
同じ志の仲間が集まっていれば、
自ずと周囲と美意識がそろいますしね。
河野
きっと次は、大きなピンチも乗り越えられる。
藤野
私は、理解力とゆかしは
密接した関係だと思っています。

ゆかしは理解力を支える動機の部分。
ゆかしという気持ちを持っている人は
積極的に相手を知ろうとするので、
理解力が強くなっていく人だと。
河野
ああ、そうですね。
ゆかしという気持ちが、
理解力をパワーアップさせますね。
藤野
会社訪問をするときは
「あなたのことをもっと知りたいんです」と
ゆかしの気持ちが全面にでてしまいます。
それは大事なことだと思っていて。
糸井
はい。
藤野
ゆかしの気持ちで話すと、
相手をワクワクさせたり喜ばせたりするから、
多くのものを引き出せるんですよね。

ゆかしではなくて、他に狙いがあるというか‥‥
「仕事でネタ集めに来ました。」という人は
インタビューされる側はすぐにわかります。
そうすると相手から、純粋な気持ちで
話してもらえなくなってしまうんです。
糸井
かたちで付き合うことになるからですかね?
藤野
そうですね。
「あなたのことをもっと知りたい」と
強く欲している人に対しては、
相手もそう思ってくれることが多いと思います。
河野
それで「あ、この人には話せるな」と
心が開くんですね。
糸井
「ゆかし」か‥‥
なかなか、全員がもっている能力ではないですね。
藤野
見たい・知りたい・聞きたいという
「ゆかし」は大切だよね、とわかっていても
身についているかどうかは別問題です。
糸井
そうですね。
藤野
ゆかしの人たちが集まると、
人のことを見ようとするし考えようとしますから
自ずとうまくいくんじゃないかと思っています。
できるだけそういう人たちと働きたいので、
こちらからみつけに行かないと。
糸井
ゆかしを実感として積み重ねていくと、
世界がわかったような気がして
ワクワクするものですか?
藤野
それが、なんか‥‥
カラフルなんですよ。
糸井
ほほほお~!
河野
ほほお、世界がカラフルに。
藤野
そうです、カラフルです。
糸井
すてきですね。
藤野
カラフルというのは、
色のない白黒の世界もあれば
極彩色の世界、センスのいい色合いの世界、
いろんなカラフルがあります。
糸井
はい。
藤野
日本の会社だけでも千差万別で、
ベンチャー企業や家族経営、
それぞれカルチャーが違うので
いろんな色で世界がみえてきます。
すると驚いたり、うれしかったり
私たちもいろんな感情がむき出しに。
糸井
それはなんだか‥‥
生き物の世界ですね。
藤野
ああ、ゆかしが集まると
生き物の世界になりますね。
糸井
スマートじゃないけれども、
あたたかくてエネルギーがある感じ。
藤野
そうですね。
糸井
藤野さんは投資をする会社を見定めるために、
日本中の会社に話を聞きに行っていますよね。
僕は、藤野さんっていうと
歩いている姿を想像するようになりました。
藤野
働いている方に直接話を聞くのが好きなので、
北海道から沖縄まで
年間平均120泊ぐらい地方に行きますね。
糸井
年間120泊!
すごいなあ。
藤野
グルグル日本をまわっていると、
日本中がカラフルなことがわかります。
糸井
カラフルっていう言葉、もらいましたね。
河野
もらいましたね、いい言葉ですね。

(つづきます)

2017-06-02-FRI

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プロフィール

河野晴樹

1962年生まれ。
慶應義塾大学卒業後、株式会社リクルートに入社。
若手からエグゼクティブまで幅広く
人材紹介事業の運営を推進してきた。
一方新卒学生の採用面接をはじめ、
数多くの人事をこなしてきた「人材オタク」。
2005年、人材紹介事業をおこなう
KIZUNAパートナーズ株式会社の
代表取締役社長に就任。
主としてエグゼクティブの人材紹介を手がけている。
ほぼ日の就職論特集の際に、
「面接試験の本当の対策」に登場いただいた。

藤野英人

1966年富山県生まれ。
早稲田大学卒業後、国内外の資産運用会社で
日本株のファンドマネージャーとして活躍。
2003年にレオス・キャピタルワークス株式会社を創業。
代表取締役社長・最高運用責任者(CIO)として、
成長する日本株に投資する「ひふみ投信」を運用し、
高い成績を上げ続けている。
明治大学商学部の講師も長年務めている。
現在、日経電子版の「NIKKEI STYLE」にて
コラムを連載中。
ほぼ日には「どうして投資をするんだろう?」
「恋と投資の話」で登場いただいた。
著書として『投資家が「お金」よりも大切にしていること』、
『ヤンキーの虎』など多数。
最新の著作に『投資レジェンドが教えるヤバい会社』がある。