出オチですから。キタンクラブの主宰、古屋大貴さんとお話しました!

シリーズ累計2000万個突破の
『コップのフチ子』を販売するキタンクラブ。
その主宰を務める古屋大貴さんをお招きして、
「キタンクラブ」と「ほぼ日」で、
どんなおもしろいことができるのか、
糸井とあれこれおしゃべりしていただきました。
「もしや、コラボアイテムの誕生か‥‥!」
なんて期待もあったのですが、
今回はちょっとタイミングがちがったみたいです。
でもね、この対談の最後には、
キタンクラブといっしょに
画家・石黒亜矢子さんの催しを開催するという、
うれしいアイデアがひとつ生まれましたよ。
笑いたっぷり、雑談たっぷり、
全6回分をまとめて一挙公開いたします!

はずれることはある。
糸井
いい映画やマンガをみつけると、
「これ、売れますかね?」って
よく聞かれるんだけど、ぼくは
「いいのはわかる、ウケるのもわかる。
でも、売れるかどうかはわからない」と
答えることがよくあります。
古屋
わからないです、それは。
糸井
古屋さんはこれまで、
思いっきりはずしたことって
あるんですか?
古屋
もちろんあります。
ただ、はずしたといっても、
一部の人たちにはささっているわけで、
お金の部分では損失ですけど、
自分の大事なものは失っていないというか。
逆に、気持ちの部分は、
さらに高まってるような気もします。
糸井
「あいつらはこういうのを出す会社だ」
って思われることで、
ほかの商品が売れることも
あるわけですからね。
古屋
そうなんです。
糸井
最近、色川武大さんの
『うらおもて人生録』という本を
みんなにすすめていまして、
色川さんはあたるはずれるみたいなことを、
すべてバクチから学んだという人なんです。
古屋
へえー、バクチで。
糸井
たとえば、サイコロの出目が
奇数か偶数かをあてる丁半(ちょうはん)は、
基本的に5割の勝率なので、
あたるかはずれるかしかなくて、
それは誰にも変えられないっていうんです。
でも、ずっとゲームやバクチをつづけていると、
どこかのタイミングで
「俺はあてられる」と思いがちになる。
古屋
実際、あたるときもありますからね。
糸井
うん。でも、やっぱり根本的には
5割の勝率だから、
いつかははずれるわけですよ。
古屋
そうですね。
糸井
それでも
「これは5割だから」とわりきって
バクチがつづけられるかどうか、
ぼくはそこがわからなかったんです。
そしたら色川さんは、
もうちゃんとその答えを持っていて、
それが
「張る回数と、張る金額は変えられる」
ということなんです。
古屋
ほう。
糸井
たとえば
「勝って、負けて、勝って、負けて、勝った」。
これだともうかりますよね。
もし同じ金額を張っていたら。
古屋
そうですね。
勝ち星がひとつ多いから。
糸井
負けからはじまると、
「負けて、勝って、負けて、勝って、負けて」
をくり返すわけだから、
はじめの負けをとり返さないかぎり、
負け越しになってしまいます。
だから、勝負ごとは初戦が大事なんです。
もし相手が「じゃあね」っていったら
もうそこでおしまいですから。
古屋
うんうん、そうなりますね。
糸井
それから「負けて、負けて」の場合でも、
つぎに3倍のかけ金で勝ったら、
それはやっぱり勝ちなんです。
たとえ1勝2敗で負け越していても。
古屋
勝ちですね。
糸井
だから、たとえ5割のバクチでも、
「張る回数と、張る金額は変えるれる」
というんです。
これ、子どものうちから
覚えておいてほしいと思いません?
古屋
そういう塾があるといいですね。
糸井
それを文庫本の値段で
教えてもらえるわけだから、
みんなも読んだほうがいいと思うんですよ。
古屋
読んでみたくなりました。
糸井
キタンクラブだって、
ノリノリでヒット連発のときは、
「いいものかどうかもわかる、
よろこばれるかどうかもわかる、
そして、あたるかどうかもわかる」
って気になりかねない。
古屋
なりかねないです。はい。
糸井
でも、そんなことあるわけない。
古屋
ない、ないですね。
糸井
そうなると、
大金をかけたバクチに
大負けみたいなこともありうる。
そのときに慌てないでいられるには、
「はずれるということが、
どれくらいありうるかを、
わかっているかどうか」
じゃないかと思うんです。
古屋
うんうん。
糸井
でも、古屋さんの本を読んでいると、
わりとわかってるような気もしました。
古屋
ああ、そうかもしれないですね。
厳しかったことが過去にあったので。
糸井
そうなんですか。
古屋
サラリーマンを10年やっていて、
そのときにいろいろな経験を
させてもらったというか。
「3人で5億やれ」とか。
糸井
すごいね(笑)。
古屋
そういうムチャぶりを、
若いときにたくさん経験したので、
少しはサバイバルの素養があるのかなって。
糸井
それは「なんとかなる」って気持ちですか。
古屋
「失敗しても死なないし」みたいな。
糸井
うんうん。
古屋
いまの年になってみると、
若いときに辛い経験をしていて
よかったなと思いますね。
家が貧しかったことも、
いまになって思えばいい経験というか。
糸井
貧しいことが悪く作用する人もいて、
たった10円しかもってないときに、
その10円を奪われないような
生き方をする場合もあります。
でも、古屋さんは、
そうした経験が悪く作用しなかったんでしょうね。
古屋
たぶん、母親の苦労する姿をずっと見てたので、
悪くはなれなかったんだと思います。
父親が自営をしていたので、
けっこう浮き沈みはありましたし。
糸井
ずっと揺れる船の上にいたというか。
古屋
そうですね。
まさに船の上でいろんなことが。
糸井
「おい、水が入ってきたぞ!」みたいな。
古屋
そうそうそう(笑)。
いつなにが起きるかわらない。
それが日常でした。
糸井
本のなかでも
ご自分の会社を
イカダにたとえていましたね。
古屋
はい、イカダです。
糸井
船やイカダにたとえるというのは、
もうすでに苦労がある人の発想です。
ほぼ日もそうだから(笑)。
古屋
あ、そういえばほぼ日さんも船ですね。
「乗組員」というくらいですから。
糸井
苦労があるから、もし甲板に穴をみつけたら
「穴ぐらいいいんじゃない?」とはいえません。
古屋
でも、それを社長がいう場合もありますよね。
「その穴は、まだ大丈夫だ」って。
糸井
そうそう(笑)、
落ち着いたふりをして。
「噴水みたいで、ちょっといいじゃないか」
一同
(笑)
糸井
で、あんまり水が溜まってきたら、
「さ、ぼちぼちすくい出そうか」
古屋
あるある(笑)。
糸井
そういうのは感覚なんでしょうね。
ぼく自身の家はとくに貧しかったという
記憶はないんですが、
時代そのものが貧しかったですから。
(つづきます!)
2017-09-21-THU




TOBICHI②では、
9月22日(金)からの3日間、
石黒亜矢子さんとキタンクラブの催し
「石黒家」を開催します!
石黒亜矢子さんが描く『ばけねこぞろぞろ』の
フィギュア発売記念企画としまして、
石黒さんとキタンクラブの催しを
TOBICHI②で開催いたします。
会場の二階を「石黒家」として、
石黒亜矢子さんの描く原画はもちろん、
夫でホラー漫画家の伊藤潤二さんの作品、
さらには石黒さんちの姉妹や、
猫たちにまつわる作品も多数展示しております。
また、二階の「石黒家」に対して、
会場一階は「キタン家」と名付け、
カプセルトイマシンをずらりと並べ、
キタンクラブの世界を
たっぷり味わえる空間をご用意いたしました。
青山墓地に隣接する、
TOBICHI②でお待ちしております!
石黒亜矢子×キタンクラブ
「ばけねこぞろぞろ」フィギュア
発売記念企画「石黒家」
会場:TOBICHI②

会期:2017年9月22日(金)~9月24日(日)

休館:無休

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