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| ── |
鮫島警部の恋人・青木晶のモデルとなった
川村カオリさんとは、
とても仲よしでらっしゃったと聞きました。
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| 勝村 |
兄妹みたいでしたね。
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| ── |
いつごろからの、お知り合いなんですか？
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| 勝村 |
そうですね、カオリにはじめて会ったのは
90年代の頭くらいじゃないかなぁ。
もう、毎日のように会ってましたけど。
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| ── |
ほんと仲良しなんですね。
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| 勝村 |
それがあいつ、本当に晶みたいな女で。
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| ── |
やっぱり、そうなんですか。
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| 勝村 |
僕がこんなこと言うのもなんですけど、
「わたしはアイドルじゃない」とかって言って
事務所を飛び出し、仕事がなくなり‥‥。
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| ── |
‥‥たしかに、晶っぽいです。
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| 勝村 |
そのころ、番組でロシアに行く機会があったんで、
「おまえ、ロシア語しゃべれるんだろ？
どうせヒマなんだからついてこいよ」って、
いっしょに連れてったりしたこともあったですね。
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| ── |
へぇー。
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| 勝村 |
ぼくらはハバロフスクにいたんですけど、
モスクワにいる
カオリのお母さんに、電話したんですよ。
そしたら「今から遊びにおいでよ」って
誘ってくださったんですけど。
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| ── |
川村さんのお母さまが、ええ。
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| 勝村 |
ハバロフスクとモスクワって、
デカいロシアの「端から端」なんですよ。
飛行機でも８時間以上かかるらしい。
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| ── |
ははぁ。
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| 勝村 |
「行けるかい！」と（笑）。
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| ── |
あははは（笑）。
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| 勝村 |
そのときは、松方（弘樹）さんと「イトウ」を
釣りに行ってたんです。
向こうじゃ、まだ160センチくらいのが
いるって話だったんで。
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| ── |
あの「幻の魚」と呼ばれてるやつですね。
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| 勝村 |
そうそう、だから、そういう魚だけあって、
ぼくら、ぜんぜん釣れなかったんです。
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| ── |
任天堂のゲームの「どうぶつの森」でも
めったに釣れませんもんね、あれは。
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| 勝村 |
いや‥‥よくわかりませんが、
とにかく、ぼくら、ぜんぜん釣れなかった。
なのに、遊びで糸垂らしてたカオリが
いきなり釣っちゃったんですよ。
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| ── |
え、イトウを？
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| 勝村 |
そう、あいつが一発目に釣っちゃったんです。
釣りなんか、やったことないくせに。
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| ── |
そういう「引き」は強そうですもんね、
川村さんって。
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| 勝村 |
いや、それはそうなんですけど‥‥
「おまえ、少しは考えろよ」と。
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| ── |
松方さんをさしおいて、と（笑）。
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| 勝村 |
そう、まぁ、160センチはなかったけど、
それでも１メートルくらいあったかなぁ。
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| ── |
ははー‥‥。でも、勝村さんと川村さんって、
ちょっと意外な組み合わせに思えます。
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| 勝村 |
そうですか？
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| ── |
優等生と言ったら、ちがうと思うんですが、
品行方正そうな勝村さんと、
ちょっとトンガってる川村カオリさんって。
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| 勝村 |
いやぁ、ぼくら「チンピラ」でしたから‥‥。
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| ── |
あ、ひとつお聞きしたかったんですが、
その川村さんもメンバーだった
「ポークソテーズ」ってバンド、
あったじゃないですか。
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| 勝村 |
ありましたねぇ（笑）。
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| ── |
勝村さん、川村さんのほかに
松尾貴史さん、原田芳雄さんの長男の原田喧太さん、
奥野敦士さん、
BUCK-TICKのベース・樋口豊さんが
バンドを組んだという、なんだかすごい面々の。
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| 勝村 |
ええ。
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| ── |
あのバンドって‥‥。
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| 勝村 |
当時、毎晩飲んでたんです、そんなメンバーで。
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| ── |
毎晩、ですか。
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| 勝村 |
当時は、1990年代の頭くらいでしたけど、
今ほどは働いてなかったんです、みんな。
‥‥というか、むかしって
もっとのんびりしてたじゃないですか、
社会全体が。
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| ── |
とくにインターネットの時代になってからは
すごく忙しくなったと聞きますね。
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| 勝村 |
そんなわけで、とにかく毎晩、飲んでたら、
ある日、
「もうちょっと生産的なことをしたほうが
いいんじゃねぇか、オレたち」
という話になり、
ぼくと「ROGUE（ローグ）」ってバンドの
ボーカルだった奥野ってのが‥‥。
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| ── |
奥野敦士さんですね。
中学生のときにファンで、よく聴いてました。
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| 勝村 |
あ、そう？
あいつ、歳がいっしょで、
なんていうか、その‥‥親友なんですけどね、
「ふたりでなんかやんべぇ」と。
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| ── |
ええ、ええ。
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| 勝村 |
そんな話をしてから２〜３日後に、
あいつからファックスが１枚、届いたんです。
そこには、コックの帽子をかぶって
黒い眼帯をした「豚」が描いてありました。
‥‥で、その下に「PORK SAUTES」と。
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| ── |
PORK SAUTES‥‥ポークソテーズ！
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| 勝村 |
あいつが言うには、
「コンセプトは洋食屋。
コックとか、ウェイトレスの格好をして
演奏するバンドで
曲名には、ハンバーグとか、カレーライスとか
洋食メニューの名前を入れるんだ。
それが、オレたち、ポークソテーズさ」
というようなわけであると。
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| ── |
そんな誕生エピソードがあったんだ‥‥。
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| 勝村 |
で、奥野に
「オレが曲を書く。お前が詞を書け」
とか言われ。
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| ── |
そうやって生まれた曲のひとつが
のちにＮＨＫ「みんなのうた」でも取り上げられた
名曲「ハンバーグの作り方」ですか。
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| 勝村 |
ちょうど、ぼくが結婚するときだったんで
「そこでデビューさせよう」と。
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| ── |
ええ、ええ。
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| 勝村 |
なんとなく、奥野がリーダーっぽくて。
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| ── |
はい。
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| 勝村 |
キッチュ（松尾貴史さん）がいて。
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| ── |
ええ。
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| 勝村 |
BUCK-TICKのユータ（樋口豊さん）がいて、
ケンタ（原田喧太さん）がいて‥‥。
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| ── |
はい。
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| 勝村 |
あとから、キンタとみっちょん夫婦
（金山一彦さん・芳本美代子さんご夫妻）や
「ヒロミチナカノ」の中野裕通さんも。
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| ── |
おお。
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| 勝村 |
で、カオリもいて。
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| ── |
すごい！
大切な仲間たちが集まったんですね。
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| 勝村 |
ライブも何回かやって、
レコーディングもしたけど
ＣＤデビューの直前で、流れちゃいました。
‥‥でも、去年、カオリが亡くなって、
奥野も２年くらい前に、ケガをしちゃってね。
いま、リハビリ中なんです。
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| ── |
それを知って、本当に驚きました。
ただ、奥野さんのブログを読むと、
「今朝、勝村さんからメールが来た」だとか、
原田芳雄さんがお見舞いに来てくれた、
今日はキッチュが、
ユータが、ケンタが、キンタ夫妻が‥‥と
ポークソテーズのみなさんが
しょっちゅう、出てくるんですよね。
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| 勝村 |
そうそう。
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| ── |
川村さんのことも、書いてらっしゃいますし。
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| 勝村 |
そうですね。
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| ── |
本当の「仲間」なんだなぁって、感動します。
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| 勝村 |
だから、今回の「絆回廊」を読んでいても、
晶が出てくる場面では、
やっぱりカオリの顔が浮かんでくるんです。
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| ── |
そうですか。
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| 勝村 |
一作目の「新宿鮫」が出た90年代初頭って、
女なのにロックだなんだ言って、
外国人みたいな顔して
リーゼントで歌ってるのなんて、
あいつ以外には‥‥いなかったですから。 |
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＜つづきます＞ |
